ブックタイトルメカトロニクス6月号2019年

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概要

メカトロニクス6月号2019年

MECHATRONICS 2019.6 11所在地:U R L:事業内容:千葉県船橋市http://www.decsys.co.jp画像処理装置、計測・制御機器、画像処理装置応用システムの開発/製造/販売/エンジニアリング、コンピュータハードウエア/ソフトウエアの開発、ユーザー独自の電子回路開発/設計/製造(量産)。株式会社 デクシス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・タルで保証することができ、それが大きな強みになっています。この要素技術に、3つのプロジェクトをリンクさせ、各市場に特化した検査装置を開発していくことで、さらに優位性を保っていくような事業を展開しています。 新たなベースとなる新技術を開発され たようですが、開発背景や特徴、導入事 例などについてお聞かせください木下 : 当社が検査対象にしている医療容器や自動車部品のシャフト/プレス部品などは、形状が円柱形になっており、この円柱形の側面検査をする場合、一般的にはエリアで映像を取り込むエリアカメラを使用し、エリアを分割しながら撮るという手法で行われていました。ただ、この手法は光がエリア内で均一に当たらないと、欠陥に感度のばらつきが生じる恐れがありました。 そのため、当社はラインセンサカメラをいち早くスタンドアローン型画像処理に組み入れました。シートや不織布などのロールtoロールで流れているものの検査に、ラインセンサカメラが使われてきましたが、当時は1ライン毎の映像をPCに取り入れ、明るさの変位を見る手法でした。 当社はこの仕組みを応用し、1ラインごとの映像を撮るのですが、その撮る部分だけに光を当て、いつも均一な光のままでワークを回転させることにより、均一な条件の映像を捉えます。そして全周取り込んだ映像をエリア画像に展開します。エリアカメラで捉えた映像では、エリア画像に展開しても明暗が出る映像情報になってしまいますが、当社の場合はまったく同じ明るさの映像情報をエリアに展開することができます。これが、側面検査の感度向上に一番適しており、この手法を最初に取り入れたのは、私が知る限りで当社が一番早かったと思います。 このラインセンサ技術が1つのポイントになり、2002 年頃にラインセンサと当社のコアとなる画像処理を組み合わせたソフトウエアなどが開発され、これを表面検査におけるボトルやシャフト/プレス部品などの側面検査用途に納入し、感度としてはエリアカメラより優れているという評価を頂きました。ただ、表面検査の検査対象によっては、エリアカメラで取り込む場合がよいケースもあるので、当社では両立した使い分けを行っています。 そのような中で、ラインセンサで取り込む場合にもいくつか課題があり、1ラインしか撮れないので実際にピントが合っているのかが非常に分かりづらく、当社のエンジニアが現場で調整する時に非常に苦労しており、何か工夫できないかという問題がありました。また検査対象として、異物や汚れは光を当てると見た目で大体分かりますが、傷は光の当たり具合によって見えたり見えなかったりします。特に、傷の検査は最近シビアになっており、解決策としてそれぞれの欠陥ごとにカメラや画像処理装置を設置する提案が行われていましたが、コストも掛かりスペースも取るといった問題がありました。 このようなニーズやシーズの背景から、当社は1つのポイントになっていたラインセンサ技術をさらに応用し、最大8 台分のラインカメラの機能を1 台のカメラで実現することができる新技術『マルチプルイメージャー』を2015 年に開発しました(写真1)。この新技術により、問題となっていたピントも合わせやすく、すべての欠陥検査を1つの光学条件で一度に行うことが可能になり、コストやスペースを削減することができます。 最近では、フィルム検査装置、チューブ外観検査装置、車載ギア外観検査装置への需要が増えており、他社にない特許技術ということも評価され、導入実績は格段に伸びています(写真2、3)。また、今まで当社の外観検査システムに採用していたカメラは、当社のオリジナルではありませんでしたが、今回の新技術を導入したカメラは初めて当社ブランドのカメラとなり、ほぼすべての外観検査システムに搭載しています。 今後の展開についてお聞かせください木下 : まず、『マルチプルイメージャー』については、今のところ2次元平面を主体にした撮り方になっていますが、これをさらに応用化した3次元に対応した撮り方にチャレンジしたいと考えています。検査対象の製品が曲面もしくは湾曲していると、高さの平面変動が出ますが、これを『マルチプルイメージャー』を応用し、3次元の映像を2次元化してしまうというイメージになります。 通常、立体物を撮像するとどうしても明暗が分かれて明るさのピントの変動も出ます。これを『マルチプルイメージャー』を使って、一番暗い所や明るい所、一番高い所などの映像を最大8ライン分任意で設定することにより、色々な映像を撮って平滑化し、湾曲だけど最後の処理時には、平坦化の中で検査するというアルゴリズムを開発しました。この手法を自動車部品であるドアノブやドアミラーなど、光の加減が難しいアールの付いている曲面検査をターゲットに提案していきたいと考えています。 それから、先程お話した3つのプロジェクトの中で、医療資材/医薬以外の市場については、今のところ自動車部品が中心になっていますが、その他の分野にも色々とチャレンジしていきたいと思っています。少しずつ導入事例も増えているので、まずはそこから横の繋がりを広げるような展開を目指していきます。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真3 車載ギア外観検査装置『SC-iシリーズ』の検査事例写真2 フィルム検査装置『TMシリーズ』の検査事例