ブックタイトルメカトロニクス11月号2017年
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メカトロニクス11月号2017年
MECHATRONICS 2017.11 51・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-1)再生可能エネルギーの導入拡大 ④木質バイオマスの活用”(p75)・本件に関連するキーワード:木質バイオマス、バイオマス産業都市、間伐材、バイオマスツアー(6)【コラム②】100年前に再生可能エネルギーの活用を訴えた内村鑑三 思想家の内村鑑三(1861 年~ 1930 年)は、1911 年に行った講演において、再生可能エネルギーの可能性について以下のように言及している。 “富は大陸にもあります、島嶼にもあります。沃野にもあります、沙漠にもあります。大陸の主かならずしも富者ではありません。小島の所有者かならずしも貧者ではありません。善くこれを開発すれば小島も能く大陸に勝るの産を産するのであります。ゆえに国の小なるはけっして歎くに足りません。 これに対して国の大なるはけっして誇るに足りません。富は有利化されたるエネルギー(力)であります。しかしてエネルギーは太陽の光線にもあります。海の波濤にもあります。吹く風にもあります。噴火する火山にもあります。もしこれを利用するを得ますればこれらはみなことごとく富源であります。かならずしも英国のごとく世界の陸面六分の一の持ち主となるの必要はありません。デンマークで足ります。然り、それよりも小なる国で足ります。外に拡がらんとするよりは内を開発すべきであります。”(内村鑑三著『後世への最大遺物・デンマルク国の話』岩波文庫より引用) 内村は、19世紀後半にプロイセン王国との戦いに敗れ、国土が大幅に縮小したデンマークが、荒廃した土地を植林し、牧草地に変え、豊かな国となった様子から、国内にある資源の有効活用を説いた。地下資源に乏しい我が国にとっても、国内にある再生可能な自然資源の活用は、大きな可能性を秘めたものと言える。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-1)再生可能エネルギーの導入拡大 ④木質バイオマスの活用”(p76)(7)【事例⑤】食品廃棄物等の地域内循環の取組(NPO法人循環生活研究所) NPO法人循環生活研究所(福岡県福岡市)は、「暮らしに必要なものを地域内で循環させることで享受できる楽しく安全で創造的な生活」を「循環生活」と名付け、段ボールコンポストによる生ごみ等の食品廃棄物や落ち葉を使った堆肥づくりやその堆肥を使った野菜づくり、地域の不要物のフリーマーケット活動等、様々な地域循環の取組を続けている。また、福岡市内の高層マンション街区においてコミュニティガーデンを運営し、住民が段ボールコンポストで作った堆肥を用い、都市で生活しながら有機野菜を育てる活動も行っている。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-2)資源生産性の向上に向けた3Rの推進 ①食品ロスの削減に向けた取組”(p77)・本件に関連するキーワード:食べきり運動、循環生活、段ボールコンポスト、食品ロス(以下、次号に続く。)(2017年9月24日記)<参考資料>1)環境省編:「2017年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷(株)(2017.6)全文は以下のウェブサイトに掲載されている。http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h29/index.html2)2030 年展望と改革タスクフォース:「2030 年展望と改革タスクフォース報告書」内閣府(2030.1.25)本文32p、参考資料52p3)環境庁、外務省監訳:「アジェンダ21 実施計画(‘97)-アジェンダ21の一層の実施のための計画-」エネルギージャーナル社」(1997.12)4)環境省編:「-環境から拓く新たなゆたかさへの道(平成18年4 月閣議決定 第3次計画)」(株)ぎょうせい(2006.12)5)環境省編:「2012 年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷(株)(2017.6)注3)引用は同書の“第1部 総合的な施策等に関する報告、第1章 地球と我が国の現状、第2節 持続可能な環境・経済・社会の実現に向けた世界の潮流”より5)。■“環境・経済・社会の諸課題の同時解決に 向けた取組事例”の内容 第3章の第3 節では、内容を下記のように5項目のテーマに分類して、取組事例16 件、コラム(補足説明欄)5 件、合計21 件を説明している。説明文には、内容の理解を深めるよう多数の図、表、写真が付されており、詳細はぜひ原本を参照されたい。 取組事例は、以下の項目に分類されている。①再生可能エネルギーの導入拡大②資源生産性の向上に向けた3R の推進③持続可能なまちづくり④国立公園を活用したインパウンドの拡大⑤環境金融等の拡大以下にその内容をスペースの許す範囲で紹介するが、各取組事例については、本文の記載の一部を省略した代わりに、補足説明を付加し、以下のような内容となった。①取組事例の紹介件数:原文に記載されているまま、取組事例(16件)、と「コラム(補足説明)」(5件)をすべて紹介②題名:原文のままとし、内容を理解しやすいように注を付す場合がある。③説明文:紙面の都合上、原文の一部を省略④本件の「環境白書」中での掲載個所:記載されている場所の目次名と原文掲載ページを示す。目次名は前節に記した【第3 章 目次】の表記に従う。