ブックタイトルメカトロニクス12月号2017年

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概要

メカトロニクス12月号2017年

10 MECHATRONICS 2017.12 御社の沿革や事業展開などについて お聞かせ下さい大石 : 当社は、1946 年にテクトロニクス・インクとして、米国オレゴン州において設立しています。当時は、初期のテレビやラジオが普及し始め、それら製品を計測するポータブルオシロスコープを中心とした事業展開を行っていました。 1965 年には、テクトロニクス・インクとソニー株式会社の合弁会社であるソニー・テクトロニクス株式会社を設立し、日本においてのビジネスをスタートさせています。2002 年には、資本比率をテクトロニクス・インクの100 %に変更し、社名を日本テクトロニクス株式会社に変更しています。その後、テクトロニクス・インクはダナハー社の傘下に入り、日本でも株式会社フルーク他、ダナハー傘下の会社を統合した株式会社TFF、そのカンパニー名であるテクトロニクス社として事業を進めています。ちなみにダナハー社は2016 年に分社し、現在ではフォーティブ社の傘下に入っています。 また事業展開については、当社は計測器のメーカーですからオシロスコープ/スペクトラムアナライザ/マルチメータといった、製品主体でビジネスを行っていましたが、よりお客様のニーズに直接的に応えてゆくため、事業方針を製品主体からソリューション提供にシフトさせています。具体的に言いますと、単に計測器を販売するのではなく、実際に様々なアプリケーションでお客様が抱えている課題にフォーカスして、ソリューションを提供していく、ということです。特に注目している市場としては、データセンタやワイヤレスコミュニケーション、ADASをはじめとする自動車関連、さらに高効率のパワーなどがあります。これらの市場では、新しい技術の進展により様々な計測のチャレンジが発生しており、こうした所にフォーカスを当てています。 お客様の抱えている課題に対してどうしたら応えられるのかということを前提に、社内組織をはじめ、カタログのありかたなどについても必要に応じて変えている状況です。 また、昨年になりますが、当社のブランディングとロゴマークも一新しています。新しいロゴマークは、進化 オシロスコープを中心とした計測器のメーカーとして事業展開するテクトロニクス社。最近では、その製品主体のビジネスからアプリケーションにフォーカスしたビジネスにシフトしている。今回は、同社の概要とその中心となる製品などについて、マーケティング部シニア・マーケティング・マネージャー 大石 弘幸 氏にお話を伺った。テクトロニクス社マーケティング部シニア・マーケティング・マネージャー大石 弘幸 氏従来の基準を一新した技術革新で誕生した画期的なオシロスコープ~柔軟性のある様々な機能で変化する測定課題に対応~を表す上向きの角度を取り入れて作成されました(写真1)。色は同じ青を使っていますが、以前のロゴマークと比べ明るくなっており、「新しい時代にマッチした、より革新的なソリューションカンパニー」という新しいブランディングイメージからデザインされています。 このように、新たな事業展開を推進することで、お客様の計測に関する課題解決に少しでも貢献できればと思っています。 計測市場の動向と御社の取り組みにつ いてお聞かせ下さい大石 : 最近では、IoTやロボット、自動車などの分野が注目を集めていますが、それらの中には各要素ブロックにコンピュータが組み込まれた、いわゆる組み込み化が進んでいます。そのため、こうした分野での設計や検査にあたっては新しい計測課題により、従来の計測器では対応することができない状況も発生しています。 課題としては色々ありますが、その中の1つとして、測定ポイントが非常に多くなったということが挙げられます。機器内にはシリアルやパラレル、またアナログやデジタルなどの様々なバスが存在し、電源にしても複数のレーンをもつのは珍しくありません。設計のテストやデバッグにあたっては、それらの複数の信号を関連付けして一緒に測定しなければならず、従来の4チャンネルのオシロスコープでは対応することができません。 一方、グリーンエネルギーや高効率電源など新しい電源技術の需要が伸びており、こうしたアプリケーションでは、従来のオシロスコープでは測定分解能が足りないという問題がありました。 当社では、これらの課題を含め継続的に、お客様の変化するニーズに関するリサーチを行っていました。そして、当社の長年培ってきたオシロスコープの技術やノウハウを活かし、それらのニーズに対応するため、ブレークスルーとなる新しいアイデアを生み出しています。その1つが、『TEK49』と呼ばれる新しいASIC の開発です(写真2)。 このASICは、ADC、Demux、トリガ、アクイジション部品を1チップに組み込んでいます。1 台の計測器でより多くのチャンネル数を実現することができるとともに、1チップで集積することにより、余計なノイズを削減し、低ノイズにも貢献しています。さらに、アナログチャンネルとデジタルチャンネルを統合し、簡単に変換することができるなどの特徴をもっています。 このASICは今までにない革新的なオシロスコープを製品化するために開発されましたが、単一の製品だけではなく、今後の当社オシロスコープの新しいプラットフォームの一部として、様々な製品で活用していきたいと考えています。 では、新しいASICを採用した革新的な オシロスコープについて、特徴などをお 聞かせ下さい大石 : 今回この新しいASICを採用し、あらゆる計測課題に対応するオシロスコープとして開発されたのが、写真1 新しいロゴマーク写真2 新たに開発されたASIC『TEK49』と現状のプラットフォーム基板