ブックタイトルメカトロニクス8月号2021年

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概要

メカトロニクス8月号2021年

???? MECHATRONICS 2021.8 農業の基本的な作業は、大別すると「耕す」、「植える」、「収穫する」に分類され、人類は太古から全ての農作業を人や家畜の力のみで行ってきた。 ところが産業革命の進展により、蒸気機関や内燃機関が発明され、様々な機械が作り出されてきた。農業機械においても様々な機械が開発され、農作業の省力化・効率化に貢献している。 例えば稲作を例に挙げると、米作りの土台となる重要な田んぼを耕す際に活躍するのが“トラクター”、そして均一かつ正確に苗を植えることができる“ 田植え機”である。収穫時期がくれば効率的に稲を収穫することができる“コンバイン”などの農業機械が活躍する。 これらの農業機械は、稲作において欠かせない存在であり、同時に機械の性能が作物の品質や収穫量に直結する要素のひとつになる。今回は、農業における機械化を取り上げて紹介する。1. 農業政策 1945 年に第二次世界大戦が終結し、荒廃した国土の復興から始まった。日本の戦後の農業政策に関しては、表1に示すように1945年、混乱の中で「農地改革」が行われ、多くの自作農が誕生し、これが後に農業機械化を促進する伏線となった。 政策面では「農業基本法」の制定、「農用地利用増進法、農地法改正、農業委員会法改正(農地三法)」の制定、「食料・農業・農村基本法」の制定、「改正農地法」施行などが実施された。 多くの世帯ではかつては農林漁業などで自営という形で生計を立てていたが、工業化の進展等とともに、高等学校や大学を卒業し、企業に正社員として雇用され、賃金で家族ともども生計を立たせることが一般的となった。 1950 年朝鮮動乱勃発により米軍からの調達が始まり特需ブームが起こるとともに以降、日本の機械工業は飛躍的な成長が始まることになる。この結果、農村部から都市部への労働力の大量移動が起こることになった。そして逆に農村部では兼業農家が出現し、さらに労働力不足が起こり、機械化によって解決することになった。つまり、農業の機械化である。2. 農業の機械化 農業機械産業は、1953年に「農業機械化促進法」の制定を契機にめざましく進展することになった。当時の耕運機の普及台数は、わずか3.5万台に過ぎなかったが、7年後の1960年には52万台、1965 年には300万台にまで達する程になった。 これまで、牛馬による農耕作業であったものが、1950 年代の後半頃には急速に減少し、やがては皆第13回 農業機械の市場動向市場の生産統計とそのヒストリーちょっと気になる連 載表1 戦後の農政の歩み年 度内 容1945年第1 次農地改革連合軍総司令部のマッカーサー総司令官が「農地改革に関する覚書」を発表1946年第2 次農地改革1953年農業機械化促進法1957年面積2.2 万ヘクタールの国内2 位の湖・八郎潟の干拓が始まる(国が852億円を投じて、20 年かけて干拓)1960年農林水産物121 品目自由化1961年農業基本法公布大豆輸入自由化1964年八郎潟が開村し、県庁内に村役場を設置1967年八郎潟に56 人が第一次入植を実施米が史上空前の豊作1968年大平博四氏が農薬・化学肥料を使わない「夢の農法」(有機農業)に取り組む1970年総合農政の基本方針を決定米余りで生産調整実施(減反)1971年日本有機農業研究会が発足10月頃に「有機農業」と言う言葉できた1972年消費者米価統制撤廃世界同時不作1974年八郎潟に120 人が第五次入植を実施1977年八郎潟の干拓が完了し、湖底は約1.72 万ヘクタールの大地となる1978年日米農産物交渉で牛肉・オレンジなど輸入拡大を妥結1980年農用地利用増進法、農地法改正、農業委員会法改正(農地三法)1981年米配給制などを廃止することを盛り込んで食管法改正1984年租税特別措置法により「中小企業新技術体化投資促進税制(メカトロ税制)」が施行1985年八郎潟で不正規流通米(ヤミ米)問題が表面化( 秋田県が道路に検問所を設けて24時間態勢でヤミ米を監視)1986年GATTウルグアイランド始まる1987年31 年ぶりに生産者米価引き下げ1988年日米交渉で、プロセスチーズなど12品目の自由化と市場開放を決定牛肉・オレンジ輸入自由化決定年 度内 容1990 年自主流通米価格形成機構設立1992 年EU、「原産地呼称保護制度」を導入1993 年米の部分開放決定戦後最悪の凶作1994 年平成の米騒動で、タイなどの外国産米を緊急輸入メキシコ、北米自由貿易協定により、主食のトウモロコシを米国から輸入が10 倍となり、3 割の農家が離農した1996 年ローマで食料サミットを開催1999 年食料・農業・農村基本法制定世界の米生産量が史上最高に過剰作付けした八郎潟の農家が国から農地明け渡しの強制執行を受ける農林水産省が棚田の保全運動の一環として日本全国の117市町村、134地区の棚田を「日本の棚田百選」に認定2001 年国内で初めて牛海綿状脳症(BSE)発生2002 年長野県、日本酒など5 品目を対象に独自の「原産地呼称管理制度」を導入2003 年食品安全基本法公布構造特区の中であれば農地を借りることができ農業への参入することが可能となった2004 年改正食糧法施行米の販売が完全自由化となる2006 年ポジティブリスト制度施行米国産牛肉の輸入再開2007 年国際食料問題研究会を開催農林水産省生物多様性戦略を策定2008 年農林水産省の大臣官房に「食料安全保障課」を設置2009 年改正農地法施行2010 年戸別所得補償制度が始まり、減反を巡る八郎潟の村内の対立が収束2013 年減反制度の廃止が決まる2015 年TPP 交渉で大筋合意に至る