ブックタイトルメカトロニクス3月号2018年
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メカトロニクス3月号2018年
MECHATRONICS 2018.3 45部分を中心に抜粋して紹介する2)。(1)次の時代を切り開く応用化学研究を助成 人類はより豊かな社会を実現したいとの思いから、文明を創造し発展させてきました。ある時点まで、その豊かさとは物質的あるいは金銭的に満たされることとイコールだったのではないでしょうか。しかし20 世紀の後半からは、発展の代償ともいうべきさまざまな環境問題が明らかになり、私たちはその対応を迫られています。 旭硝子財団は、人類にとって、「真の豊かさ」とは何かを追い求め、地球環境課題の解決に貢献することを主な活動として今日まで歩んできました。 1933年、旭硝子株式会社は創業25周年を記念し、「旭化学工業奨励会」を創設、研究助成をを通じて我が国の化学工業の発展に貢献する活動をスタートさせました。 その後、旭硝子の事業基盤が日本から東南アジアへと移行していくのに合わせて、タイやインドネシアの大学にも同様の研究助成を開始、これまで累計約8 千件、金額にして約100 億円」の助成を行っています。(2)環境危機時計の針が私たちに伝えるもの 1990年、私たちは名称を「旭硝子財団」と改め、時代の要請に応えるべく事業内容を見直しました。環境課題の解決という創設時の目標は一貫していますが、現在は研究助成に加え顕彰事業を活動のもうひとつの柱としています。 パリ協定に象徴されるように、地球環境課題の解決には、国という枠を超えた取り組みが必要なことは言うまでもありません。 旭硝子財団では、1992 年から毎年1回、環境問題に携わる各国の有識者を対象にアンケートを実施、その結果をまとめたのが、私たちの顕彰事業のひとつ「環境危機時計」です。 時計の針が12 時に達したときが環境の破滅だとすると、現在は何時何分にあたるかを質問し、地域ごとおよび世界の平均時刻を公表しています。 今年の全体平均は9時33分で、これは過去最高に針が進んだ2008年と同じでした。多くの環境専門家が、益々」危機意識を深めていることがうかがえます。(3)大切な青い地球を守り続けるために そして、もうひとつの顕彰事業が「ブループラネット賞」です。受賞対象は環境問題の解決に多大の貢献をした個人や団体で、国内外約1,300人の有識者から推薦状」を募り、原則として毎年2組を受賞者に選定しています。(略) なお、当財団のウェブサイトでは、過去の全受賞者の紹介やコメントのほか、24人の受賞者が協議しまとめた「Environment and DevelopmentChallenges、 環境問題に対する提言書」の全文や提言データなどを数多く公開しておりますので、ぜひご覧ください。 25周年を迎えた現在では、ブループラネット賞は「環境分野のノーベル賞」と呼ばれるほどの認知と評価を得るまでになりました。この賞の名称は、宇宙飛行士ガガーリンの「地球は青かった」という名言に由来しています。 かけがえのないこの青い星を守るため、私たちはこれからも、真の豊かさを享受できる社会の創造に貢献していきたいと願っています。(2018年1月15日記)<参考資料>1)「公益財団法人 旭硝子財団」および「ブループラネット賞」に関するURLhttp://www.af-info.or.jp/index.html2)朝日新聞:「朝日地球会議2017:「真の豊かさ」を享受できる社会へ」(2017 年10 月30 日、5 ページ、全面広告)http://www.asahi.com/a1 回、1 回ごとに2 件の表彰が続けられている。一つの件名で2 名が同時に表彰されたこともあり、また個人の受賞者ばかりでなく、組織も受賞対象となっている。 昨年(2017 年)までの26 回の受賞テーマ数は52 件であり、対象の個人数は49 名、組織数は6団体である。(2)毎回のブループラネット賞の紹介 各回のブループラネット賞の内容は、“(コンテンツ)歴代受賞者)”に以下の紹介がある。・受賞業績・受賞者紹介映像(インタビュービデオ、写真)・受賞者インタビュー抄録・講演録(スライド集を含む)・フォトレポート(表彰式典、祝賀パーティー、記念講演会)■コンテンツ「ブループラネット賞 ものがたり」の利用(1)表彰業績のテーマと関連付けた環境問題マップ 旭硝子財団のホームページには、2016 年3 月より新しいコンテンツとして“ブループラネット賞ものがたり”が開設された。