ブックタイトルメカトロニクス10月号2018年
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メカトロニクス10月号2018年
MECHATRONICS 2018.10 45 その後、電源構成は「水主火従」から「火主水従」へと移行し、火力発電の燃料は石炭から石油へ移行した。固体の石炭から液体の石油に取って代った「流体革命」の始まりである。 では、電力構成に関して大きな転換となったのは何かと言えば「石油ショック」と「福島原発事故」の2つである。 1973 年と1979 年に発生した石油ショックは、石油に依存する体質から液体天然ガス(LNG)や原子力発電へとシフトした経緯がある。石油ショックが発生した時には石油火力発電は約60%も占めており、依存度が非常に高かった。中東地区から何の問題もなく石油が手に入ると思っていた。 中東依存を分散する意味もあって、図2に示すようにLNGへとシフトするとともに新たに原子力発電へとシフトすることになり、福島原発事故以前までは、原子力発電は34 %も占めるまでになった。3)5. 温室効果ガス排出量 表2に示すように発電方式によってCO2の排出量が異なり、温室効果ガスの排出を抑える意味もあって原子力発電を促進する政策へと進んだ。 ところが、2011年3月11日に発生した東日本大震災による福島原発事故によって原子力発電による電力を得るには万が一大事故になれば取返しのつかない大きな問題を浮き彫りにした形となった。 そして福島原発事故前は、62%が化石燃料による発電であったが、福島原発事故後は図3に示すように原子力発電の停止もあり、85%が化石燃料による発電へなってしまった。温室効果ガスの低減とは逆の方向に動き始めたのである。これは世界から問題として指摘されている。 CO2の排出量を削減するには、“原子力発電”か“ 再生可能エネルギーによる発電”を高めることにあるが、この2つの選択をどのように選んで進むのか、日本の進むべき針路が問われている。 2018 年7月に日本の中長期のエネルギー政策の指針である「エネルギー基本計画」が改定され、閣議決定した。原発は「重要なベースロード電源」との位置付けとなっており、2030 年に向けて「再生可能エネルギーを確実な主力電源化への布石として取り組みを早期に進める」との表現が盛り込まれ、2030 年度の電源構成比率は、液体天然ガス火力発電が27%、石炭火力発電が26%、 再生可能エネルギーが22~24 %、原子力発電を20~22%とする目標となった。化石燃料による発電が53 %と高い割合となっている。 風力発電、太陽光発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーの割合を更に増やすように努力したいものである。そして更に発電コストの低減化が必要である。 すでにドイツでは、再生可能エネルギーが33%(2017 年)まで占めるようになっている。日本の取り組みは周回遅れで遅れているのである。ドイツからも国際環境シンポジウムで日本は再生可能エネルギーへの取組みは10年も遅れているとバッサリと指摘された。 EU の2030 年までにエネルギー消費の27%を再生可能エネルギーで賄う目標は、2018年に見直され32%に再設定された。世界では再生可能エネルギーを高める動きとなっているのである。 この現実を直視して高い目標を掲げてバックキャスティング方式で、今は何をしなければならないかを日本は検討する必要がある。<参考資料>1.青木正光、“部品内蔵電子回路基板の国際標準化活動” Vol.15 No.7 p509(2012)2.青木正光、“規制がパラダイムシフトを加速 ~世界から ガソリン車が消える日~”エレクトロニクス実装技術 Vol.34 No.5 pp22~pp23(2018)3.FEPC INFOBASE日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う第4回 <電子機器を動かすのに必要な電力>図3 日本の原子力発電の設備利用率推移図2 日本の電源構成の推移 表2 発電方式による二酸化炭素排出量の違い