ブックタイトルメカトロニクス7月号2016年
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メカトロニクス7月号2016年
MECHATRONICS 2016.7 11所在地:U R L:事業内容:愛知県小牧市http://www.nodascreen.co.jp電子部品(プリント配線板、半導体パッケージ基板)加工、化学材料の開発/製造/販売、電子部品製造装置販売、など。株式会社 野田スクリーン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・デジタルカメラなど)の防湿/防滴保護、車載用電子基板に搭載される電子デバイスの防湿/防滴保護、屋外機器(エアコンなど)や水周り製品に使用される電子基板の防滴/耐結露保護、塩水/電解液/腐食性ガスなどの耐薬品保護、LIB の電解液からバッテリー制御基板の保護、電子基板上の金属部品や電極部のマイグレーション防止などの用途に使用されています。 またPCHシリーズについては、LEDに特化した製品なので、LEDパッケージおよび基板防湿保護、LED の部材である銀めっき部の硫化防止などに使用されています。 今回はその中で、WOPシリーズとPCHシリーズについて、説明したいと思います。 それでは、WOP /PCHシリーズの概 要や特性などについてお聞かせ下さい西松:まずWOPシリーズは、フッ素を使うと撥水効果が得られるというイメージから、基板の防湿コーティングに対する問い合わせが多くなり、それがきっかけとなって開発された製品になります(写真1)。元々は、INTシリーズに対しての問い合わせだったのですが、INTシリーズでは基板防湿に要求される密着性や柔軟性、ある程度の膜厚や精密な塗布性などに対応しきれない部分があったため、そういったニーズに対応するための研究を繰り返し、フッ素とその他の樹脂特性を上手に組み合わせることで、基板コーティング剤に使用できるように改良を重ねました。 主な特徴としては、①高い撥水能力により、実装基板や電子部品を水滴/結露/湿度から強力に保護する(写真2)、②強固なフッ素皮膜(5~20μm)を形成し、水/大気を基材に寄せ付けない(写真3)、③各種基材に優れた密着性を発揮、④柔軟性のあるフッ素皮膜で高い被覆性を有し、エッジまで保護が可能、⑤濡れ広がりが少なく、狙った個所に塗布ができ、ディップ/スプレー/ディスペンス塗布が可能、⑥PFOA対策品/PRTR非該当、などが挙げられます。 また、先程もお話ししましたが、お客様ごとの要求にも対応することが可能なので、まずは基本となる濃度が8%の製品をお客様に提案させて頂き、そこからお客様の仕様に合うようにカスタマイズしていきます。基本の製品でも、約半分くらいのお客様の要求には対応できていますが、それ以外で例えば、「厚くしたい/薄くしたい」、「乾燥をもう少し早くしたい」、「色を付けたい」などの要求に対し、お客様と何度も打ち合わせを行って、最終的には1つの仕様にしていきます。そして、カスタマイズした製品にも品番を付けているので、品番の数は非常に多くなっています。 さらに、塗布方法についても色々とアドバイスさせて頂いています。お客様からは、「この基板のこの部分を塗りたい」といった要望を頂くこともあるので、実際にその基板をお借りして当社にあるディスペンサなどの装置を使って色々と実証を行い、最適な塗布条件を出したり塗布見本を作成したりしています。これも、当社の1つの特徴であり、このサービスには特に時間を掛けています。 ただ、料金的には有機溶剤系の基板コーティング剤と比べて、4~5倍するというデメリットもあります。しかし、製品コストとしては嵩んでしまいますが、効率的に使用できるなどトータルコストで見て頂くとメリットは大きいと思います。また最近では、危険物の取り扱いに関して、安全管理への意識が高まっており、そういった面からも問い合わせが増えてきている状況です。 次に、LED 向けに使用されるPCHシリーズを紹介します(写真4)。LEDは、LEDの素子自体が光り、その光を銀のリフレクタ(反射板)に反射させてさらに明るくする構成になっており、その構造をつくった上に主にシリコン系の封止樹脂を充填し封止しています。その時に、シリコン系の封止樹脂はガスバリア性が低いため、空気中のガスが透過してしまい、特に銀のリフレクタは硫黄系のガスに反応して硫化しやすいという問題があり、長寿命のはずがわずか1年程で使えなくなったり、輝度が下がったりする問題が発生していました。硫黄系のガスは、温泉だけでなく、ゴム製品や梱包に使用する段ボールなどにも含まれ、私たちが認識している以上に様々なものから発生しています。 その頃当社では、WOPシリーズの事業展開を進めていた時で、お客様からLEDに関するこのような相談を受け、当初は透明性が高いなどLEDに最適な特性をもつWOPシリーズを提案していましたが、「もっと耐硫化性能がほしい」、「もっと硫黄系のガスに強いものがほしい」という要求が高まっていました。また、銀は硫化しやすいので各社あまり使用していなかったのですが、競争が激しくなる中でやはり銀を使用しないと良い製品がつくれないということもあり、硫化対策が必要不可欠な状況になっていました。 そのため当社では、WOPシリーズを硫化に特化して開発した製品がPCHシリーズになります(写真5、6)。主な特徴としては、①耐硫化性のあるフッ素皮膜により、銀めっきの硫化を防止(写真7)、②透明皮膜なため、光透過性が低下しない、③常温乾燥にて強固なフッ素皮膜を形成、④各種基材に優れた密着性を発揮、⑤ディップ/スプレー/ディスペンス塗布が可能、⑥PFOA対策品/PRTR非該当、などが挙げられます。 今回紹介しましたWOPシリーズとPCHシリーズは、現状化成品事業において特に力を入れている製品になっています。 化成品事業における今後の展開につい てお聞かせ下さい西松:今後もWOPシリーズとPCHシリーズが事業の主力になっていくと思います。現状は、国内の基板メーカーを中心に事業展開を進めており、そこで採用して頂くことにより国内だけでなく、そのメーカーの海外にある生産拠点に供給を行っています。国内で採用されても、海外に供給する製品に関しては海外で生産を行っており、今後はそのための販売拠点の数を増やしていくことと、海外のローカルな所へのアプローチに力を入れています。 また、今回はエレクトロニクス分野に関したお話をしましたが、フッ素は様々な分野に使われており、非常に扱いにくい物質でもあります。それは、水などを弾くという性質からも分かるように、ほかの物質と混ざらないという難点を抱えています。当社は、そういう問題を如何に埋め合わせていくかということを仕事にしていますが、フッ素の商品化が上手にならないと企業として成長していけないと考えています。 そのために、商品化しやすいフッ素材料の開発を行っていくことと、商品化に向けた当社の技術力向上にも力を入れていきます。それにより、フッ素の可能性を世に広めていければと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 LED向け銀硫化防止コーティング剤 PCHシリーズ写真7 同社におけるPCHシリーズの耐硫化試験写真5 PCHシリーズをLEDに塗布した状態写真6 PCHシリーズをLEDに塗布した構造図