ブックタイトルメカトロニクス8月号2019年
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メカトロニクス8月号2019年
MECHATRONICS 2019.8 11所在地:U R L:事業内容:東京都江東区http://www.magnescale.com精密計測機器の開発/製造/販売。株式会社 マグネスケール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フトウエアの開発拠点として、人材の確保も期待しています。 御社の事業展開などについて お聞かせください藤森 : 当社は、大きく分けて3つの製品カテゴリにより事業を展開しています。 1つ目は、創業時から続く磁気式のマグネスケールを中心にした工作機械業界向けの製品で、オイルやクーラントが充満する過酷な環境下でも安定した計測を可能にします。 2つ目はレーザ光源を使用したレーザスケール事業で、その分解能はナノメートルを超えピコメートルを実現し、主に半導体や液晶製造装置向けに使用されています。次世代の装置に必要とされる分解能や性能を先取りする形で開発を行い、最先端の計測や位置決めに貢献しています。 そして3つ目はマグネスケールの技術を応用した磁気式の測定器となるデジタルゲージとそのシステムで、特に自動車や電子部品の品質管理のための精度測定とそのデータ処理に使用されますが、IoTが急速に進む中、品質管理の自動化も進み、その需要が一段と加速しています。 これら3事業の売上比率は、レーザスケールが51%、マグネスケールが38%、デジタルゲージが11%です。私達は、やみくもに事業分野を広げるのではなく、今もつコアテクノロジーの領域の中で一番効果的な位置情報やデバイスの提供を行っていきたいという思いがあります。「測定」はものづくりにおいて欠かすことの出来ない工程であり、これを行わないと何も始まりません。「測定」をすることにより製品の実力を知ることができ、不良品の削減にも繋がりますし、不良を出さないことは地球資源を無駄にせず、地球環境の保全にも貢献できると考えます。 年々、工作機械の加工精度・速度が向上しており、それを先取りする製品の開発を行っております。しかし、どんなに細かく位置情報を検出したとしても、その情報を伝える応答速度が遅ければ意味がありません。速く動かし正確に止める、あるいは正確な位置情報をすばやく伝達するということを“SPEED× PRECISION”というキャッチフレーズにして製品開発を行っています。またこのキャッチフレーズは製品だけでなく、社員の働き方にも通じるところがあり、会社全体のモットーにしています。 事業の柱となる製品群の中から、 現在注力している製品について お聞かせください藤森 : まずは、悪環境に強い磁気式のマグネスケールをさらに進化させ、エアパージ不要の位置検出を可能にした『SmartSCALE(スマートスケール)』を紹介します(写真1)。この製品は、スケールと検出ヘッドが分離構造になっており、それぞれ保護等級IP67の防塵・防水性を実現しています。耐環境性に優れているため、工作機械に多く使用されますが、近年、加工工場では工場内エアーの削減が要求されており、エアパージを不要としたスマートスケールは省エネスケールとしても採用が増えています。 次に、超高精度、超高分解能が特長のレーザスケールを紹介します(写真2)。この製品は、最先端の半導体製造やカメラのレンズをはじめとする光学部品の高精度金型加工機などの分野で活躍しています。新製品のリニアエンコーダシステム『BL50H』は分解能6.1ピコメートルでありながら毎秒5メートルの応答速度を実現しました。ハイエンドな工程だけでなく、半導体製造プロセス全体に広く使用できる製品として企画しました。 3つ目の製品として、「長さ」の国家標準にトレーサブルなデジタルゲージを紹介します。マグネスケールの検出技術による優れた耐環境性に加え、独自機構による高剛性の摺動を実現し壊れにくく悪環境に強く正確な位置検出を行います(写真3)。先程紹介したようにIoT化にも対応するため様々なオープンネットワークインタフェースを用意しています。今後はさらに増加するデータ収集に対応するシステムやソフトウエアを含めた対応を強化していきます。 最後に、工作機械など回転軸の校正を容易に行うための自己校正型高精度ロータリエンコーダを紹介します(写真4)。このエンコーダは産業総合研究所からの依頼がきっかけで生まれましたが、取り付け時の偏心誤差や周期的な誤差を自分自身で計測して自己校正することにより、一周当たり±0.2角度秒以内の高精度を実現するものです。このエンコーダを基準に装置のエンコーダを校正すれば、手軽に装置回転角の精度向上が図れます。この製品は2018年度の精密工学会技術賞を受賞しました。 50周年という節目を迎えられましたが、 次の50年に向けた今後の展開について お聞かせください藤森 : ソニーグループの時代には、オーディオ・ビデオなど商品ライフが短く短期間でドメインシフトが起こるような事業モデルと同じように経営判断され、長期的な投資が難しかったのですが、DMG MORIのグループ会社になって、もう少し積極的に動けるようになりました。50周年を機に、次の50周年へ向けてさらに会社の規模を大きくしていきたいと考えています。しかしながら、それは私達のお客様が展開しているビジネス領域にまで踏み込んで売上を拡大することではなく、あくまで計測機器とそのシステムの領域で事業展開をしていくつもりです。実際、過去に事業拡大のために様々な計測機器を組み込んだ装置ビジネスに手を拡げていたことがあり、その時の失敗がありがたいことに教訓になっています。それぞれの守備範囲の製品を極めていきたいと考えています。 先程も少しお話しましたが、限りある地球資源は有効に使わなければなりませんし、これからもさらにものづくりは増えていくと予想されます。正確な計測を行うことで不良を防止するような製品や仕組みが実現できれば地球環境にも大きな貢献ができます。そのような中で、“エクセレント”と評価される装置をつくられているお客様にとって、「マグネスケール製品を使ってよかった」あるいは「マグネスケールだから出来た」といった製品づくりを目指していきます。 また、当社には国家標準に基づいた長さの二次標準器があり、校正事業の認定をもっています。今回、新たに角度のトレーサビリティの確立を進めており、回転の校正ビジネスの分野へも進出する予定です。校正は製品を販売するだけでなく毎年、誤差が発生していないか確認してトレーサビリティを保たなければならないので、このビジネスがどのような広がりを見せていくのか期待しています。 さらに、半導体製造装置や非球面加工機の精密制御のセンサとして搭載されるレーザスケールの研究環境および生産能力を高めるために、今年の6月に伊勢原事業所敷地内に4号館を新設しました(写真5)。この4号館に設置した特別な部屋は、温度変化や気圧、振動などの外的影響を遮断するクリーンルーム構造になっており、現在時間のかかっている研究開発が加速するものと期待しています。 そしてこれからの50年もお客様の声を大切にし、お客様にとって有益な製品を提供していくため、さらなる技術の向上にもつとめていきます。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真4 高精度ロータリエンコーダ写真5 2019年6月に新設した伊勢原工場4号館写真3 デジタルゲージ