ブックタイトルメカトロニクス4月2018年

ページ
44/52

このページは メカトロニクス4月2018年 の電子ブックに掲載されている44ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

メカトロニクス4月2018年

44 MECHATRONICS 2018.41. オゾン層-その誕生1-1.宇宙のカレンダー1-2.大酸化イベント1-3.人類の歴史は宇宙のカレンダーの最終日【ビッグバンから始まる宇宙カレンダー】 宇宙の誕生(ビッグバン)を2018年1月1日午前0時に合わせ、1年後の瞬間(2019 年1 月1 日午前0 時)までを1 年365日のカレンダーとして、大晦日(2018 年12 月31 日深夜0 時)を過ぎる瞬間から先を、改まった年の午前0 時から始まるカレンダーと考えると、数十分の1秒という一瞬の中には、人類の近未来史となる現代史の数世紀が含まれる。オゾン層の問題は、宇宙の歴史の中の人生の長さ(短さ?)を、そのように考えさせる問題である(図表2、3)。2.CFCの発明・1890 年代:フレデリック・スワーツがCFC を合成。・1920 年代:チャールズ・ケタリング、トマス・ミジリーJr のチームが、CFCを使った初の冷媒を開発。・1930 年:ミジリーが「奇跡の物質」として公に実証。・以後技術革新が進み、CFCの使用は加速度的に増加。3. オゾン層破壊とオゾンホール3-1.オゾン層破壊に関する化学的研究・1970 年、1972 年: パウル・クルッツェンは、超音速航空機から排出される窒素酸化物がオゾンを消失させることを証明。・1974 年:シャーウッド・ローランド、マリオ・モリーナは、CFCから生じる活性塩素がオゾンを破壊するという仮説を立てた。・1995 年:ノーベル化学賞がクルッツェン、モリーナ、ローランドの三氏に贈られた。「大気化学、特にオゾン層形成と分解に関する研究」の功績が認められての受賞(図表4)。 「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」(以下、「モントリオール議定書」と省略)は、1987年9月16日に採択された。国際連合は、その日を「国際デー」として「オゾン層保護のための国際デー」の名称で登録している。昨年(2017年)は、モントリオール議定書採択30周年に当たるとして、UNEPおよび各国政府が主催して、各種の記念行事が国際的な規模で行われた。 日本では、その記念行事のさきがけとして、環境省主催で以下に述べるようなシンポジウムが2017年6月にはやばやと開催された。その基調講演は、UNEPオゾン事務局次長の関めぐみ女史がナイロビから一時帰国して、国連大学(東京)で行われた。今回は関めぐみ女史の講演内容を、同女史のご好意で当日利用されたスライドを利用させて頂きご紹介する。<図表2>宇宙のカレンダー<図表3>人類の歴史は宇宙のカレンダーの最終日<図表4>オゾン破壊に関する化学的研究日本産業洗浄協議会 名誉理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力成層圏オゾン層保護、モントリオール議定書モントリオール議定書採択30周年を迎えて~関めぐみオゾン事務局次長による基調講演~【第193回】ルの議長団席の一角に、オゾン事務局スタッフの1人として控えているのが、日本女性の関めぐみ女史(UNEP オゾン事務局 事務局次長)である(図表1)。 今回の記念シンポジウムでは、同女史のプロフィールは以下のように紹介されている。【関めぐみ(Megumi Seki Nakamura)】・1988 ~ 1991 年:オゾン事務局前身組織を経て、その組織の設立メンバーの一員として1989 年の正式開設当時よりオゾン層対策を中心とした環境保護事業に従事。・1992 ~ 1993:UNEP初の国別プログラムのコンサルタントとして、各国代表チームとともにプログラム立ち上げに携わる。対象国はフィジー、ガーナ、モルディブ、シリア、ウガンダ、ザンビア。東南アジアODS 対策役員ネットワークでは地域コーディネーターを務める。・1994 ~ 2003:UNEP の各部門で世界環境アセスメント、環境変動と多数国間環境協定の調整など、さまざまな環境保護事業に従事。・2003~現在:オゾン事務局にてオゾン層対策事業に注力注1)。・英国イーストアングリア大学環境科学学士・ロンドンインペリアルカレッジ環境工学修士注1)公式には、2015年2月に事務局次長に選ばれたが、2012年9月から臨時代理を務めている。なお前任者は、Mr. Paul Horwitz (USA)。 ■関オゾン事務局次長の基調講演 関女史の基調講演は、“モントリオール議定書とキガリ改正採択がもたらした近年の発展”と題して、1987 年9月に採択されたモントリオール議定書の起案、署名、採択、適用、その後の議定書改正を経た30年間の経緯を簡潔に総括したもので、今回の記念行事にふさわしいものであった。以下では、同氏の講演で使用したスライドの内容を、目次に該当する表題として紹介し、並行してスライドの図表に日本語の説明文を付して紹介する。【モントリオール議定書とキガリ改正採択がもたらした近年の発展】キーワード■モントリオール議定書採択30 周年記念 シンポジウム 同シンポジウムは以下のような内容で実施された。・行事名:モントリオール議定書採択30周年及びHFC改正採択記念シンポジウム『地球のために、フロン対策』・日時:2017年6月17日(土)10:00-15:00・会場:国際連合大学ウ・タント国際会議場(東京都渋谷区)・プログラム:①基調講演:・講演者:関めぐみ(UNEP オゾン事務局次長)・演題:モントリオール議定書とキガリ改正採択がもたらした近年の発展」②特別講演:・講演者:野口健(登山家、のぐち・けん)・演題:地球温暖化問題について③パネルディスカッション:・テーマ:フロン対策の推進のために今できること・コーディネーター:西薗大実(群馬大学教授、にしぞの・ひろみ)・パネリスト:・松田憲児(一般社団法人 日本冷凍空調工業会技術部長、まつだ・けんじ)・中島修(日本チェーンストア協議会、生活協同組合連合会コープネット事業連合 開発管理担当部長、なかじま・おさむ)・中根英昭(高知工科大学 環境理工学群教授、なかね・ひであき)・南雲誠(一般社団法人 日本冷凍空調設備工業連合会 専務理事、なぐも・まこと)・Shaofeng HU(UNEP オゾン行動計画プログラム 東南アジア環太平洋地区地域ネットワークコーディネーター、しゃおふぇん・ふー)・馬場康弘(環境省 地球環境局地球温暖化対策課フロン対策室長、ばば・やすひろ) ■関オゾン事務局次長について オゾン層保護対策の国際会議としては、“ウィーン条約締約国会議”、“モントリオール議定書締約国会合”、“モントリオール議定書締約国公開作業部会”の3種類が開催されている。毎回議長席のテーブ<図表1>関めぐみ女史