ブックタイトルメカトロニクス7月号2020年
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メカトロニクス7月号2020年
MECHATRONICS 2020.7 45日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第25回 <電子機器の安全対策>る製品、例えば、食品、医薬品、化粧品、医療機器、タバコ製品、銃器および弾薬、自動車、農薬、航空機、ボートなどを管轄から除外している。 消費者が使用する製品の安全について目を光らせていた法律であり、安全問題を解決するために設置したのがCPSCであると言ってよいと思う。CPSCが1973 年に設立されて以来の主な動きを示すと表3 のようになる。 2004 年?2005 年頃に子供用ペンダントなどのアクセサリーに必要以上の“鉛”が含有し、誤って飲み込んで危篤状態となる事故が発生した。さらに赤ん坊などがしゃぶる玩具に特定フタル酸エステルなどが含有し、問題となった。そのため消費者製品安全法が改訂されて、消費者製品安全性改善法(CPSIA=Consumen Product SafetyImprovement Act)となり、連邦法案が2007 年に可決した。 このCPSIAがあるために、消費者が手にする製品で安全性に問題があるとCPSCがリコールの対象となった製品を公表して、回収を促し、事故が発生しないように注意を喚起する制度となっている。過去に電子機器で大きなリコールになった例としてノートパソコン用バッテリーパックや携帯電話用バッテリーなどがある。 リコールの状況は、インターネットで閲覧が可能な仕組みとなっており、2003年?2004 年頃のリコール事例も、今も閲覧ができるようになっている。最近は米国のみならずカナダと共同で同時にリコール情報を流す時代となってきた。4)3. 安全対策の取組み 1967 年に米国大手カラーテレビメーカーのカラーテレビのX線漏洩事件(11万台を市場より回収)に端を発して、消費者保護の立場から製品安全性(Product Safety)の問題が米国議会おいて取り上げられ、電子機器からの放射線規制が立法化されると共に、ULの業務手続の不備が厳しく指弾されるに至った。5) この事件の後、1970年前後に米国でカラーテレビによる火災事故が発生し、UL のみならず日本の電子機械工業会(EIAJ 現 JEITA)の安全委員会でも安全対策が検討された。 この対策に岡修一郎(東京芝浦電気 テレビ事業部 技術主幹)は、米国に通勤したと言われるほど、訪問して日本の工業会関係者と連絡を取り合い、解決に向けて取り組み、安全強化されたカラーテレビとして生まれ変わった。 使用される材料の難燃性は、94HBから上位グレードの94V1 以上のグレードが採用されるようになった。テレビの電気回路にも安全対策が施され、標準化も実施され、情報は各社で共有された。 しかし、何らかの理由で火災事故が発生し、カラーテレビによる原因ではないかとの疑いもかけられた。そこで、EIAJの安全委員会は、技術的な対応は全て実施したが、カラーテレビによる火災事故が起こらないように、当時の安全委員会の委員長の発案で後は神頼りとなり、浅草の浅草寺に訪れ安全祈願をした。委員が代わっても、それが、今も毎年、安全祈願を行っており、筆者も製品安全に関わった者として参加している。<参考資料>1)消費者製品安全法 https://www.cpsc.gov/PageFiles/105435/cpsa. pdf?epslanguage=en2)岡田 務、“テレビ受像機に対する海外安全規格の概要”テレ ビジョン学会誌 Vol.37 No.2 p91(1983)3)UL94の難燃性試験方法 https://standardscatalog.ul.com/4)リコールリスト https://www.cpsc.gov/Recalls5)岡 修一郎、“UL安全規格の概要と検査申請の手続き” 積層表3 CPSC関連の動向 板研究会資料 p1(1970)表2 難燃性の判定基準基準の条件硬質材料が対象94Vの難燃性の判定基準薄いフィルムが対象94VTMの難燃性の判定基準94V-0、94V-1、94V-2 4VTM-0、94VTM-1、94VTM-2燃焼時間(t1またはt2)保持クランプまで燃焼すべての処理による各組の残炎時間(5枚の試験片t1+t2)発炎物質または滴下物質で綿の着火第2回着火後の各試験片の燃焼時間とグローイン時間の合計(t2+t3)94V-0 94V-1 94V-2<10秒 <30秒 <30秒<30秒 <60秒 <60秒しない しない しないなし なし あり<50秒 <250秒 <250秒基準の条件燃焼時間(t1またはt2)125mm標線まで燃焼すべての処理による各組の残炎時間(5枚の試験片t1+t2)発炎物質または滴下物質で綿の着火第2回着火後の各試験片の燃焼時間とグローイン時間の合計(t2+t3)94VTM-0 94VTM-1 94VTM-2<10秒 <30秒 <30秒<30秒 <60秒 <60秒しない しない しないなし なし あり<50秒 <250秒 <250秒バーナ20mm10mm300mm6mm下端が重なっている試験片の正面図下端が重なっていない50mm 試験片の背面図試験片125mm標準巻きつけたテープ綿綿年 代内 容1967年米国の大手カラーテレビメーカーのカラーテレビのX 線漏洩で市場から11 万台が回収される1970 年前後頃テレビ受信機による火災事故が米国で多発する1970 年?1972 年カラーテレビによる火災事故の原因を調査し、対策案を検討1972 年9月 ULがプラスチック難燃性の試験方法を制定10月消費者製品安全法(Consumer Product Safety Act)を施行1973年消費者製品安全委員会(CPSC = Consumer Product Safety Commission)を設立し運営を開始2004 年 アメリカで幼児が鉛を含有した金属製装飾アクセサリーを飲んで危篤状態となった事実をCPSCが確認(1998 年にカナダで同様の事故を確認)2005 年2月3日 鉛を含有する子供用金属装身具に対する暫定指針」を公表。(鉛の含有量 0.06%(600ppm)、溶出量175μg の限界含有値)2月金属製アクセリーに基準以上の鉛が含有していることからリコールに対象に2007 年消費者製品安全性改善法(CPSIA = Consumen Product Safety Improvement Act)の連邦法案が可決7月基準以上の鉛を含有した子供向け製品のリコールが多発11月 8日中国製カラービーズ玩具に1.4ブタジオールが基準以上含有していることから420万個がリコールの対象に2008 年8月14日消費者製品安全性改善法(CPSIA)が連邦政府法として発効11月12日CPSIAの90日後の一般適合性認証11月17日フタル酸エステル規制は、2009 年2月10日の前の在庫は対象外12月1日CPSIAの120日後のインターネットでのラベル表示12月21日鉛含有塗料および鉛含有のコーティング製品に第三者機関の適合性試験適用2009 年1 月 8 日2009 年2 月に施行予定のCPSIAに関して、委託販売店、再販業者向けのガイドラインを公表1月20日ベビーベッドとおしゃぶりの第三者機関の適合性試験適用1月30日鉛およびフタル酸エステルが基準内の含有量である第三者機関の適合性試験の必要性を1年延長することを決定2月 2日 CPSCは、CPSIA法に基づく第三者認証による試験・証明書要求を1年(2010 年2月10日)延期することを公表2月10日ASTM 玩具安全基準(ASTM F963-07)がCPSIA 法第106部によって強制的な消費品安全規格となる鉛の閾値は600ppmを適用カタログにラベル表示義務子供向け玩具/子供ケア製品にフタル酸エステル(BBP、DBP、DEHP)の閾値は1000ppmを適用2月15日小部品に第三者機関の適合性試験適用3月23日金属製アクセリーに第三者機関の適合性試験適用4月13日四輪バギーに第三者機関の適合性試験適用8月14日鉛の閾値は300ppmを適用表面コーティング(塗料)の鉛含有量の閾値は90ppmを適用子供向け製品への追跡用ラベルの貼付2010 年2月10日第三者機関の適合性試験適用2011 年2月11日子供用ジュエリーの金属部品を除く子供用品の鉛含有量の検査および認証の施行猶予の期限7月13日CPSCは、鉛の閾値を100ppmとする件を投票にかけ、予定通り、8月14日から施行することになった(8月14日以前に製造されたものには適用されない)8月14日鉛の閾値は100ppm12月31日子供用ジュエリーの金属部品を除く子供用品の鉛含有量の検査および認証の2011-02-11の期限から再延期の施行猶予の期限2012 年7月鉛の要求に関しての最終ガイダンスを発行2013 年8月1日 不安全毒物減少法案H.R.2934(Decreased Unsafe Toxins Act)を導入し、12 歳以下児童用クッション製品中に、有機ハロゲン系と有機リン系難燃剤を制限2016 年1月19日未塗装・未処理のトランクウッドを玩具規則の重元素含有試験洋犬から除外する最終規則を適用