ブックタイトルメカトロニクス1月号2017年
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メカトロニクス1月号2017年
MECHATRONICS 2017.1 11所在地:U R L:事業内容:東京都千代田区http://www.hakudo.co.jpアルミニウム、伸銅、ステンレス、特殊鋼、プラスチック等の板、棒、管等の加工/販売、など。白銅株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・数も増えて普及率が伸びると予想しています。 御社の金属3Dプリンタ造形サービスに ついて特徴などお聞かせ下さい石塚 : まず、当社が受託製造を事業化するため神奈川工場に導入した金属3Dプリンタは、米国の3DSystems 社製『ProX300』になります(写真1)。この機種の強みは、①ピンホールが少なく高密度な造形物が製造可能(実測値では99.7%の高密度)、②シャープなエッジ、綺麗な表面仕上がりを実現(造形上がりの表面粗さ Ra≒11.6(平均値))、③細やかな造形物が製造可能(ピン形状≒φ0.8mm 以上、板厚≒0.8mm 以上(材質および造形物の形状や大きさによる))、④業界最大級の造形物が製造可能(造形範囲W250×L250×H300mm)、などが挙げられます。 次に、当社の金属3Dプリンタ造形サービスについて紹介します。現在は、神奈川工場に導入した1台で2鋼種の造形を行っています。1つは、マルエージング鋼と呼ばれる特殊鋼で、鉄が60~70 %位とその他にニッケル、コバルト、モリブデンなどが添加元素として含まれています。一般的には、樹脂やゴムの成型用金型、機械部品、治工具などで使われている材料です(写真2)。もう1つは、SUS630相当のステンレス鋼で、鉄が70~80%位とその他にクロム、ニッケル、銅などが添加元素として含まれています。一般的には、航空機部品、機械部品、治工具などで使われている材料です(写真3)。 また金属3Dプリンタは、この2鋼種以外にも対応することができますが、現状では1台の設置でそれも徐々に稼働率が上がってきているので、2鋼種以外の注文は当社の協力会社に依頼する形を取っています。そのため、社内では2 鋼種の対応になりますが、事業的にはアルミニウム、チタン、ニッケルを含めた5 鋼種に対応することができ、お客様からワンストップで受注して、社内と同様の対応でサービスを提供しています。用途は、自動車関連が中心となっていますが、今後は金型関連にも力を入れていきたいと考えています。 造形注文の受託にあたっては、基本的にお客様から3D CADデータを頂いて造形を行いますが、造形したものだけでは製品や部品として事足りないことの方が図1 見積りから納品までの流れ図2 サポート材が必要な形状例図3 サポート材の回避例多く、追加の加工や表面処理などを行う必要があります。当社は、元々工業用材料を扱う企業として、金属加工業者に販売を行っているため、加工や表面処理などを行う協力工場のネットワークをもっており、『造形+仕上げ追加工』をワンストップで行えることが特徴になっています。また、仮に試作したものが量産化されることになり、金属3Dプリンタではなく、従来の鍛造や押出加工、または機械加工などで量産することになった場合も、当社が本業として行っている仕事なので、金属3Dプリンタによる試作から量産まで一貫して提供できることが、当社の強みになっています。 納期は、今のところ造形開始後5日~1週間位で対応しています(図1)。造形可否の判断基準が、以前と比べてある程度はっきりしてきたので、ほとんどが最初の段階で受注判断することができ、それほど納期の掛かる案件はありません。大体10 件の引き合いで2、3件は、細すぎたり薄すぎたりなど造形できないような形状が含まれていますが、設計変更を提案することでできる限りチャレンジしています。 金属3Dプリンタ造形サービスを行う中 で、苦労されたことがありましたらお聞 かせ下さい石塚 : 当社としても、まだまだ技術が確立している訳ではないので、現状も苦労していることは色々あります。金属3Dプリンタを実際に導入するまでは、3Dデータを入力さえすれば誰でも安定して造形できるというイメージをもっていましたが、とても考えていたような簡単なものではありませでした。そこには、職人的な造形ノウハウというものがあり、そのノウハウがすべてであるといっても過言ではないと思います。 先程も、当社以外に受託製造を行っている所は数社あるといいましたが、仮に同じデータを複数社で造形した時に、すべて同じ姿勢で造形するかというとそれは分かりません。それぞれの会社が保有するノウハウにより、サポートの付け方も含めて違ってきますし、それを見極めていくことが非常に難しいと思います。 その中で、サポート付けが1つのポイントになっていると考えています。造形は下から金属パウダの薄い層を積み上げていきます。形状によっては造形くずれを起こす個所が発生するため、金属パウダと同じ材質のサポート材をつける必要があります(図2)。そして、最後にそのサポート材を除去しなくてはいけないので、非常に大変な作業工程になります。そのため、お客様と相談しながら設計変更や造形姿勢の変更をすることで、サポート材を可能な限り減らすような取り組みを行います(図3)。ここが各社のノウハウや手腕を発揮するところで、当社も常に苦労している作業工程であります。 今後の展開についてお聞かせ下さい石塚 : 金属3Dプリンタの設置台数を増やしていき、マルエージング鋼やステンレス鋼(SUS630)以外のアルミニウムなども自社で対応できる環境づくりを構築していきたいと考えています。特にアルミニウムは、金属商社という当社の本業では代表的な工業用材料になるので、早急に対応しなくてはいけない課題だと認識しています。 また、今年の夏より当社の神奈川工場において潜在顧客向けの合同セミナーも開催していますが、このようなイベントや展示会の出展などを増やしていき、金属3Dプリンタについての情報発信を行っていくことで、幅広い業界のニーズを掘り起こしていきたいと考えています。これにより、国内の様々なお客様に金属3Dプリンタの良さを知って頂き、当社も技術の向上を目指しながら、お客様が今までもっていたネガティブな認識を改めて頂くことで、金属3Dプリンタを活用していこうという流れをつくっていければと思っています。 社外的には、同業他社と競合することもありますが、今はできる限り協力しながら市場の拡大を目指していきたいと考えています。すでに、何社かと協業を進めている案件などもあり、この取り組みも少しずつ広げていければと思っています。 そして、様々な設計のアイデアはお客様がもっているので、そのアイデアを当社にご相談して頂ければ、造形に関する提案やアドバイスをさせて頂きますので、まずはお気軽にお問い合わせ頂きたいと思います。本日はお忙しい中ありがとうございました。お問い合わせ3D CADデータ受け渡し造形姿勢、サポート材の打ち合わせお見積り回答金属3Dプリンタによる造形+追加工¥ご注文納品