ブックタイトルメカトロニクス6月号2020年
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メカトロニクス6月号2020年
MECHATRONICS 2020.6 45日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第24回 <話題商品を作る上で貢献する自動実装機>AV機器といった幅広い電子機器で定着化していった(図2)。 従来は、小型、薄型、軽量化を推進するだけのものだったが、コストダウン技術の進歩によって、比較的実装密度が高くない電子機器での採用にも弾みがつき、しかも電子機器の高機能化・高性能化が逆に、よりSMT の必然性を高めた。ますます小型化が追求されて電子部品のチップ化が促進される形となった。 携帯型のビデオが登場してからは、さらに高密度実装技術の確立に拍車がかかり、日本ではSMTが進展し、ソルダーリング技術は格段に向上した。0.3mmのリードピッチのパッケージを一括リフローで生産できる技術が日本では確立された。日本でのSMTは世界に冠たるものとなった。 デジタルビデオカメラになってからは、各社は、いかに小さく、軽く、薄く、つくるかを志向した。日本のエレクトロニクス産業でキャッチフレーズとなった「軽・薄・短・小」化は、まさに時代の要請の中で、大きな目標であり、多くの企業が、このキャッチフレーズの元で努力が続けられた。その結果、日本では、実装技術の確立とともに電子機器を支える素材、電子材料、半導体材料、電子部品、プリント配線板、半導体デバイス等の高機能化が進展していった。これらの周辺技術の確立がさらにモノづくりの上で大きな寄与を果たすことになり、話題商品をつくる上で大きく貢献した。 実装技術を取り巻く要素技術は“ 電子部品”、“プリント配線板”、“自動マウントシステム”である。これらにおける技術革新が高密度実装化につながった。具体的には、電子部品はできるだけ極微小まで小さくすること、またできるだけその部品点数を削減すること、プリント配線板については微細パターン化およびビアホールの小径化、多層化による配線密度の向上が求められ、自動マウントシステムについては超小型部品を高精度に実装、はんだ付けできるシステムが要求されてきた。 実装業界で、手挿入から挿入実装機、表面実装機へと進化し、高速でかつ高精度で高密度実装が可能になった。今後とも曲面にも実装が求められる時代となってきたので、さらに進化をしていくものと思われる。 以上、「裏の技術」の一つとして、自動実装機の誕生から発展までを理解して頂ければ幸いである。<参考資料>1)青木正光、“日本の産業構造の変化にともなう電子機器分 野の話題商品を追う(1)<江戸時代の変遷>” メカトロニクス p44(2018-07)2)武井 豊、“ 途中下車<鉄腕アトムが現実に>” エレクトロニクス実装技術 Vol.17 No.3 p61(2013)図2 表面実装部品表1 実装機および実装周辺機の歩み(代表的なものを体系化)年 号内 容1954年ユニバーサル・インスツルメンツとIBMがアキシャル・リード部品用自動実装機を開発1968年松下電器産業、挿入機の1 号機(パナサート A)を発売1971年富士機械製造、自動組立機を完成1974年ヤマハ発動機、オートバイを生産する際に組み立ての作業者を補助するための機械開発を開始1976 年 ヤマハ発動機、部品組立用スカラロボットを生産ラインに投入1978年富士機械製造、電子部品自動挿入機を開発(BA)(ソニーのWalkman 向け)、電子部品自動装着機(CP-Ⅰ)を完成1981 年 ヤマハ発動機、部品組立用ロボットを外販1982 年 九州松下電器、表面実装装置の生産を開始1983 年 ヤマハ発動機、国際ロボット展に組立ロボットを出展した時にある設備メーカーからチップ部品を搭載する装置のOEM の話しを受けてマウンタの開発が始まる1984 年 ヤマハ発動機、Intelligent Machinery(IM)事業を開始1985 年 富士機械製造、業界初の画像認識付き高速自動装着機(CP-Ⅱ)を完成1987 年ヤマハ発動機、OEM 契約を解消し、ヤマハブランドでチップマウンタを製造し販売を開始するヤマハ発動機、実装機の販売に関してWKK 社と代理店契約を締結JUKI、エントリー用実装機(KP-350)を完成し、チップマウンタ発売開始ヤマハ発動機、画像認識機能付きマウンタ(YV2260)を開発1988 年 JUKI、エントリー用実装機(KP-370、KP-480、KP-560)を完成1992 年JUKI、大型汎用実装機(KC-810)を完成ヤマハ発動機、フルビジョンマウンタ(YV112)を完成1993 年JUKI、高速チップマウンタ(KE-710)、高速汎用マウンタ(KE-720)を完成富士機械製造、超高速(0.09 秒/個)実装装着機(CP-6)を完成1994 年 JUKI、半自動印刷スクリーン機(KS-180)を完成1995年JUKI、検査装置付き全自動スクリーン印刷機(KS-630)、画像認識付き全自動スクリーン印刷機(KS-370)を完成JUKI、異形部品マウンタ(CAT-1000)、高速チップマウンタ(KE-730)、高速汎用マウンタ(KE-740)を完成1997年JUKI、高速チップマウンタ(KE-750)、高速汎用マウンタ(KE-760)を完成1998年JUKI、高速ディスペンサ(KD-775)を完成1999年JUKI、画像認識付き全自動スクリーン印刷機(KS-1700)を完成ヤマハ発動機、X