ブックタイトルメカトロニクス9月2020年
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メカトロニクス9月2020年
MECHATRONICS 2020.9 11今までの生産設備や自動化のつくり方とは違い、IoTやWebなどといったもう少しソフトウエアに近いアプローチで、動作などを簡単に変えたり、ネットとの連携を容易に行えることを目指し、さらに「新しい自動化の分野がつくれないか」という思いも込められ開発しています。 本製品は、減速機、クロスローラベアリング、多回転対応エンコーダ、モータ、ブレーキ、サーボドライバを内蔵したコンパクトサイズのオールインワンアクチュエータになります。当社では、ロボティクスに係るハードウエアとソフトウエアを自社内で一貫して開発できることを強みにしており、1号機は減速機も自社内で設計開発しています。 オールインワンコンセプトとソフトウエアに近いアプローチが非常に好評でしたが、一方では精度と量産コストの両立で問題を抱えていました。ただ、「お客様に早く届けたい」という思いがあり、まずは実績のある市販品の減速機を選定し、再設計をして販売することに決めたのです。 製品自体も、まだ発売したばかりなので、改善が必要なポイントも色々とありますが、このようなコンセプトをもった製品になっています。 主な特徴としては、各種駆動部品群が一体になっているため、本製品とホスト(PC)、電源を接続するだけのシンプルな構成で使用でき、ディジーチェーンで配線もシンプルに構築できます。また、Pythonから操作が可能で、Pythonライブラリ、GUIツールを提供しています。マイコンボードにプログラムを組み込み、無線LANやBluetoothを利用することにより、PCなし&配線レスで利用することも可能です。 現在進められているロボット事業につい てお聞かせください服部 : 現在は、まさに自社製品を立ち上げて軌道に乗せようとしている段階で、『Buildit Actuator』をはじめオリジナルロボットなどのPR 活動を展開している状況です。 自社製品については、現状では人と協働可能な走行ロボットに力を入れています。特に、自動走行にはニーズがあると思いますし、当社では過去に開発したSLAM(スラム)式といってレーザ測域センサとカメラを使い周囲を見ながら地図を作成し、目的地を目指していくという自律走行のノウハウがあります(写真2)。また、過去に開発した協働自律走行ロボットでも、お客様の現場で活躍しており、好評をいただいているという実績があります。 ただ、今までの協働自律走行ロボットは価格が高いイメージで、大企業の工場以外では、なかなか導入しづらい価格レンジにあると思われます。 勿論、そのような価格レンジになるのには理由があり、初期設定のプログラム費用といった導入コストが必要で、それが価格に反映されてしまうのが現状です。そのため、初期の導入コストが掛からないような、すぐに稼働が開始できるロボットの提供ができないかと考えていました。そのような中、新型コロナウイルスの蔓延が発生し、早急の対応を迫られる状況で開発したのが、『TELEWORK ROBOT 』になります(写真3)。 製品は、その場に人がいなくても遠隔操作により、荷物の運搬や会話が可能なロボットで、ロボットの知識がなくても簡単な操作で使用することができます。実際に現場へもっていけば、その日からすぐに使用することが可能です。 ある程度の組み換えや改造/改良ができる構成で設計されているため、本製品がベースとなり様々なシーンで活用できると考えています。 その中で、最近リリースした製品が、殺菌灯を搭載した『殺菌ロボット』になります(写真4)。この製品は、殺菌効果をもつ深紫外線(UV-C 波長254nm)を照射できる殺菌灯を搭載したロボットです。遠隔操作型のため、安全を確認しながら殺菌作業を行うことができ、コンパクトサイズ(幅410mm)なので、比較的狭い場所で使用することが可能です。(写真5)。殺菌灯自体は市販の製品を使用しており、実際に新型コロナウイルス感染症の軽症者等の宿泊療養施設にて実証実験も行っている状況です。 その他にも、配膳用の棚を設置した配膳ロボットや、建設現場向けにキャタピラ移動が可能な見回りロボットなど、『TELEWORK ROBOT 』をベースにして、ニーズにマッチするカスタマイズを用意しています。 さらに、SLAM式の自律走行機能についても開発を進めています。セットアップについては、遠隔操作で行えるような仕組みを想定しています。 今後の展開についてお聞かせください服部 : 当社では、“Robots for everyone.”「だれもがロボットを使いこなし、社会全体へ浸透する未来を実現する。」というビジョンを掲げていますが、これらを実現するためには、導入のハードルを下げていくことと、その現場で本当に必要で役に立っている状態でなければいけないと考えています。 現在、工場以外でも移動を伴う作業の自動化ニーズが高まっています。一方で今、市場にある自動走行ロボットは、台車部分のみの提供で、利用シーンに合わせたカスタマイズオプションが少ないため、導入コストが増える傾向にあるものがほとんどだと感じています。 そこで私たちは、利用シーンにあわせた機能を搭載したロボットを提供したいと考えており、そのために当社の『TELEWORK ROBOT』を通して、お客様の課題やどんな機能を現場で必要としているのかという情報を蓄積しています。 これらをもとに、製品のバージョンアップを図り、周辺サービスも含めたカタチで即日運用可能な状態でお客様に提供をしていきたいと考えています。 本日はお忙しい中ありがとうございました。所在地 :U R L :事業内容 :東京都千代田区https://www.smartrobotics.jpロボット関連製品開発/販売、ロボット/ドローン/ IoT 機器の開発(ハードウエア/ソフトウエア)、ロボット技術導入コンサルティング、教育ソリューション株式会社 スマートロボティクス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・写真4 『殺菌ロボット』写真5 『殺菌ロボット』の点灯時写真3 『TELEWORK ROBOT』