ブックタイトルメカトロニクス10月号2020年
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メカトロニクス10月号2020年
MECHATRONICS 2020.10 45日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第28回 <環境規制で話題商品の設計思想が変わる>手法として導入された。 製品に含有する化学物質に関して対象となる物質は、包装廃棄物指令で規定された「鉛」、「水銀」、「カドミウム」、「六価クロム」の種類が指定された。これらが「廃自動車指令」や「廃電気電子機器の使用制限指令(RoHS)」などへと適用されていき、RoHS 指令ではPBB、PBDEの特定臭素系難燃剤が追加され、6物質を規制対象にして2006年7月から施行された。 その後、改訂RoHS 指令(RoHS2)が2013 年1月に施行され、現行RoHS 指令(2002 / 95 /EC)(RoHS1)廃止し、対象機器は適合性を示すCEマーキングの貼付が必須となった(図4)。CEマーキングのための技術文書・適合宣言書作成など必要で、10年間の書類保管義務が発生することになった。 さらに4種類のフタル酸エステル(DEHP、BBP、DBP、DIBP)が2015 年6月に追加され、使用制限物質は合計10種類が対象となり、追加物質の4種類のフタル酸エステルは2019 年7月から施行された。 製品に含有する有害物質を管理する時代となり、欧州から始まったRoHS 指令は各国に影響を及ぼし日本のJ-Moss、中国版RoHS、韓国版RoHS、台湾版RoHS、タイ版RoHS、インド版RoHSなどと多くの国で採用し、拡大していった。これは電気電子機器に対して展開されていった。 限られた分野から全分野に適用したのが欧州のREACH 規則であり、特に高懸念物質が0.1 %以上、含有する場合には配慮が必要となる。REACH規則は、2007 年7月から施行された。以上、欧州から始まった製品含有化学物質規制は、世界で採用され、実施された。4. 新たな環境規制動向 「カナダ」と「欧州」で始まった新たな環境規制動向について紹介する。4-1. デカブロモジフェニルエタン規制 使用禁止になったDeca-BDE(図5)の代替として登場したのが、デカブロモジフェニルエタン(DBDPE=Decabromodiphenyl Ethane/CAS 番号:84852-53-9)で、構造式は図6のようになる。Deca-BDEの“-O-”の部分が“-CH2CH2-”に代わっただけで極めて酷似した構造式となっている。 DBDPEに関してこれまでには主にIEC62474の削減物質、GADSL(Global Automotive DeclarableSubstance List)の報告物質になっているが、禁止とする環境規制は世界的には現在、ない状況であった。 構造が極めて酷似していることでDeca-BDEの優れた難燃性能がほぼ踏襲された物質として使われてきている背景があり、Albemarle、Chemtura、Haiwang Chem、Hongkun Group、ICL IndustrialProducts、Lanxess、Luyuan Salt Chemical、Novista、Oceanchem Group、Runke、ShandongBrother、Suli Chemical、Tianyi Chem、UnibromCorp、Weidong Chemicalなどの多くの会社が生産している。 この臭素系難燃剤が問題となったのは、カナダ環境保護法(CEPA=Canadian EnvironmentalProtection Act)の有害物質リスト(List of ToxicSubstances)に追加する命令が2018 年に出され1)、スクリーニング評価で有害と判定されたため、2019 年6月29日のカナダ官報にてCEPA 内の有害物質リストにDBDPEが追加されることが決定した。2) この決定を踏まえて、業界内では脱DBDPEが進み、ハロゲンフリー化が進展する可能性がある。4-2. RoHS3候補の9物質規制 RoHS 指令は施行されて以来、改訂されて対象6 物質(「鉛」、「水銀」、「カドミウム」、「六価クロム」)にフタル酸エステルの対象4 物質(DEHP、BBP、DBP、DIBP)が追加され、RoHS2 指令と呼称されるようになり、最初に施行されたのをRoHS1とも呼称されるようになった。 そして、現在、RoHS2指令の改訂に向けて新たにRoHS3 指令として対象9 物質が追加候補となり、2019 年からコンサルテーションが実施され、2020 年2月で締切られた。 いよいよ具体的に検討に入ることなった。表1は規制対象物質の候補として挙げられたものを英語名、CAS番号、優先順位とともに体系化したものである。 なお、優先順位とは2014 年1月にオーストリア環境省がEU の環境委員会から委託されて、調査して24物質を対象に選び、6段階に決めたのを示す。 今後、この9 物質が全て適用されるのか、あるいは、優先順位に従って、一部の物質が採用されて規制になるのかは、今後のEUの環境委員会の決定をまたないといけないが、対象となることを想定して代替技術の確立が必要ではないかと思う。<参考資料>1)Canada Gazette,Part I,Volume 152,Number 41:GOVERNMENT NOTICES(2018-10-13)http://gazette.gc.ca/rp-pr/p1/2018/2018-10-13/html/notice-avis-eng.html#ne22)Canada Gazette,Part I, Volume 153, Number 26:Order Adding Toxic Substances to Schedule1 to the Canadian Environmental ProtectionAct, 1999http://www.gazette.gc.ca/rp-pr/p1/2019/2019-06-29/html/reg2-eng.html表1 RoHS3での規制対象物質の候補図2 Blue Angel(ドイツ) 図4 CEマーキング図6 DBDPEの構造式図5 Deca-BDEの構造式図3 Nordic Swan(北欧)物質名英語名CAS番号優先順位三酸化二アンチモンDiantimony Trioxide CAS NO:1309-64-4テトラブロモビスフェノール A TBBP-A CAS NO:79-94-7 第2優先順位クロロアルカン( 中鎖塩素化パラフィン)Medium Chain ChlorinatedParaffi ns CAS NO:85535-85-9ベリリウムBeryllium and its compounds CAS NO:7440-41-7第4 優先順位硫酸ニッケルNickel Sulfate CAS NO:7786-81-4スルファミン酸ニッケルNickel Sulfamate CAS NO:13770-89-3リン化インジウムIndium Phosphide CAS NO:22398-80-7二塩化コバルトCobalt Dichloride CAS NO:7646-79-9/7791-13-1第5 優先順位硫酸コバルトCobalt Sulfate CAS NO:10124-43-3/10026-24-1