ブックタイトルメカトロニクス10月号2019年
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メカトロニクス10月号2019年
16 MECHATRONICS 2019.10イグス ドイツ・ケルン工場概要?イグス社は機械や生産設備の可動部に使用される樹脂製品「モーションプラスチック」を製造販売している。ドイツ・ケルン市の本社は延床面積90000m2 を誇り、研究開発、生産、販売、管理、計画といった主要な活動のほとんどが行なわれている。モダンなデザインの広々とした工場内では、スクーターと呼ばれる電動のパーソナル移動手段が400 台導入さされており、工場内での移動効率化に一役買っていた。製品の信頼性を支えるテストラボ 本社工場内には面積2750m2 を占めるテストラボと呼ばれる試験施設があり、多数の試験装置を備え日夜テストが繰り返されている。年間で実施される評価テストは15,000 種類、10 億サイクルを数える。自社製品のみならず、他社製品も含め曲げたり、往復運動をさせたり、ねじったりして製品の状態や寿命などのデータを収集している。こうした評価テストで製品データを収集することは、創業当時から続けられている。創業当時から収集されている評価データを活用することで正確な製品寿命の予測なども可能になる。これが『スマートプラスチック』と呼ばれる技術につながっているのである。モーションプラスチックを生み出す生産ライン ケルン工場では、500台の射出成形機が稼働している。全製品を生産する300 台のライン、小型のすべり軸受を専門に生産する100 台のライン、ケーブル保護管『エナジーチェーン』を主に生産する100台の生産ラインといった構成になっている。工場内の射出成形機の稼働状態はモニタで常に監視されており、どの機械がどのような状態であるかがひと目でわかるようになっている。これにより最適な稼働状態が維持されるのである。射出成形機で使用する金型も大部分は自社で生産している。設計から生産、修理に至るまで60 人体制で対応している。すべり軸受といった少量多品種の製品も多いことから、金型の交換は頻繁に行なわれる。新たなる挑戦 ケルン工場では様々な新しい取り組みが見られる。自動組立ラインもその一つである。自社開発ロボット『ロボリンク』を使用し『エナジーチェーン』を組み立てている。従来、人の手による組み立てをロボットに代替させることで、生産性をより高める狙いがある。自動搬送車(AGV12台)の導入にも生産の効率化を模索する姿勢がうかがえる。まだまだ実験段階だということだが、人とロボットが協働する工場を実際に目の当たりすることができた。さらに今年の3月からは新しい工程管理システムも導入されている。こちらは、射出成形機だけではなく、受注から生産までの進捗状況を可視化するシステムである。現在はデータを収集している段階だということである。効率化の向上にとどまらず生産規模の拡大にも取り組んでいる。新工場建設がそれである。現在の敷地の道路を挟んだ向かい側に、敷地面積40000m2の新工場建設を予定している。今年中に着工し2020年竣工を目指すとしている。フランク・ブラーゼCEOインタビュー●製品に関して今後の方針を教えて下さい。 それぞれの製品というよりは、お客様がイグスを見つけやすく、または探しやすくなるようにするということが基本的な考え方です。それにはセールパーソンを通じて行う活動やWebでの展開も含まれます。●日本市場で力を入れていくとすれば どのような業界が考えられますか。 従来から力を入れている工作機械、自動車、港湾、重工業といった業界は今後も重要な産業セグメントであることに変わりありません。個別の製品でいえば、プラスチックベアリングは開拓の余地が大きいと考えています。メディカルや建築機械、耐荷重用途、半導体やエレクトロニクスといった業界や用途にも、油を使用しない、メンテナンスフリーを特徴とするイグス社製品は有望だと思います。●日本の市場に入って行くのは難しいですか。 他の国と比較すると難しいと感じています。なぜなら、日本のお客様は品質に対する要求が非常に高く、ほとんど完璧でなければ受け入れてもらえません。もう一つは、ビジネスの安定性という意味から、日本の固有のベンダーとの関係が構築されており、そこに海外の企業が入っていくことの難しさがあります。しかしながら、現在お客様の開発プロジェクトでテストされているものも多数あり、今後採用される案件も増えていくと期待しています。●最後に本誌読者に向けてメッセージをお願いします。 創業以来訴え続けてきましたが、「お客様の問題に対するソリューションを提供するチャンスをいただきたい」。これまで他ではできないことの最後の駆け込み寺のような存在としてやってきました。しかし、できればもう少し早く声をかけていただきソリューションを開発する時間をいただけると、もっとありがたいと考えています。イグス ドイツ・ケルン工場タイアップ 工場レポートPR F a c t o r y R e p o r t