ブックタイトルメカトロニクス10月号2018年

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概要

メカトロニクス10月号2018年

MECHATRONICS 2018.10 11所在地:U R L:事業内容:茨城県つくば市http://www.kknoa.co.jp3Dスキャナ開発/製造/販売、3Dアプリケーション開発、ファームウエア設計/開発、Windowsアプリケーション開発。株式会社 ノア・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・回のサポインの目的になっており、帯広畜産大学などと共同で研究開発を行っています。 さらに、豚だけでなく牛や馬なども同時に行っていきたいと考えており、牛については酪農で使われている牛の健康状態を管理するための「ボディコンディションスコア」に利用していけるようなことを想定しています。 コア技術を活かした主要製品について 特徴などお聞かせください太田 : まず当社で最初に製品化されたものが、デジカメ感覚で誰でもすぐに使える3Dスキャナ『Hapimo:3D』になります(写真2)。この製品は、モニタ/センサ/バッテリなどすべての制御機器を内蔵したハンディタイプのオールインワン型により、持ち運びにも便利で、PCや光源との接続など面倒な準備も必要なく、これ1台あればすぐに3Dスキャンが始められます。 操作は簡単で、モニタで撮影対象を確認しながら撮影ボタンにタッチするだけで3Dスキャンが完了し、タッチパネルによる直観的な操作により、撮影した3Dデータはその場でくるくる回転してチェックすることが可能です。また、PCに無線LAN機器が必要になりますが、同梱のソフトウエア『HapimoLink』をPCにインストールすれば、本体から3Dデータの取り込みも簡単にできます。さらに、3Dデータ上の2点を選んで距離計測ができるため、メジャーを用意しなくても、手の届かない所でも簡単に測長することが可能です。 発売当初は、民生品として展開を検討していましたが、今までの実績では大学などの研究機関で使用されているのが現状なので、研究開発分野での展開を伸ばしていく方向で進めています。 次に製品化されたものが、空間情報(XYZ)を録画できる3Dデータレコーダ『Duo』になります(写真3)。この製品は、3次元空間をそのまま記録するため、よりリアルに状況を再生することができます。 主な特徴としては、従来の2D映像の平面情報(XY)に加え、奥行情報(Z)も同時に記録して最長40分間録画できるので、時空間をまるごと再現することが可能です。また、録画/再生時とも、3D/2D/深度データを並べて表示できます(写真4)。さらに、赤外線センサにより、暗闇でも空間情報を捉えて記録し、30fpsのフレームレートで物体のすばやい動きにも対応できます。その他にも、リアルタイム3Dプレビュー/静止画切出し/その場で計測などの機能を搭載しています。 そして、この製品を応用したリアルタイム3D合成システム『Duoマルチ』も開発しています。こちらは、複数台の3Dセンサから同時に3Dデータを取得し、その3Dデータを合成してリアルタイム表示する複合システムになります(写真5)。このシステムは、ある農業大学からの依頼で、牛の飼育用に開発したものですが、色々な所に応用できるシステムであると考えています。 次に製品化したのが、北海道大学からの依頼でスタートし、共同で開発した『ボディバランスモニター(背表面3D対称性認識システム)』になります(写真6)。この製品は、3Dスキャナで人体等を非接触計測し、スキャンデータの解析結果から対称性を評価して3Dモデル上に可視化するシステムです。 主な特徴としては、非接触計測のため撮影対象者に負担を掛けず、撮影は瞬時に終わるので、長時間同一姿勢を保つことが難しい方でも大丈夫です。また、撮影された3Dデータを独自のアルゴリズムで高速解析し、対称性の判定を行うエリアは自動で抽出されるので、個別にエリア指定を行う必要はなく、解析開始から結果表示までの所要時間はわずか数秒です。さらに、対称性の高い部分は緑、非対称の部分は赤あるいは青へのグラデーションで可視化され、どの程度のずれを非対称として判断するかのパラメータはミリ単位で指定できます。パラメータを変更することで、より微小な歪みも可視化することが可能です。 この製品は、一度に大勢の計測を行う健康診断などに適した製品であると考えており、現状では医療器としての登録を行うため、色々と準備を進めています。 そして、昨年(2017年)の12月に製品化したのが、『高分解能3Dスキャナ』になります(写真7)。この製品は、非接触で長さや高さを計測するような用途に利用することができます。 主な特徴としては、位相シフト法を用いた3D計測により、最高分解能0.1mmを実現しています。また、3次元形状とカラーテクスチャー画像を同時取得するため、3次元測定計測に従来の2D画像処理を追加することができます。さらに、お客様の要望に応じた様々なワークサイズに対応することができ、試料台も含めたトータルシステムの構築も可能です。 この製品は、昨年の12月に開催された『国際画像機器展2017』の会場で初めて展示を行ったのですが、来場者から予想以上の反響があり、すでに量産化に向けたお話も頂いている状況です。 今後の展開についてお聞かせください太田 : 現在、国内での事業展開が中心となっていますが、今後は海外での事業展開も視野に入れていきたいと考えています。すでに、台湾などには市場調査を兼ねて視察を行っており、少しずつですが準備を進めている状況です。 ただ当社としては、現状自分たちですべて対応することは困難だと思うので、現地の会社とタイアップする形が理想であると考えています。そのため、まずはハードウエアが販売できれば良しと捉えており、ソフトウエアに関してはそれぞれ現地で開発を行って頂くことを想定しています。 それから、今後は分野を問わず“自動計測”という市場が急成長するであろうと予想しています。当社としては、今まで培ってきたノウハウを活かし、幅広い分野に対応できる体制を整えていきたいと考えています。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真6 『ボディバランスモニター』のシステム構成写真3 3Dデータレコーダ『Duo』のシステム構成写真5 『Duoマルチ』のシステムイメージ写真4 3D/2D/深度データの表示画面写真7 『高分解能3Dスキャナ』