⑤本件に関連するキーワード:原文に記載されていないものも含めて、」理解を深める参考としても記載(1)【コラム①】ドイツシュタトベルケに学ぶ地域エネルギーによる地域経済循環 再生可能エネルギーの導入が進むドイツでは、地域資源を有効活用した地域エネルギー供給の取組が進んでおり、その中心的な役割を担っているのが「シュタットベルケ」である。シュタットベルケは、電力、ガス、水道、公共交通等、地域に密着したインフラサービスを提供する公益事業体で、ドイツ全土で約900あると言われており、地元の自治体によって出資されている。我が国でもシュタットベルケを参考として、自治体が中心となった地域新電力の取組が行われるようになってきている。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-1)再生可能エネルギーの導入拡大 ②地域エネルギーによる地域経済循環”(p71)・本件に関連するキーワード:再生可能エネルギー、シュタットベルケ(Stadtwerke)、日本版シュタットベルケ、地域新電力(2)【事例①】エネルギー供給から総合的なインフラサービスへ(福岡県みやま市) 福岡県みやま市では、2015 年2 月に、みやま市、地方銀行、九州スマートコミュニティ(株)が出資して、みやまスマートエネルギー(株)を設立し、2016年4 月の電力全面自由化とともに、自治体主導の地域新電力としては全国で初めて、家庭向けの電力小売サービスを提供している。 みやまスマートエネルギー(株)は「電力の地産地消」のため、これまでFIT制度に基づき売電されていた市内のメガソーラー発電所を始めとする太陽光設備の電力を、同制度より1円高い価格で買い取り、販売を行っている。市民に対しては、売電サービスの提供のみならず、タブレットを使った防災情報等の行政情報の配信や、高齢者の見守りサービス、家事代行、食事・日用品の宅配等を行っており、シュタットベルケを参考に、ソフト面も含めた総合的なインフラサービスの提供を行っている。こうした取組により、地域外に流出する支出を削減し、地域内で循環させることを目指している。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-1)再生可能エネルギーの導入拡大 ②地域エネルギーによる地域経済循環”(p72)・本件に関連するキーワード:インフラサービス、売電サービス、メガソーラー(大規模太陽光発電所)(3)【事例②】エネルギーの地産地消によるスマート防災エコタウン(宮城県東松島市) 東松島市では、地域新電力(PPS) を設立し、太陽光発電による電力を、災害公営住宅、病院、公共施設に供給。地域に雇用を創出し、事業収益は復興支援事業にも還元している。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-1)再生可能エネルギーの導入拡大 ②地域エネルギーによる地域経済循環”(p73)注)本件に関連するキーワード:地域新電力(PPS)、地産地消、太陽光発電、グリーン投資、循環型社会、PPS(Power Producer andSupplier、電気を安価に供給する電力業界への新規参入事業者)(4)【事例③】信用金庫による先進的なグリーン投資の取組み(長野県飯田市) 飯田市は、2007 年に環境文化都市宣言を行ったが、地域を挙げて太陽光発電の導入に取り組んできた。2004 年に設立されたおひさま進歩エネルギー株式会社を中心に、公益的協働事業として、全国の市民、飯田市、地域の工務店等の協力を得て、市の施設や事業所の屋根等に6700kW、計351個所の太陽光発電を導入してきた。 注目すべきは、「おひさま0円システム」と呼ばれる独自の取組で、おひさま進歩エネルギー株式会社が希望する個人住宅に初期投資ゼロで太陽光パネルを設置し、個人住宅は9年間定額を支払うと、10 年目以降は太陽光パネルを譲渡される。また、その間も余剰電力の売電収入があるため、導入に当たる金銭面の障壁を低くしている。事業に当たっては、地元の信用金庫が持続可能な地域を築いていくためのグリーン投資を行うことで、市民出資事業の安定性を確保している。 このほか、保育園や学校等の教育施設に太陽光パネルを設置し、子供たちへの環境教育を行うなど、エネルギーの地産地消と循環型社会の構築に向けて取り組んでいる。・本件の「環境白書」中での掲載個所:“(3-1)再生可能エネルギーの導入拡大 ③再生可能エネルギーの導入による地域経済効果の試算”(p74)・本件に関連するキーワード:太陽光発電、おひさま進歩エネルギー(株)、グリーン投資(5)【事例④】木質バイオマス資源の総合的な活用(岡山県真庭市) 真庭市では、間伐材や端材を活用した木質バイオマス発電所を稼働し、地域の経済効果13億円、雇用効果50 人と試算している。同市は、2014 年に農林水産省ほか6 府省共同で推進する「バイオマス産業都市」に選定され、市域8割近くが森林である地の利を活かし、森林の間伐材や製材後の端材等を燃料にしたバイオマス発電に取り組んでいる。2009 年には「真庭バイオマス集積基地」を建設し、近隣から間伐材や端材を買い取るシステムを構築した。 さらに地元の製材会社や木材事業協同組合等と共同出資し、「真庭バイオマス発電(株)」を設立し、10MWの木質バイオマス発電所が2015年から稼働している。市の試算によると、未利用材等の購入により約13 億円が地元の山林所有者や林業関係者に還元され、約50 人の雇用効果があるとされています。また、木質バイオマスによるエネルギー自給率は、稼働前の12 %から32 %に上昇した。 また、電気だけでなく、市庁舎等の公共施設でのバイオマスの熱利用に加え、国内初のCLT(直交集成板)生産拠点の設立、セルロースナノファイバーの開発・利用を進めるベンチャー企業の設立等、バイオマス資源を総合的に利用する取組が進んでいる。このような取組に対する視察の要望が多くあり、2006年から真庭市と観光連盟が連携して開始した「バイオマスツアー真庭」には、年間約3,000人の参加者があり、地域の誇りにもつながっている。