ブックタイトルメカトロニクス2月号2017年

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概要

メカトロニクス2月号2017年

MECHATRONICS 2017.2 11所在地:U R L:事業内容:東京都港区http://www.pink.de/jp真空リフロー装置、真空プラズマ装置、シンタリング装置の開発/製造/販売。ピンク・ジャパン株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はんだボールが洗浄時に製品に再付着するため、エンドユーザーからは、「洗浄ができない」、「手間がかかるので洗浄を省きたい」などのニーズがあり、そのためフラックスレスで濡れ性をとる手段として、国内でもギ酸が使われるようになりました。 それから、ギ酸以外にも水素を使って還元処理するケースもありますが、水素の場合は反応する温度が250℃以上の高さが必要になるという制約があり、使うはんだの温度がそれより低い場合は使用できません。そういったケースではギ酸の方が有効であり、圧倒的に効率が良くきれいに仕上がります。さらに、水素の約1/4 程度のコストでできるというメリットもあります。ただ国内のお客様からは、刺激のある臭いなので大気に出す場合の環境問題について心配される声をよく耳にします。欧州では環境基準をクリアし、特に国内でも有毒ガスの指定には入っていませんが、国内のお客様には安心して使って頂くため、特別に排気する個所に専用のフィルタを設置してろ過するようにしたり、装置内に漏れが生じた場合はアラームを出すような追加の機能を装備しているのが大きな特徴になっています。 それからもう1つ大きな特徴としては、加熱プレートと冷却プレートの2つのプレートを装備し、はんだを温めるだけでなく、冷ますという2つの加工ができる機構をもっていることです。この2つの専用プレートを装備するのは、PINK 社独自の手法で国際特許も取得しています。競合他社は、熱源にIRヒータといったランプのようなものを使っていますが、これに比べてPINK社の加熱プレートは、処理製品を載せたキャリアを介して製品が物理的に接触するので、温度管理が正確に行えます。また、エネルギー量の多い温度の上げ下げを素早く行えるというメリットが挙げられます。 そして、このような装置のはんだ付けは、アメリカの半導体協会が定めるIPC /JEDEC 規格に準拠した温度管理のはんだ付けがグローバルでは標準化しています。しかし、国内でこのような装置をご存じでないお客様は、この規格に準拠した温度管理のはんだ付けを行われていないのが現状のようです。PINK 社は、対国際的な競争力をもつ意味でも、このような規格に準拠した温度管理のはんだ付けを国内のお客様に推奨しています。 次にプラズマ技術について お聞かせ下さい。相子 : 物質は、温度によりその状態を変化させ、一般的に知られている物質の状態としては、固体、液体、気体ですが、これらに続く状態としてプラズマがあります。気体に高エネルギー状態の電子を衝突させるとその原子が分解しますが、そのばらばらになった状態と元の気体が混じった混合状態をプラズマと呼び、「第4 の状態」ともいわれています。 プラズマの技術は、色々なものに応用することができますが、PINK 社としては大きく分けて4つの用途に利用しています。1つ目は、プラスチック材などの表面を改質する用途に使われ、この需要が一番多くあります。見た目は同じですが、表面だけを分子レベルでまったく違うものに置き換えてしまいます。2つ目は、表面を粗くする用途に使われます。プラスチック材などは、表面がつるつるして塗料などが付きにくいですが、表面を粗くすることによりそれらが付きやすくなります。3つ目は、表面をコーティングする用途に使われます。フッ素コーティングなど、部材本体を傷つけないようなコーティングが可能です。4つ目は、表面をクリーニングする用途に使われます。プラズマのクリーニングは、超音波洗浄でも落とせないようなものまで落とせる高度な洗浄技術になります。 このような用途に使用され、プラズマ事業の柱となる製品が真空プラズマ装置です。その中でも、主力となっているのが少量生産加工や研究開発施設などでの使用に適した『V6-G』を含む小型機シリーズになります(写真6)。プラズマ事業は、ほとんどがこちらからプロセスや材料など色々と提案するようなケースが多く、お客様は「こんなこともプラズマでできるのか」という感想をよくいわれます。そのため、PINK社の真空プラズマ装置は、標準機として販売していますが、ほとんどがお客様の仕様にあわせたセミカスタム機になっています。 現状国内では、医療器メーカーに設置している実績がありますが、まだまだこれから幅広い分野に展開できる事業だと考えています。 シンタリング技術についても お聞かせ下さい。三浦 : PINK 社のシンタリングは、銀のナノペーストを使用し、基本的にソルダリングの温度だけで接合する環境に、約200tのプレスの力を加えて焼結する次世代の接合方法になります。これにより、従来のソルダリングに代わり、信頼性/耐久性/耐熱性の高い、柔軟性のある接合を実現することができます。五百井 : またシンタリングは、現在国内のメーカーでも研究開発が進められており、特にパワー半導体メーカーでは次世代のダイアタッチメントとして着目しています。これは、ダイの電気密度を上げたいことと、硬さを増したいという狙いからですが、国内では銀のナノペーストではなく他の材料や、他の接合方法などでの研究開発も進められているようです。欧州では、すでに銀のナノペーストを使ったシンタリングを採用しているメーカーもあり、PINK 社では研究開発から量産ベースに移行する段階まで来ている状況です。三浦 : さらにPINK 社のシンタリング装置は、プレスの力を工程毎に調整できることが大きな1つの特徴になっています。欧州では、すでに設置実績もありますが、国内ではまだ実績がなく、現在事業展開を進めています。 今後の展開についてお聞かせ下さい三浦 : マーケットについては、ソルダリングとシンタリングはパワー半導体の車載部品をターゲットに、プラズマは樹脂やポリマーといった材料をターゲットに事業を展開していきます。特に、プラズマとシンタリングについては、国内での実績がほとんどありませんので、これからの事業となります。 ただ、すでにいくつかの引き合いもきているので、当社の存在は少しずつ浸透していると感じています。また、1 月に開催される『インターネプコン ジャパン』にも出展し、先程紹介した装置も展示する予定なので、さらに引き合いなどは増えていくと思われます。そのようなビジネスチャンスを今後の事業に活かせていければと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真3 真空リフローはんだ装置『VADU 100』写真4 真空リフローはんだ装置『VADU 200XL』写真5 真空リフローはんだ装置『VADU 300XL』写真6 真空プラズマ装置『V6-G』