ブックタイトルメカトロニクス5月号2018年
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メカトロニクス5月号2018年
44 MECHATRONICS 2018.5・UNEP内に独立した事務局が設置されている。【成果】・すべての途上国において6,000 件以上のプロジェクトと活動が実施された。・技術移転:工業プロジェクトや技術協力により、古い技術が完全に切り替えられた。・能力開発と組織体制強化:145 ヶ国にオゾン担当部署(National Ozone Units)を設立。・100ヶ国以上の締約国において規制化・法制化。・各地域におけるオゾン担当者のネットワーク構築。7-3.非遵守手続き・モントリオール議定書の非遵守制度(noncompliancesystem)は、信頼と援助に基づくものであり、懲罰や辱めをもたらすものではない。・加盟国は自身で非遵守について報告し、根本的な課題に対処するため協力して取り組む。・手続きには、友好的な解決方法を探る履行委員会(Implementation Committee)も関与する。・途上国が議定書の定める責務を達成できるように、多数国間基金を通じて支援が行われる。また締約国は、途上国が責務を達成でくるかどうかが、基金の効率性にも依存しているものと認識している。7-4.その他の特筆事項 その他の特筆事項として、以下の4つの事項があり、その中には、7 つの特筆すべき項目が挙げられている。【その他の特筆事項】①「共通だが差異ある責任」の原則②公平と公正③国ごとに異なるニーズ④社会の混乱の回避【その他の特筆事項の事例】(1)途上国の特殊な状況(2)平等な投票権(3)生産と消費に特化するとともに将来的な使用のための在庫所有を認める管理手法(4)製造権の売買(5)貿易措置(6)必要不可欠・重要な用途に関する例外措置8. キガリ改正8-1. キガリ改正:決定XXVIII/1・大きな成果!:HFC が対象物質として議定書の附属書F に追加され、段階的削減に向かう。・長い道のり:2009 年に提議が開始し、6 年の討議をを経て、2015 年のドバイパスウェイにおいて正式な交渉が開始された。8-2. 改正に関する決定:決定XXVIII/2(1)締約国が特定したHFC の段階的削減に向けた課題への解決方策が、決定XXVIII/2に盛り込まれている。(2)具体的内容・資金問題-原則とガイドライン・高温地域諸国における適用除外・技術的レビュー・進行中のHCFC 段階的削減との連携8-3. エネルギー効率:決定XXVIII/3・気候に優しい代替物質への移行に関連した冷凍空調セクターにおけるエネルギー効率の向上の機会をレビューすることを、技術・経済評価パネル(TEAP)に対して要請。・2017 年5 月までに、冷凍空調セクターにおけるエネルギー効率のイノベーションに関連する情報を、自発的に提供するよう締約国に対して招請。・オゾン事務局は、各国からの情報提供(締約国が必要とする支援に関する質問を含む) を招請する文書を発送。・TEAP が各国から提出された情報を分析。・2017 年11 月の第29 回締約国会議(MOP29)においてTEAP が報告を行う。8-4. 安全基準に関する定期的なコンサルテーションの設立:決定XXVIII/4 今回は前回(第193回)に引き続き、モントリオール議定書採択30周年を記念した関女史による基調講演について、国連大学で行われた概要を紹介する1~3)。日本産業洗浄協議会 名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力成層圏オゾン層保護、モントリオール議定書モントリオール議定書採択30周年を迎えて~関めぐみオゾン事務局次長による基調講演(その2)~【第194回】(同シンポジウムの概要については、前号を参照されたい。) 以下では、同女史の講演で使用したスライドの内容を、目次に該当する表題として第6章より紹介し、並行してスライドの図に日本語の説明文を付して紹介する。【モントリオール議定書とキガリ改正採択がもたらした近年の発展】(続編)6. 議定書に基づくODS規制の開始と強化6-1.元来のモントリオール議定書・管理対象物質:5 種類のCFC、3種類のハロン。・CFC の50 %削減。・ハロンの生産中止。 6-2.議定書の「調整」と「改正」・同議定書は6 回の調整と5 回の改正(キガリ改正を含む)により強化された。・96 種類の化学物質(15種類のCFC、3種類のハロン、CCl4(四塩化炭素)、塩化メチル、臭化メチル、40種類のHCFC、34 種類のHBFC 及びBCM)と19種類のHFC を管理対象に。・時間をかけて製造と消費を100%段階的に削減。・調整:ロンドン(1990年)、コペンハーゲン(1994年)、ウィーン(1995 年)、モントリオール(1997年)、」北京(1999年)、モントリオール(2007 年)。6-3.議定書「改正」の要点・1990 年・ロンドン:CFC、CCl4、MCl を対象物質として追加。・1992 年・コペンハーゲン:HCFCを対象に追加。資金メカニズムを追加、消費を管理、MB(臭化メチル)を追加・生産中止、HBFC を追加・段階的削減削減。・1997 年・モントリオール:貿易禁止とライセンス制度の導入。・1999 年・北京:HCFC 製造、BCM 及びその段階的削減を追加。・2016年・キガリ:HFCの製造と消費を段階的に削減。7. 革新的資金メカニズム~多数国間基金・多数国間基金は、革新的資金メカニズムとして、1991 年より開設された。7-1.多数国間基金の増資・同基金の増資は、2016 年末までに9回行われ、その総額は36 億US ドルとなる。7-2.多数国間基金の特徴と成果【特徴】・途上国におけるモントリオール議定書の義務履行に必要な追加的費用を補填する。・先進国7 ヶ国、途上国7 ヶ国からなる執行委員会(Executive Committee)によって運営される。・プロジェクト及び活動を実施機関(ImplementingAgencies)が支援する。キーワード■関女史の基調講演 同女史の基調講演は、約50 分にわたり、パワーポイントにより、スライドを48枚使用して行われ、30年間にわたって行われたモントリオール議定書に基づくオゾン層保護対応策の具体的な実施内容を総括するものであった。以下に前回の目次構成を、理解を深めるために、冒頭から紹介した部分である第5.7 章までについて<図表1>に示す。<図表1>第193号の目次構成モントリオール議定書採択30周年を迎えて~関めぐみオゾン事務局次長による基調講演~■モントリオール議定書採択 30周年記念シンポジウム■関オゾン事務局次長について【関めぐみ(Megumi Seki Nakamura)】■関オゾン事務局次長の基調講演【モントリオール議定書とキガリ改正採択がもたらした近年の発展】1.オゾン層-その誕生1-1.宇宙のカレンダー1-2.大酸化イベント1-3.人類の歴史は宇宙のカレンダーの最終日【ビッグバンから始まる宇宙カレンダー】2.CFCの発明3.オゾン層破壊とオゾンホール3-1.オゾン層破壊に関する化学的研究3-2.国際的な交渉、更なる研究と国家政策の協調3-3.オゾンホールの発見3-4.オゾンホールができるまで4.モントリオール議定書4-1.モントリオール議定書の主な成果4-2.ウィーン条約、モントリオール議定書、同議定書改正の批准の状況4-3.管理対象となるすべてのODSの段階的削減の進捗4-4.オゾンホールの回復5.オゾン層破壊がもたらす被害の回避5-1.被害の回避5-2.人々の健康5-3.オゾン層保護活動の経済効果5-4.モントリオール議定書による気候の保護5-5.グリーン経済とGDP5-6.こうした成果の背景に何があるのか?【モントリオール議定書が上手く機能している理由は?:議定書に盛り込まれた多くの特徴ある機能】5-7.評価パネルが十分な情報を得た上での意思決定の基盤を提供する