ブックタイトルメカトロニクス8月号2018年
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メカトロニクス8月号2018年
MECHATRONICS 2018.8 11所在地:U R L:事業内容:横浜市都筑区http://www.daiichi-foam.co.jp発泡スチロール加工、ディスプレイ製作、オブジェ製作、オリジナルブランドHappo+製品の製作/販売。第一フォーム株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ため、作業者1人で数台を同時に動かすことも可能です(写真4)。当社では、現在10台の加工機を設置しており、この10台を2、3人の作業者で動かしています。また、この加工機は発泡スチロール用なので、機械自体の剛性がそれほど必要なく、構造もアルミを使用したシンプルなものになっています。私的には、プラモデルをつくるような感覚で捉えており、メンテナンスについても電気的なものであれば地元の電気業者で対応できるレベルで、ほとんどこちらから出張せずに解決することができます。 さらに、機械自体に特許を取得しているため、他社では同じような仕組みの加工機を開発できないので、発泡スチロールの熱線加工機分野では、現状ほぼ国内シェア100%近くを占めていると思っています。海外の競合メーカーは存在しますが、機械自体の価格は安くてもメンテナンスの面で手間やコストが掛かるため、以前は輸入している会社もありましたが、最近ではほとんどないようです。 加工の種類についてもお聞かせ下さい澁谷 : 基本的に当社では、熱線によるカット加工がメインですが、お客様によっては強度をつけたいというニーズもあるので、その場合は水性ウレタンを使ったコーティング加工を行っています(写真5)。ただ、コーティング加工はある程度設備が必要になるので、ほとんど当社の協力会社にお願いしています。 屋内の展示会やイベントなどで、2、3日の使用であれば加工の必要はほとんどありませんが、屋外での使用や屋内の長期間展示、または人によく触られるおそれのあるものなどは、強度をつけるためにコーティング加工が必要になります。このコーティング加工の需要は結構増えていますが、コストが上がってしまうので、必ず用途を確認してからお勧めするようにしています。 当社に依頼されるお客様のほとんどが、インターネットで当社のホームページを見つけてご連絡頂くことが多く、特に経費の問題で金属などではコストが掛かるため、低コストで対応できる素材を探されている時にお問い合わせを頂きます。そのため、色々とコーティング加工を加えることにより、金属などとあまりコストが変わらないようでは意味がないので、コストがあまり掛からない発泡スチロールの優位性というかメリットを活かしてもらうような体制を整えています。 また納期についても、色々と検討され、最終的に当社を見つけて依頼されることが多く、あまり余裕がないため、図面の作成から納品までほとんど1週間位で対応しています。ただ、大量に使用するものや複数の場所に徐々に納品していくケースなどで、1ヵ月位かかることもごく稀にあります。 オリジナルブランドの 『Happo+(ハポタス)』を立ち上げた 経緯などについてお聞かせ下さい澁谷 : 発泡スチロールは、どちらかというと裏方的な存在のイメージがあり、ドイツで発明され日本にきて数十年が経っている中で、最大のヒット作が魚を入れる「魚箱」でした。そのため、発泡スチロールを成形する工場は、大きな港や魚市場の近くに多くあったのですが、需要が減ると工場も徐々に減ってきたように、用途の幅が「魚箱」以外にそれほどないような状況でした。 そのような中で、先程も少しお話しましたが、発泡スチロールのメリットを活かしつつ、さらに加工技術もアピールしていけないかと私自身常々思っていました。ただ、それで「魚箱」に変わるものをつくってもあまり当社らしくないので、オリジナルブランド的なものを立ち上げることにより、当社の強みである加工技術を全面に出していけるのではと考えました。そして、実用化されるかは分かりませんが、インテリアなど幅広いものにチャレンジしていこうと思ったことがきっかけになっています。 最初の仕事としては、2013 年に開催されたデザイン関連のイベントである『Tokyo DesignWeek』に出展し、オリジナルブランドの試作品を展示することで来場者の反応を見ることでした(写真6)。要するに、会社として色々な方向にアンテナを張って、「魚箱」や「梱包材」だけでなく、それ以外にも様々な可能性を秘めているのを知って頂くことが、大きな目標になっています。 現状では、まだまだオリジナルブランドの製品化を試行錯誤しながら進めている状況です。ただ、試作品などもつくりながらメディアにも取り上げて頂くことで、少しずつ会社の知名度は上がって来ているように感じています。 今後の展開についてお聞かせ下さい澁谷 : やはり今後も、発泡スチロールの可能性を幅広くアピールしていくことに力を入れていきます。まだ素材として、発泡スチロールを使って何かものをつくるということは、それほど浸透していないと思うので、金属やプラスチック、それから樹脂などと同じステージに上げることにより、選択肢の1つに加えられるようにしたいと考えています。 私自身、エンジニアや職人などと違い、技術的なことに関してはそれほどアドバイスできませんが、アイデアなどは色々と提案できると思います。そういった提案を、デザイナーや設計をされる方、または企画に携わる方などとお話することで、発泡スチロールの可能性を理解して頂き、さらにそれを社内や取引先などで広めて頂くことにより、当社のビジネスチャンスも広がってくると考えています。 最近では、先日開催された『テクニカルショーヨコハマ 2018』に出展し、横浜ものづくりゾーン内の「メイドインつづき特別展示」において、ある企業とコラボして進めている災害時用の簡易便器を展示しました(写真7)。まだ試作段階ですが、会場では多くの来場から注目を集めることができたと思います。 このように、業界についても特に決まった所ではなく、幅広いお付き合いをさせて頂いている状況です。今後も、このようなビジネススタイルを継続しながら、少しでも社会に貢献していきたいと考えています。本日はお忙しい中、ありがとうございました。写真4 発泡スチロール用加工機の外観写真6 『Tokyo Design Week』に出品した展示品写真5 水性ウレタンを使ったコーティング加工例写真7 展示された簡易便器