ブックタイトルメカトロニクス11月号2019年
- ページ
- 9/56
このページは メカトロニクス11月号2019年 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは メカトロニクス11月号2019年 の電子ブックに掲載されている9ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
メカトロニクス11月号2019年
MECHATRONICS 2019.11 9んでした。 まず、フィーダを自動で交換するためには、フィーダとリールが一体になっていないと非常に難しく、しかもフィーダ自体が凹凸のない交換しやすい形状になっていることが条件になってきます。今までのフィーダは、デコボコしているのが一般的で、場合によってはフィーダとリールがまったく別の位置にあるケースも存在するので、これでは自動化など到底不可能に近い状態でした。そのため、装置の設計を根本から見直す必要があり、 従来機との互換性は失われますが、思い切って新設計からスタートしました 。 この考え方は、かなり前からありましたが、実際に着手したのは3、4 年前になります。そして、先日の『JISSO PROTEC』で初めて参考出展したのが、自動部品補給システムを搭載した電子部品実装ロボット『NXTR(ネクストアール)』(写真1)と、クリームはんだ印刷機『NXTR PM(ネクストアール ピーエム)』(写真2)になります。 今回の展示では、自動化機能の一部をみていただくだけになりましたが、非常に多くのお客様が当社ブースに足を運んでいただき、注目度の高さが窺えました。すでに多くの引き合いなどもいただいていますが、実際の発売時期としては2020 年春頃を予定しており、今回展示した以外にも自動化部分が数多くあるので、それまでに完成度をさらに上げていきたいと考えています。 『NXTR』と『NXTR PM』の特徴などを お聞かせください須原 : まずは、電子部品実装ロボット『NXTR』について紹介します。この製品には、フィーダを運んでセットする新開発の「スマートローダー」が搭載されており、必要な時に必要な場所へ、正確に部品を自動でセットすることが可能です。これにより、オペレータの作業負荷が軽減でき、作業ミスによる装置停止をなくすことで生産性の向上が期待できます。 また、生産に使用するフィーダだけではなく、次生産用や補給用の部品がセットされたフィーダを準備しておくスペース(ベースバッファ)を備えています。これにより、段取り替えや部品補給時のフィーダ移動は、ベースバッファと本機の上下間で行われ、「スマートローダー」の動作は最小で時間は最短になり、効率的な交換が実現できます。 当社従来機である『NXT』で高い評価をいただいている交換可能な小型軽量ヘッドについても、さらに磨きをかけて3タイプ(RH20/ 08 / 02)に集約しています(写真3)。実装品質の面では、リアルタイムで吸着/装着部品チェックを行うIPS(インテリジェントパーツセンサ)に加え、 全ヘッドがタッチダウン検出(装着高さ調整)機能に対応したため、確実な実装を実現します。また実装速度においても、RH20 ヘッドは従来ヘッド(H24S)と比べて42%向上し、高速/高精度/低衝撃という当社製実装ロボットの強みがさらに向上します。 さらには 、ベース内に配置されたコンベアにより、リールから発生するごみを自動回収することで、常に実装フロアの環境をクリーンに保つと同時に、ごみ回収作業の負荷軽減を実現します(写真4)。これにより、残テープ回収の効率向上に貢献することができます。 次に、クリームはんだ印刷機『NXTR PM』を紹介します。この製品は、新たに開発したスキージと印圧制御システムにより、はんだ転写量の制御を高速で実現します。これにより、難易度の高い基板やパターンでも、安定した転写量を確保することができるようになります。 従来の印刷機では、スクリーンマスク、はんだ、クリーニングペーパーの交換など手作業が多く存在し、自動化はほとんど進んでいませんでした。この製品は、これらの自動化を最重要課題と位置づけて開発しており、 運転中のクリーニングペーパーやはんだカップの交換、はんだ自動供給などが可能になっています(写真5、6)。 また 、1 台でシングルレーン生産、デュアルレーン生産に対応します(写真7)。さらに、『NXTR』とコンベア位置や基板幅の仕様を統一することでトラバーサーが不要になり、直行ラインを構成する印刷機となり、多品種少量から大量生産まで柔軟な対応が可能になります。 スクリーンマスクも650×550mmから29インチサイズ、750×810mmまで幅広いサイズに対応でき、『NXTR』と同様にどのような市場のどのような基板にも柔軟に対応し、高い信頼性と印刷品質を確保することができる製品です。 今後の展開についてお聞かせください須原: 1つには、半導体分野といったSMT(Surfacemount technology)の前工程にもっと目を向けていきたいと思っています。そのため去年の8月に、ダイボンダ装置メーカーであるファスフォードテクノロジ株式会社(以下、ファスフォードテクノロジ)の株式を100%取得しています。 今までの半導体実装というのは、どちらかというと狭いエリアで実装していましたが、最近では半導体そのものをウエハのまま基板に実装するといった製造プロセスが増えてきており、そういった分野に力を入れていきたいという考えがありました。しかし、それに対応する装置を開発するには、 実装ロボットの技術だけでなく、ダイボンダの技術も必要になってきます。 今回、ファスフォードテクノロジがグループ会社の一員になったことにより、新しい装置を開発するうえでシナジー効果が出てくることに期待しています。 それから、 実装ロボットではある程度自動化や省人化が進んでいますが、挿入工程やその後のアセンブリなどでは、まだまだ人手による作業が多く見受けられます。そういった部分にも、我々の要素技術を活かした製品展開で、自動化や省人化に向けた動きを進めていければと考えています。 さらに、自動化や省人化だけでなく、生産性を決めるうえで非常に重要となる生産スケジュールについても力を入れていきます。生産スケジュールを如何に効率良くつくるかは、ソフトウエアや場合によってはAIを使うこともあると思いますが、ものをつくるだけでなく、こういった部分への取り組みも大事であると捉えています。 このようなサービスやソリューションの提供といった、まだ世の中にないようなことを先行して進めていきたいということが今後の展開でもあり、それが社名変更した理由にも繋がっています。本日はお忙しい中ありがとうございました。所在地 :U R L :事業内容 :愛知県知立市https://www.fuji.co.jp電子部品実装ロボット・工作機械の開発/製造/販売、など。株式会社 FUJI・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・写真3 新開発の小型軽量ヘッド『RH20/08/02』写真5 クリーニングペーパーの無停止交換写真7 シングルレーン生産とデュアルレーン生産用スクリーンマスク写真4 残テープ回収ユニット写真6 はんだカップの無停止交換