ブックタイトルメカトロニクス8月号2017年

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概要

メカトロニクス8月号2017年

10 MECHATRONICS 2017.8 御社の概要についてお聞かせ下さい横山 : 当社は、1961 年2月に設立し、元々は三菱電機社製半導体の外販からスタートした商社になります。 その後、色々と変遷を経て、国内メーカーだけでなく、インテル社をはじめとする海外メーカーの半導体製品の取り扱いを開始しています。また当社は、どちらかというと半導体商社として区分されているケースが多いのですが、半導体製品の取り扱いだけでなく、サーバ/ネットワーク/ストレージ製品などのICT 製品の取り扱いも行っており、徐々にビジネス領域を拡大してきています。現状では、当社売り上げの59%が半導体/デバイス製品で、残りの41 %はICT /ソリューション製品という状況で事業を展開しています。 今回は、この半導体/デバイスとICT /ソリューションの2つの独立した事業の橋渡しとなる、私と西川部長が所属しているIoT営業本部に関して、現在推進する取り組みなどお話させて頂きます。 では、IoT営業本部の概要と 取り組まれている事業について お聞かせ下さい横山 : IoT 営業本部は、2016 年8月に新設された組織で、現在は57 名が所属しています。当社では、半導体/デバイス事業とICT/ソリューション事業を展開していますが、M2M / IoT 時代に入ると機器がネットワークに繋がるようになり、半導体/デバイスを納入しているお客様、例えばものづくりの現場で導入されている工作機械がネットワークに繋がるようになります。セキュアな環境でクラウドにデータを上げ、そこでデータを可視化、分析、活用してコストダウンや新たな収益に変えるといった取り組みがお客様サイドで起こってきています。 また、ICT /ソリューションについても、クラウド事業者やシステムインテグレーターがIoTについての事業を検討している中で、エッジデバイスのデータを取得するためには、製造メーカーの組込工程から関与しなければならないという声が、我々に寄せられることが増えてきました。そのため、これらを繋ぐということを我々のビジネスの価値とするため、関連した部門や取扱商材を集約する形で、昨年よりIoT営業本部として、この 半導体/デバイス、ICT/ソリューションの2つの大きな柱で事業展開する菱洋エレクトロ株式会社。この2つの事業で培ったノウハウを活かし、IoT分野で新たなビシネスを展開する同社の概要とIoT分野への取り組みなどについて、IoT営業本部 営業企画部 部長 横山 孝徳 氏、IoT営業本部 営業第3部部長 西川 敏文 氏にお話を伺った。菱洋エレクトロ株式会社IoT営業本部営業企画部 部長横山 孝徳 氏IoT営業本部営業第3 部 部長西川 敏文 氏商社という立場を活かしたIoT事業を展開~独自の事業形態で新たなビシネスを創造~分野での新しい成長路線を築くための活動をスタートさせています。 ただ、IoTといっても非常に範囲が広いため、現状では大きく二つのテーマで取り組んでいます。一つは「フィールド&モバイルワーク・イノベーション」、これは「現場の働き方の改革」を意味しています。我々のようなデスクワークは、比較的早い時期からICT技術の利活用による業務効率化が進んでいる分野ですが、建築/物流/医療/文教/交通/小売業界など、サービス価値の源泉が現場の人にある分野では、労働人口の減少により人材の確保や熟練技術の伝承が問題になっており、我々のお客様からもそういう声をよく耳にしています。そういった現場に、ICTやIoT技術を持ち込み、これまでの働き方を変革することで、省力化や安心安全の確保、新しいサービスビジネスの創出などをお客様と一緒に進める取り組みです。 もう一つは、「サービス事業の創出」です。「M2M/IoTにより、データを収集/分析できたものの、それをどのようにして利益に繋げるのか」をテーマに、お客様の戦略と課題を把握した上で、ビジネスデザイン、システムインテグレーション、マーケット開拓、運用サポートといった支援を通じて、お客様と新たな事業を創出する取り組みです。 当社のIoT 市場に向けた取り組みを、社内では「3階建てのビジネス」といった言い方で表現しています。まず1 階はデバイスビジネス層で、我々の基本となる半導体ビジネスです。半導体を納入しているお客様は基本的にものづくりを行っており、我々が納入した半導体を組み込んで完成した製品を、もう一度我々が仕入れさせて頂いて拡販するのが2 階のモジュール/システムビジネス層になります。そして、3 階はエンドユーザー向けのソリューションビジネス層になります。 このビジネス領域で、現在我々が特に力を入れている事例を紹介します。2020 年のオリンピックイヤーに向けて、屋外でWi-Fi 環境を利用するニーズが確実に増えるという市場予測の下、半導体/デバイス事業で取引実績のあるシャープ社に新しい屋外向けWi-Fiアクセスポイントの製品企画を提案。同社としても、先を見据えた新規事業を模索している状況だったこともあり、我々の企画を受け入れて頂き、共同開発がスタートしました。 この屋外向けWi-Fiアクセスポイントに対して、主要な通信用半導体やソフトウエア製品を同社に納入したのが1 階のデバイスビジネスになります。次に、それにより同社で開発/製造した屋外向けWi-Fiアクセスポイントを我々が総代理店として仕入れて販売パートナーを通じて販売していくのが2 階のモジュール/システムビジネスになります。3 階のソリューションビジネスとしては、例えばイベント会場や観光地をWi-Fiネットワークで繋げることにより、POSレジや新しいアトラクション、デジタルサイネージ、従業員の最適配置などといったエンドユーザー向けのソリューションサービスを提案していきます。 このような、サプライチェーンの流れの中で、これら各階層の取り組みを相互に関連させることで各々の価値を高めるとともにビジネスボリュームの最大化を図っています。そして、このような取り組みが最近では様々な分野のパートナーやお客様に評価され始めており、今後我々が成長していくための強みになると考えています。 今回、総代理店として販売する シャープ社製の製品について もう少し詳しくお聞かせ下さい西川 : 今回、我々が総代理店として販売していく製品は、シャープ社製のWi-Fiアクセスポイント『QX-C300シリーズ』になります(写真1)。この製品の最大の特徴は、屋外向けに開発されたことにあります。 従来の屋外で使われるアクセスポイントは、すべて有写真1 無線LANアクセスポイント『QX-C300シリーズ』