ブックタイトルメカトロニクス5月号2017年

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概要

メカトロニクス5月号2017年

10 MECHATRONICS 2017.5 御社の概要および 沿革についてお聞かせ下さい男澤 : 当社は、私の父親が1987 年に創業し、今年で30 周年を迎えています。創業当時は、父親の前職を活かしたモータの輸入販売を行う商社的な事業を主力に行っていました。しかし、この事業は思うように伸びず、ほかの事業展開を模索するような状況が続いていたようです。 そのような中、名古屋で産業用の電気ヒータを製造している会社と出会い、この製品はニッチなマーケットにビジネスチャンスを生むであろうと思ったようです。そして、この産業用電気ヒータの営業面をフォローする会社として、1990 年に神奈川県川崎市にて株式会社スリーハイを設立し、再スタートしています。 また私自身は、元々IT系の会社でエンジニアの仕事をしていたのですが、父親の勧めもあり2001 年に当社へ入社しています。まったく未知の業界だったので、始めは営業からスタートして少しずつ業界のことを覚えていきました。当時の従業員は、社長である父親のほかに年配の職人さんが4、5 人いるだけでしたが、職人さんは熟練の方ばかりだったので、私も営業の合間などで職人さんの仕事を見せてもらいながら、ものづくりに関することも色々吸収していき、最初は本当に大変でしたけど、徐々に仕事にも慣れていきました。 そのような中、当社の売り上げのメインとなる下請け 商社的立場から電気ヒータのメーカーへと変貌を遂げた株式会社スリーハイ。最近では、電気ヒータだけでなく、周辺機器となるデジタル温度コントローラのオリジナルブランドを立ち上げるなど、“ 熱に困ったを助けるプロ集団”として成長を続ける同社の概要、製品などについて、代表取締役 男澤 誠 氏、営業技術リーダー 松本 英嗣 氏にお話を伺った。株式会社 スリーハイ代表取締役男澤 誠 氏営業技術 リーダー松本 英嗣 氏熱に関する様々な問題を解決する電気ヒータ~フラット型や円筒型など幅広い形状に対応~していた会社がいきなり倒産してしまい、当社も非常に厳しい状況になりました。何とか危機は脱したのですが、今までのような下請けに依存する経営ではまた同じようなことが起こる可能性があると思い、経営方針の改革を図りました。 まずは、新たなお客様を増やすために、販促ツールとなる製品カタログの見直しを行っていきました。それから、当社が販売していた電気ヒータ以外の製品についても、お客様に必要とされるラインアップにするため、見直したいと考えました。特に、電気ヒータに使われるコントローラは、今まで販売していた製品ではなく、しっかりとしたコンセプトをもたせた当社オリジナル製品の開発に力を入れていきました。 そして、会社も徐々に軌道に乗り始め、2004 年には現在の所在地である横浜市都筑区に本社を移転し、2005年にISO14001、2007年にISO9001を取得しています。また2009 年には、私が父親に代わり当社の代表取締役に就任しています。 2010 年には、当社オリジナル製品の第1号となるデジタル温度コントローラを発表しています。その後も、研究開発などを含めたものづくりに力を入れながら事業展開を進めていき、ヒータメーカーとして成長していきました。その取り組みが評価され、2011 年に横浜市が推進する「横浜価値組企業」に認定されています。これは、知的財産を活かした経営を行う企業を横浜市が評価を行い、認定されると支援が受けられる仕組みで、当社は特許を保有していませんが、デジタル温度コントローラに付けている商標や実用新案をうまく活用してブランディングに成功し、2011 年以降毎年評価され更新されています。その他にも、横浜市型地域貢献企業として地域に密着した取り組みなども行っています。 そして現在は、電気ヒータとデジタル温度コントローラ、デジタル温度コントローラに使われる温度センサの3 本柱で、“ 熱に困ったを助けるプロ集団”として事業を展開しています。 御社の主力となる電気ヒータについて お聞かせ下さい松本 : 当社の電気ヒータは、シリコン製のラバーヒータが主流になっており、大きく分けてフラット型と円筒型の2つのタイプを用意しています(写真1)。特殊製法により、1 枚からのオーダーでも短期間で製作することができます。簡単なイラスト、マンガ、図面などがあれば、円形/異形/穴開きなど、自由に被加熱物の形状に合わせた設計が可能で、数Vから240Vまでの各種電圧に対応します。 主な特徴としては、①ガラスクロスにカレンダ加工した2 枚のシリコンシート間に、抵抗線をパターン化させた構造、②柔軟性に優れ、曲面/円筒などの被加熱物にジャストフィットさせることができる、③標準厚さ写真1 シリコンラバーヒータの一例(『SRタイプ』と『R加工タイプ』)写真2 シリコンラバーヒータの用途例(熱材付きで効率アップ(左)/配管の凍結防止(中央)/三角フラスコにも巻き付けできる(右))SR タイプR 加工タイプ