シリーズから中型マウンタを自由に複数台連結することで高速大型機に匹敵する生産性を達成富士機械製造、コンパクト高速多機能装着機(XP)を完成2000 年 JUKI、高速チップマウンタ(KE-2010)、高速汎用マウンタ(KE-2020)を完成2001年JUKI、高速チップマウンタ(KE-2030)、高速汎用マウンタ(KE-2040)を完成2003年JUKI、高速チップマウンタ(KE-2050)、高速汎用マウンタ(KE-2060)を完成松下電器産業(株)FA 社と九州松下電器(株)FA 事業部を統合し、パナソニックファクトリーソリューションズを設立富士機械製造、モジュール型高速多機能装着機(NXT)を完成2004年JUKI、高速モジュラーマウンタ(FX-1)を完成富士機械製造、タレット型高速装着機(CP-8)、コンパクト装着機(XP-143E、XP-243E)を完成2005年JUKI、次世代汎用プレーサー(CX-1)を完成ヤマハ発動機、マウンタ製品の出荷台数は世界一を誇る(国内販売/海外販売=48%/52%で海外販売の内、5 割が中国向け)富士機械製造、オールインワン装着機(AIM)を完成富士機械製造、高精度クリームはんだ印刷機(GPX)を完成2007 年JUKI、高速チップマウンタ(KE-2070)、高速汎用マウンタ(KE-2080)を完成富士機械製造、高速複合型装着機(XPF)を完成年 号内 容2008年JUKI、高速ディスペンサ(KD-2077)を完成JUKI、高速モジュラーマウンタ(FX-3)、高速チップマウン(KE-1070)、エントリーマウンタ(JX-100)を完成富士機械製造、モジュール型高速多機能装着機(NXT Ⅱ)を完成2009年JUKI、高速モジュラーマウンタ(FX-2)を完成パナソニックファクトリーソリューションズ鳥栖工場(旧九州松下電器本拠地)を閉鎖(今後は甲府事業所に集中)2010年JUKI、エントリーマウンタ(JX-100LED)、高速チップマウンタ(KE-3010)、高速汎用マウンタ(KE-3020)を完成2011年JUKI、エントリー汎用マウンタ(JX-200)、高速モジュラーマウンタ(FX-3R)、マルチタスクプラットフォーム(JM-10)を完成富士機械製造、小型スクリーン印刷機(NXTP)を完成富士機械製造、モジュール型汎用自動組立加工装置(sFAB)を完成2012年富士機械製造、拡張型オールインワン装着機(AIMEX ⅡS)を完成パナソニックファクトリーソリューションズ、スクリーン印刷機(SPG)の受注開始JUKI、マルチタスクプラットフォーム(JM-20)を完成JUKI、LED マウンタ(JX-300LED)、高速コンパクトモジュラーマウンタ(RX-6)、高速コンパクトモジュラーマウンタ(RX-7)、モジュール型高速多機能装着機(NXTⅢ)を完成JUKI、基板外観検査機(RV-1)、クリームはんだ印刷機(RP-1)を完成富士機械製造、拡張型オールインワン装着機(AIMEXⅡ)を完成パナソニックファクトリーソリューションズ、モジュラーマウンタ(AM100)の受注開始ヤマハ発動機、アイパルスを吸収合併2014年パナソニックファクトリーソリューションズ、プロダクションモジュラー(NPM-D3)の受注開始JUKI オートメーションシステムズとソニーイーエムシーエスの実装機器事業部門を統合ヤマハ発動機、万能マウンタ/高効率モジュラ Z:LEX YSM20の販売を開始2015年ヤマハ発動機、日立ハイテクの実装事業を譲受富士機械製造、スクリーン印刷機メーカーSpeed Line Technology社と販売提携パナソニックファクトリーソリューションズ、スクリーン印刷機(SPV)の受注開始富士機械製造、クリームはんだ印刷機(GPX-C)を完成富士機械製造、ハイブリッド実装機(NXT-H)、モジュール型多機能装着機(NXT Ⅲc)を完成3 次元射出成形回路部品(MID:Molded Interconnect Device)への対応力を強化したi-PULSE(アイパルス)3Dハイブリッドマウンタの新製品「S10」および「S20」を完成富士機械製造、拡張型オールインワン装着機(AIMEX Ⅲc)、拡張型オールインワン装着機(AIMEX Ⅲ)を完成2016年パナソニックファクトリーソリューションズ、統合ライン管理システム(iLNB)の受注開始2017年JUKI、高速スマートモジュラーマウンタ RS-1を完成ヤマハ発動機、浜松市北区豊岡町に新事業所を完成し、IM 事業を集約パナソニックファクトリーソリューションズがパナソニック溶接システムとパナソニック溶接システム加賀を吸収合併して社名を「パナソニックスマートファクトリーソリューションズ」に変更富士機械製造、クリームはんだ印刷機(GPX-CS)を完成富士機械製造、ハイブリッド実装機(NXT-Hw)を完成2018年パナソニックスマートファクトリーソリューションズ、モジュラーマウンタ(VM101、VM102)の受注開始「富士機械製造株式会社」から「株式会社 FUJI」へ社名変更日本ロボット工業会が異なるメーカー/種類の基板実装ラインの設備間で各種生産データをやり取りするための通信仕様(JARAS101)を第 20 回実装プロセステクノロジー展で公表2020年ヤマハ発動機、プレミアム高効率モジュラー(YRM20)の受注開始FP 角チップ部品