ブックタイトルメカトロニクス5月号2018年

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概要

メカトロニクス5月号2018年

MECHATRONICS 2018.5 45会合」は、キガリ(ルワンダ共和国)で10月に開催され、以下のような議定書改正を決定した。① ODSで本議定書の規制対象物質であるCFCやHCFCの代替品としてHFCが、広く使われるようになったが、HFC はODS ではないが、地球温暖化をもたらす物質として規制すべきであることを決定。②よってHFCをモントリオール議定書の規制対象物質に追加する。③規制スケジュールは、先進国、途上国第1グループ、途上国第2グループの3グループに分けて行う(詳細は略)。④本改正の内容は、2009 年に提議が開始された。6年の討議を経て、2015 年11 月に開催された「モントリオール議定書第27回締約国会合」(ドバイ、アラブ首長国連邦)において、「HFCに関するドバイ・パスウェイ」が採択され、正式な交渉が開始され、翌年(2016年)の締約国会合で決定。■関オゾン事務局次長からのメッセージ 関オゾン事務局次長とは、10年ぶりの再会であった。10 年前の2007 年10 月に、モントリオール議定書締約国会合がモントリオール議定書採択20 周年を祝うことでモントリオールをたずねた。当時の関さんは、「メグさん」の愛称で呼ばせて頂いていたが、今回は事務局次長の重責を担う国際会議のまとめ役として、意見の一致しない紛糾した討議風景の場面での身のこなしを想像してメグさんの成長振りを心の中で祝った。 国連大学会議場での短い立ち話では、日本からの国際会議の参加者へのメッセージとして、以下のような日本のオゾン層保護対策関係者への伝言もうかがうことができた。 “国際社会では、特にモントリオール議定書を批准した締約国は、その議定書の実施のために日本が払ってきた数多くの努力に対して、深い感謝の念を抱いています。 日本は常日頃からモントリオール議定書の完全な順守のための行動に心がけており、すべての問題点について徹底した分析を行って、国際的な討議と交渉に努めてきました。日本こそモントリオール議定書の実施に当たって、多数国間基金の最大の拠出者の一人であり、オゾン層破壊物質(ODS)の段階的廃止をモントリオール議定書に基づいて実施することに貢献してきました。 日本が役割を果たしてきたリーダーシップの先駆的事例があり、オゾン層破壊物質の代替品開発において特に重要な役割を果たしております。 多数の科学者および技術的エキスパートが、学会、研究所、産業界から参加して、モントリオール議定書の評価パネルに参加致しました。そしてこれらのメンンバー達が独立してバランスのとれた最新の情報を集積し、条約の締約国が決定を下すことを可能にしたのです。(2018 年3 月26日記)<参考資料>1)環境省編:「モントリオール議定書採択30 周年及びHFC改正採択記念シンポジウム『地球のために、フロン対策』配布資料」環境省(2017.6.17):(基調講演)「モントリオール議定書とキガリ改正採択がもたらした近年の発展」関めぐみ(国連環境計画オゾン事務局次長)2)日本産業洗浄協議会編:「第21回洗浄技術フォーラム2017講演集(平成29年)」より(2017年11月30日):(招待講演)「モントリオール議定書キガリ改正を踏まえたHFC 規制の動向」大谷一真(経済産業省産業製造局化学物質管理課オゾン層保護等推進室課長補佐)3)経済産業省(ニュースリリース、2018.3.6):「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定されました(概要資料、参考資料等① TEAP に対し、以下を目的にタスクフォースの設立を要請・基準のタイムリーな改訂を行うため、標準化機関と連携すること・第39 回公開作業部会(OEWG39)で標準化の問題について報告すること。②締約国に対し:・環境に優しいHFC 及びHCFC の代替物質の採用を促すために、産業界及び標準化機関と連携し、基準の策定、調和、改訂を支援することを強く要請。・2016 年12 月までに、関連する国内の安全基準に関する情報の提出を招請。・国家と地域の委員会及びオゾン担当部署(NationalOzone Unit) との関係強化を奨励。③議定書を担当する各国の機関と、国・地域の標準化委員会との連携を強化するため、執行委員会(ExCom)に対し、技術協力及び能力開発の維持と強化を検討するよう要請。④締約国は、国際安全基準に関する、オゾン事務局や国際標準化機関等との定期的なコンサルテーションを開催することを検討。8-5. ドバイからキガリへ・2015 年11 月、ドバイ:HFC に関するドバイ・パスウェイ・2016 年4 月、ジュネーブ:課題の解決方策・2016 年7 月、ウィーン:改正内容の交渉・2016 年10 月、キガリ改正の採択8-6. キガリ改正の仕組み①第4 条は非締約国との細大輸出入を2033 年より規制。② HFC のライセンス制度は、2019 年1 月1 日から締約国に対して発効した後3 ヵ月以内のいずれか遅い時期に適用。5 条国については2021 年まで遅らせることができる。③第7 条のデータ報告および第8条の遵守メカニズムについては現行の手順に従うものとする。オゾン事務局が承認のための報告様式を更新し、あらゆる質問に関して締約国を支援する。④適用除外が予想されており、締約国の合意がなされる予定。8-7. 合意されたHFC の段階的削減スケジュール8-8.決定XXVIII/2 が定めたグループ(〈図表13〉を参照のこと)8-9.発効の要件(省略)8-10.批准に向けた次のステップ(省略)8-11.批准の理由①キガリ改正の批准は地球の気候の保護に貢献する。・2100年までの地球の気温上昇を最大0.5℃回避する。②「誰も置き去りにしない」・持続可能な開発のための2030アジェンダに従う。③モントリオール議定書のすべての改正・調整に対してはユニバーサルな支援が提供される。・早期に批准した国が、残りの国が追従するトレンドの中で主導的な役割を果たす。④締約国は世界の市場において競争優位性を確立。・代替技術は多くの場合コスト効率的であり、最終製品の品質向上につながる。⑤キガリ改正を批准した5 条国は、議定書の規定に沿って提供される資金及び技術援助を受けられる。8-12.予想される気候への影響(1)大きな成果! HFC が対象物質として議定書の付属書Fに追加され、段階的削減に向かう。(2)長い道のり 2009年に提議が開始し、6年の討議を経て、2015年のドバイ・パスウェイにおいて正式な交渉が開始された。9.「キガリ改正」の要旨9-1.陸上生物の誕生を可能にした成層圏でのオゾン層の形成 オゾン層が生れて陸上生物の生存が保障され、生物多様性が特徴となる惑星となったが、オゾン層の破壊もその回復も人間の知恵に依存する。9-2.オゾン層保護と地球温暖化防止のドッキング モントリオール議定書の追加の改正が決定され(キガリ改正)、HFCはオゾン層を破壊しないが、地球温暖化に寄与するために、規制することが必要となった(〈図表14〉を参照のこと)。9-3.モントリオール議定書の再度の改正(キガリ改正) モントリオール議定書に記されているODS の規制措置は、有名なロンドン改正、コペンハーゲン改正を含めて、過去に何回か改正されている。 2016年の「モントリオール議定書第28 回締約国<図表11>ドバイからキガリへ<図表13>決定XXVIII/2が定めたグループ<図表14>予想される気候への影響<図表12>合意されたHFCの段階的削減スケジュール