ブックタイトルメカトロニクス8月号2019年

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概要

メカトロニクス8月号2019年

MECHATRONICS 2019.8 45日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第14回 <話題商品を支える電子回路基板(その2)>4. 電子回路基板の海外生産 最終製品を製造するエレクトロニクスメーカーの海外進出に伴って、顧客の要望もあり、電子回路基板メーカーも表1に示すように海外進出して生産拠点を設けるようになった。 図4に示すように日系の電子回路基板企業の2001 年度は12% の海外生産比率に対して、2018年度の海外生産比率は既に60%となり、この期間、海外での生産が高まったことになる。その結果、国内生産は減少方向となった。台湾も同様に中国本土での海外生産が多くなり、海外生産比率が61 %となっている。2) 日系の電子回路基板企業の生産拠点は、中国、台湾、フィリピン、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、ベトナムなどのアジア地区を中心に進展した。早くからシンガポール、ベルギー、米国、プエルトリコなどに生産拠点として進出したものの撤退した例もある。 2015 年以降は、少し海外生産比率が鈍っており、2021 年の海外生産比率は57 %程度と予想されている。海外生産の中心はコスト優先の大量生産の量産工場を海外に設置しての対応であり、国内生産よりも海外生産の方が多くなり、国内が空洞化した点である。進出先の海外の人件費が上昇したことによって、製造拠点の見直しも検討されつつある。 一方、国内には、最先端の技術や素材を駆使した難易度の高い高付加価値品や新規開発品の試作品などの供給拠点に位置付け、国際分業が進展していった。5. 今後の展望 図2に示したように時代とともに使用される電子回路基板の種類が変わっていった。最近の電子機器を見てみると身に着けるウェアラブル機器も注目され、違和感のないような形体にする必要から更なる小型化・高密度化が叫ばれている。 そのような要求を満たすためには、2 次元から3次元への実装が容易にできるとともに、回路も単に基板材料の上に銅箔を配置して従来方式による回路形成から新たな方式による回路形成の検討も重要となってきた。 3Dプリンタによる3次元の回路を形成するのも解の一手段かもしれない。あるいは、従来の既成概念にとらわれないで新しい発想の下で新技術を開発するのも重要な課題である。 思えば、日本では、1955 年にポータブルトランジスタラジオに印刷配線板(プリント配線板、電子回路基板)が使用され始め、それが今や多くの電子機器に使用され、電子回路基板として成長して発展し、その生産拠点もアジアで世界の83%が生産されており、確実にアジアに重心が移ってきた。<参考資料>1) 青木正光、“日本の電子回路基板産業の現状と将来展望”  エレクトロニクス実装学会誌  Vol.21 No.3 pp207~pp215(2018)2)青木正光、“ 台湾の電子回路基板市場動向”  エレクトロニクス実装技術  Vol.35 No.2 p39(2019)No. 会社名(アルファベット順) 生産拠点としての進出先1 大昌電子中国、フィリピン2 イースタン中国、マレーシア3 エルナーマレーシア4 フジクラタイ5 富士通インターコネクトテクノロジーズベトナム6 北陸電工マレーシア7 イビデン 中国、マレーシア、フィリピン、シンガポール、米国8 板橋精機フィリピン9 京写中国、インドネシア10 キョウデンタイ11 メイコー 中国、ベトナム12 日本シイエムケイ中国、タイ、マレーシア13 日本メクトロン台湾、米国、中国、フィリピン、タイ、ベトナム、ドイツ14 日本発条マレーシア15 住友電工プリントサーキットフィリピン、タイ、ベトナム、中国16 シライ電子中国17 サンタ軽金属工業中国18 ワイケーシー中国19 山本製作所中国表1 日系電子回路基板メーカーの海外進出図3 電子回路基板の生産国順位(2017年/WECC) 図4 日系企業の電子回路基板海外生産比率(*印は予測)