ブックタイトルメカトロニクス4月2021年
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メカトロニクス4月2021年
44 MECHATRONICS 2021.4 建設機械は建設用の道具・器具が進化したもので、農耕や鉱山用の器具・機械の発展とも密接な関係を保ってきた。建設機械のルーツを辿るとBC.3500 年頃にメソポタミアで始まった大規模灌漑工事頃まで遡ると言われる。メソポタミアは、現在のイラクの一部にあたるチグリス川とユーフラテス川の間の沖積平野に生まれた複数の文明を総称する呼び名で世界最古の文明とも言われる。 こんな歴史のある建設機械は、内燃機関の発明により建設機械は更なる躍進を遂げ、低圧タイヤ、トルクコンバータ、油圧機器等の要素技術の発明とともに目覚ましい発展をしてきた。 河川改修工事などで海外から建設機械を輸入し、使用したことが日本における建設機械の曙で、明治時代に入ってからである。日本の黎明期について紹介すると次のようになる。 第二次世界大戦は1945年8月15日に終了し、日本は敗戦となった。この第二次世界大戦中米軍の爆撃機によって爆撃を受けて日本の国土は荒廃した。最後のとどめとなったのは広島と長崎に投下した原子爆弾であった。一瞬にして焼け野が原と化した。 1945年8月30日、連合国軍最高司令官マッカーサー元帥が神奈川県にある厚木飛行場に降り立ち、横浜市内のホテルニューグランドに臨時司令部(GHQ)を設置して占領政策の指揮を開始した。これ以降、荒廃した国土の復興がGHQの指示で始まった。 その国土の復興用に海外から輸入した建設機械が貢献し、戦後の日本の建設機械産業の成長を導くのに契機となったのが建設機械の修理業であったという。復興には、米軍から払い下げられた建設機械も活躍したという。 トラクターの前面に可動式の排土板(ブレード)を装着して進行方向に土砂を押しだす機械をブルトーザーと言う。このブルトーザーは、英語では、“bulldose"となり、古くは1880 年頃の米国では、「(強要したり脅したりして)強引に推し進める」というような意味であったらしい。 牛に対してあらゆる種類の薬や罰を大量かつ効率的に与えることを意味する“bull’s dose”(雄牛に薬を与える)を語源とするスラングでもあったらしい。1886 年には綴りにわずかな違いがあったものの“bulldozer”が両方を意味するようになり、19世紀末頃までに“bulldoze”とは、強引な力を使用して障害物を押し退けたり、通り抜けたりするという意味で定着した。 Webster’s Third New InternationalDictionary の英語辞書による説明は次のようになる。“to force(as one’s way)or push out ofthe way(as obstructions)as if by using abulldozer” さて、ブルトーザーで土を押しのけて整地した後に登場するのがロードローラーである。重量が重く接地面積の大きな車輪をもち、その重量によって押し固めるために使われるもので、建設現場で最終仕上げに近付くとこのロードローラーが使用される。道路をアスファルトで舗装する前に実施するロードローラーを道路工事現場で今でも良く見かけるかと思う。 ロードローラーは、同辞書の英文説明では“a machine equipped with heavy widesmooth rollers for compacting roads andpavements”と説明している。 先ずはブルトーザーで押しのけてその後にロードローラーで整地するこの建設機械で思い出したことがある。 1970年代、カラーテレビで、米国の品質をしのぎ、貿易摩擦を起こし米国には年間、175万台までを限度とする3年間のカラーテレビの輸出自主規制が実施された。さらにその後、VTRでも欧州で貿易摩擦を起こす程、日本の当時のエレクトロニクス製品は数々のヒット商品を創り出し、世界で売れた。 例えば大ヒットしたウオークマン後の1980年以降に登場した話題商品は、ソーラー電卓(東和サン電気)、レーザーディスク・プレーヤー LD-1000(パイオニア)、CDプレーヤー CDP-101(ソニー・世界初のCDプレーヤー)、ファミリーコンピュータ(任天堂)、ワープロ 書院(シャープ)、電子手帳 データバンク(カシオ計算機)、ポケットテレビ(カシオ計算機)、携帯用CDプレーヤー ディスクマン「D-50」(ソニー)、携帯電話(NTT)、家庭用自動パン焼き機ゲーム機(松下電器産業)、メガドライブ(セガ)、ゲームボーイ(任天堂)、ハンデカム CCD-TR-55(ソニー)、スーパーファミコン(任天堂)、携帯電話 ムーバ(NTT)、パソコン PC-9801NC(NEC)と続く。まさに日本から次から次へと毎年のようにヒット商品が発売された。 このような時期に“Electronics” のJapan 特集号で表紙を飾ったのが写真1である。 日本製品の優れた品質の上に価格も安かったので売れに売れて、結果的には集中豪雨的な輸出となってしまった。この写真を見ると米国市場から今度は欧州市場をローラーで整地しようと迫っているとの意味を込めての写真である。 面白いことに建設機械がエレクトロニクス関係の雑誌の表紙を飾ったのである。しかも日の丸付きのローラーで紹介された。この表紙は当時、印象深いものとして記憶に残り、忘れない一つにもなっている。雑誌の表紙を飾る程、日本の電気製品には欧米からも注目されていた。 話しを少し元に戻すと、戦後経済の立て直しの流れの中で幹線道路網が整備されることになった。1972 年に公表された日本列島改造論といった政策を背景にした建設ラッシュも起きた。当然ながら建設ラッシュには多くの建設機械が必要で、それらの機械によって道路が整備された。 建設機械の略史をみると表1のようになり、古くは、戦前からはじまっている。 幾多の困難を乗り越え、優れた建設機械を作り上げたものと思う。そして1980 年代に入るとエレクトロニクス技術を融合したメカトロニクス化が進展し、自動化・情報化を推進する新しい技術革新が始まった。 そしてそれらの建設機械を海外にもち込んで建設する流れとなり、輸出もするようになった。 さて、国際的産業分類では通常は「機械」は図1のように4分類され、「一般機械」の中に、建設機械、農業機械、ボイラー・原動機、繊維機械、工作機械、各種産業機械、事務機械、ミシン等となり、代表的な建設機械を写真2に示す。 建設機械は土木建設機械とも呼称され、建設用クレーン、掘削機械(油圧ショベル)、整地機械などがある。似たような機械に鉱山で使用される鉱山機械もある。 ビル建設などが始まると必ず目にするのが建設機械である。建設現場は通常、安全確保のために塀で囲まれて内部は見えないものの油圧ショベルの頭部分やクレーンなどが見えて塀の外からでも工事が進展していることが分かる。まさに工事現場で活躍する建設機械である。 建設機械工業会によると大企業を頂点に中堅企業、中小企業、そして小規模企業と続くピラミッド構造になっているという。当然ながら建設機械の市場動向は建設投資の動向に大きく左右される業界である。筆者が利用する戸塚駅近くも製薬会社の研究所建設で多くの建設機械を目にする。 建設機械産業においてもITを活用し、メーカー各第9回 建設機械の市場動向市場の生産統計とそのヒストリーちょっと気になる連 載写真1 Electronics 1991