ブックタイトルメカトロニクス10月号2019年

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概要

メカトロニクス10月号2019年

12 MECHATRONICS 2019.10 御社の概要についてお聞かせください丸山 : 当社は、ドイツに本社を置くLuxor Solar 社の日本法人として、2012年9月に設立しています。ドイツ本社については、2004 年に創業し、今年で節目の15 周年を迎えており、太陽光パネルの専業メーカーとしてヨーロッパを中心に事業展開しています。 当社は、Luxor Solar 社において唯一の法人化であり、ヨーロッパではいくつかの主要都市に営業所などを設置してビジネスを行っています。日本のマーケットはヨーロッパと比べてちょっと特殊なので、まずはお客様の信用を得る手段として法人化を選択しており、そういった問題がなければヨーロッパでのビジネススタイルと同様に、駐在所や事務所での設置になっていたと思います。また、日本ではFIT(固定価格買い取り制度)のスタートもあり、最優先で日本市場に展開したいというドイツ本社の思惑もあったようです。そのため、当社はアジアパシフィックの拠点にもなっています。まだ、フォローしていない地域もありますが、東南アジアやオーストラリアについても当社の管轄になります。 次に当社の事業展開ですが、設立当初はドイツ本社と同様に太陽光パネルを中心としたビジネスを行い、周辺部材などについては専業メーカーや商社などからお客様サイドで直接購入して頂くような提案をしていました。しかし、日本市場においては国内の大手電機メーカーが太陽光発電に必要なものをすべてパッケージ方式で用意するため、太陽光パネルだけでは中々厳しい状況でした。 このままでは、日本でのビジネスに支障をきたすと判断し、私がドイツ本社に進言し、ゴーサインが出たことで設立後1 年ほど経ってから日本独自のビジネススタイルとして、太陽光パネルだけでなく周辺部材などについても商社的立場で取り扱いを始めました。 そのため現在では、太陽光パネル/インバータ/モニタリングシステム/架台といった4つの事業でビジネスを展開し、お客様のニーズにマッチする製品を品質だけでなく、低コストで提供していけるような体制を構築しています。はじめは、岡山など中国 太陽光パネルの専業メーカーであるLuxor Solar社の唯一現地法人として設立されたLuxor Solar株式会社。販売競争が激化する日本市場において、他社との差別化を図るため「製品寿命を延ばしたい」などのユーザーニーズにマッチする製品を提供する同社の概要、生産体制や注力製品などについて、プロジェクトディベロップメントマネージャー 呉 龍 氏、営業マネージャー 丸山 輝也 氏のお二人にお話を伺った。プロジェクトディベロップメントマネージャー呉 龍 氏営業マネージャー丸山 輝也 氏様々なユーザーニーズに対応した太陽光パネルを提供~製品寿命を延長させるなどで他社との差別化を図る~地方で低圧の案件から徐々に販売実績を伸ばしていき、現在は九州から東北地方といった広範囲に低圧だけでなく高圧案件や特高などにも対応し、販売を行っています。 御社の太陽光パネルについて、生産体 制や特徴などお聞かせください呉 : 当社は自社工場をもたず、OEMで自社の太陽光パネルを製造しています。これはドイツ本社も同じ生産体制で、設計自体は自社で行いますが、製造は中国を中心としたアジアと、ドイツを中心としたヨーロッパの委託工場で行っています。現状ではアジアがメインになっており、中国に3 名の駐在員を配置し、彼らが日本とドイツからの両方の依頼を受け、お客様のニーズや価格にマッチするサプライヤーをセレクトし、交渉する窓口になっています。 このようなOEMに徹した生産体制を取ることで、標準サイズの製品以外にも、お客様のニーズによる様々なサイズの製品でもフレキシブルに対応することができます。これが、当社の大きな強みになっており、競合他社との差別化を図れる部分でもあると思っています。 そのような中で、サイズ以外にも「耐久性を強化して製品寿命を延ばしたい」というお客様のニーズにも対応しています。これは、通常の太陽光パネルを製造する生産工程とは異なり、特殊な装置も必要になるため、ヨーロッパの委託工場に依頼しています(写真1)。コストの問題で、中国の委託工場でも対応できないかチャレンジしてみましたが、つくることはできませんでした。 大きなポイントとしては、自動車などに採用されている合わせガラスの技術をベースにした独自のラミネーション技術がコアになっています。従来のラミネーションプロセスでは、モジュールの外側から機械的圧力をかけていましたが、当社ではモジュールのガラス表面に均等に圧力がかかるようサンドしています(図1)。この技術により、セルに機械的負荷を与えずラミネート加工しているため、半導体の寿命や性能に直結し、モジュールの寿命をさらに延長させることが可能になりました。 自動車などに採用されている合わせガラスは、内側と外側のガラスに加熱された透明で引き裂き抵抗の強いプラスチックフィルムにより、フロントガラスが破損しても破片が飛び散ることを防止することができます。当社では、この技術を応用することで、太陽光業界においても安全性に優れ、耐久性の高い両面ガラスモジュールの製品化を実現しています。Luxor Solar株式会社写真1 独自のラミネーション加工を行う装置図1 ラミネーションプロセスの比較