ブックタイトルメカトロニクス8月号2019年
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メカトロニクス8月号2019年
44 MECHATRONICS 2019.8 日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第14回 <話題商品を支える電子回路基板(その2)>連 載 前回は、日本国内で生産する電子機器の実態について紹介した。それでは、次に電子回路基板市場について電子機器の国内生産がどのように影響したかを紹介する。1. 電子回路基板市場推移 電子回路基板の生産統計資料は日本電子回路工業会から公表されており、市場推移を体系化すると図1のようになる。図1を詳しく見ると3回の成長の山があり、2 回目の山が2000 年で1.44 兆円をピークに、3 回目の山は2007 年で、国内はそれ以降、縮小市場となっている。 今や、34 年前の1985 年頃の6,600億円の市場規模まで減少していることが分かる。2007 年以降の国内生産の減少ぶりは、後述する海外生産比率の増加によるものと一致し、電子機器の国内生産の減少に伴って、電子回路基板は国内生産から海外生産へシフトしたことによって国内生産規模が減少していった。1)2. 分野別市場推移 市場推移を見る場合にどんな分野が進展したかを分かり易い図で示すと図2 のようになる。 この図から分かることは、片面プリント配線板から両面プリント配線板へ、そして多層プリント配線板へと高密度化が進展し、フレキシブルプリント配線板の使用が増え、さらにサブストレート基板(モジュール基板)が半導体パッケージ用に応用展開されていき、用途が広がっていった。1) 多層プリント配線板の中には薄物多層プリント配線板が民生機器の軽薄短小化の要望から進展し、1.6mm の標準板厚の概念から0.6~0.8mm の薄物が、多層分野でも進展した。この民生機器分野で風穴を開けたのは、ソニーが商品化したカメラ一体型VTR の『CCD-TR55』に採用された電子回路基板であると言って良いかと思う。 多量に生産する民生機器に板厚0.6mm の4 層多層プリント配線板が採用されたのは、当時としては画期的で快挙であったと言える。 板厚が半分になり、材料をそれだけ使用しなくても高密度配線を可能にしたので環境面でも省資源であるため欧州からも注目された。 また、ビルドアップ多層プリント配線板の登場により、高集積の多ピン半導体パッケージの実装に対応することが可能となった。 さらに半導体パッケージのインターポーザに有機基板のプリント配線板が採用されたことにより、高精細のビルドアップ多層プリント配線板がサブスト特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 青木 正光レート基板として登場し、この分野では日本が先駆的な役割を担った。 この分野を取り込んだので日本での電子回路基板の生産減少に少し歯止めがかかった。しかし、それでも日本国内の電子回路基板産業の国内での生産は縮小傾向となっているのは事実である。3. 日本の電子回路基板生産の 世界での位置付け 日本で生産する電子回路基板の市場規模を世界レベルで鳥瞰すると図3 のようになる。 台湾、韓国などの追い上げにより、日本国内での電子回路基板の生産規模は、世界で4位の位置付けにある。 2000 年代以降、中国の躍進が目覚ましく、世界の工場として位置付けされて多くのエレクトロニクスメーカーが中国に進出したのに伴って、電子回路基板の中国での需要が増加したことによって、生産規模が拡大していった背景がある。今や電子回路基板は世界の約半分は中国で生産されていることになる。図2 電子回路基板の分野別推移(JPCA&M.Aoki)図1 電子回路基板の国内生産額の推移(JPCA)