その趣旨と内容は、以下のように説明されている。 “「ブループラネット賞ものがたり」は、ブループラネット賞の受賞者たちが、この地球環境を守り、次の世代に引きついでいくために何を考え、どのように取り組んできたかを、ものがたりで紹介するコンテンツ注1)です。ものがたりと合わせて、より理解を深めるための学習に役立つページ、さらに受賞者へのスペシャルインタビュー注2)もあります。”注1)各受賞者のコンテンツは順次、追加予定です。注2)スペシャルインタビューは2015 年移行のみです。 同コンテンツを利用すると、以下のような検索機能により、現在問題となっている個々の地球環境問題と受賞テーマとの関係をより深く理解することができる。(2)地球環境問題は26 件を選定 ブループラネット賞の表彰対象となるテーマとしては、地球環境問題に関連する26 件のキーワードを選び、それぞれの受賞業績を検索できるように設計されている。1件の表彰は複数のキーワードとリンクしており、以下のような検索が可能である(図表3)。①各キーワードが対象となる受賞業績・最多のキーワードのベスト3 は、“生物多様性”の20 件、“持続可能な発展”の15 件、“地球温暖化”・まだ受賞対象となっていないキーワードは、“水環境”と“廃棄物・リサイクル”の2件②受賞対象ごとのキーワードの名称 受賞対象は、内容が関係する複数のキーワードから検索できるよう設計されている。(3)各受賞者の「ものがたり」 各受賞者の「ものがたり」には、各受賞業績の理解を深める情報が掲載される予定であり、その内容を一例として、2015 年の受賞者で紹介すると、以下のような目次で構成されている(現在の掲載は、2016年度および2015年度の4件)。【ジェフリー・D・サックス教授の例:貧困はなくせる!「臨床経済学」という独自の手法によって、各国で貧困をなくすために貢献】①イントロダクション②よい社会をつくりたい③国を診断する④地球を救おう⑤学習の手引き⑥指導者のかたへ・「ものがたり」の要旨・指導方法の例:グループワーク(貧困の意味を考えよう、指導のポイント、「臨床経済学」入門 ~国を診断してみよう~)⑦スペシャルインタビュー■「朝日地球会議2017」 旭硝子財団は、朝日新聞とタイアップして2017年に地球環境問題に関係するキャンペーン活動「朝日地球会議2017」を以下のように行った2)。同活動は、朝日新聞社が2008 年から15年まで毎年開催してきた「朝日地球環境フォーラム」を含めて10回目となり、テーマを環境以外にも広げた朝日地球会議にリニューアルしてから2回目となる。・名称:朝日地球会議2017・趣旨:環境、科学技術、経済、国際関係など、多様な視点から持続可能な社会のあり方を考える。・スローガン:分断から共存へ 私たちが進む未来(Overcoming Divides for our Future)・開催期日:2017 年10 月1 ~ 3 日・開催場所:東京(イイノホール、帝国ホテル)■「朝日地球会議2017」における旭硝子財団 理事長のブループラネット賞に関する講演 旭硝子財団は、「朝日地球会議2017」の開催に際して、ブループラネット賞の内容と存在意義を説明する講演を行った。演題は「文明発展の代償、環境課題と向き合う時」、講演者は、石村和彦氏(旭硝子財団理事長・AGC 旭硝子 代表取締役兼会長)であり、以下にその講演の中で、ブループラネット賞に関係するキーワード受賞件数1. 資源・エネルギー32. 持続可能な発展153. 環境と経済104. 地域づくり・地域コミュニティ65. 化学物質管理16. 環境学習・環境コミュニケーション17. 国際協力108. 生物多様性209. 森林・植物910. 動物111. 海112. 川・湖213. 発展途上国314. 産業と環境3キーワード受賞件数15. 地球温暖化(気候変動) 1516. 水環境017. 大気環境418. 都市と環境119. 廃棄物・リサイクル020. オゾン層破壊221. 環境と法律422. 環境を守る仕組み(環境政策) 1323. 食糧224. 人口225. 環境を調べる技術(環境分析技術) 126. 貧困3受賞業績に関係したキーワードの総数132<図表3>表彰対象となる地球環境問題のキーワード注3)末尾の数字は、検索の対象となった受賞件数