ブックタイトルメカトロニクス7月号2016年

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概要

メカトロニクス7月号2016年

10 MECHATRONICS 2016.7 御社の概要とフッ素を取り扱うことにな ったきっかけなどについてお聞かせ下 さい西松:当社は、1979 年3月に創業し、法人として株式会社野田スクリーンを設立したのは1984 年11月になります。創業当時より、スクリーン印刷工法を用いたプリント配線板加工を主力に事業展開を行い、社名の“スクリーン”もスクリーン印刷から付けられています。 創業者の野田社長は、職人気質という面をもたれていた方で、スクリーン印刷に関して現状に満足することなく、さらに上手く印刷していくにはどうしたらよいかということを常に考えられていました。その中で、インクの版離れが1つの問題になっており、現状以上にインクの版離れを良くするための解決策を模索していました。そこで考え出されたのが、フッ素を使って版の乳剤に混ぜたら良いのではないかということでした。フッ素に関しては、水や油など様々な液体を弾くらしいというイメージだけで、専門的な知識はなかったようです プリント配線板加工とフッ素化成品で事業を展開する株式会社野田スクリーン。今回は、創業当時から主力となるプリント配線板加工に続く、第二の事業として開始したフッ素化成品に関して、始められた経緯や技術/製品などについて、化成品事業部 商品開発部 主任西松 大介 氏にお話を伺った。株式会社 野田スクリーン化成品事業部商品開発部 主任西松 大介 氏フッ素の特性を最大限に活かして幅広い分野に事業展開~開発から販売まで一貫した体制でユーザーニーズに対応~が、持ち前のバイタリティーと探究心で、フッ素材料を取り寄せて技術研究を行いました。 そして、スクリーン版用のフッ素乳剤を開発することに成功し、当社が創業してまもなくフッ素を取り扱うきっかけとなりました。その後、技術研究で余ったフッ素材料をプリント配線板加工以外の何か別のことへ展開できないかと始めたのが、現在の化成品事業になっています。 当社の事業としては、プリント配線板加工がまだまだ主力を担っていますが、その次の事業としてフッ素を取り扱った化成品にも近年力を入れており、現在はこの2本柱で事業展開を進めています。 化成品事業の概要などについてお聞か せ下さい西松:化成品事業では、フッ素の特性である撥水/撥油、防湿、防汚、絶縁などを活かし、モバイル機器から産業機械まで幅広い分野に事業展開しています。 近年、電子機器が多種多様/高性能化し、材料に対する要求水準も多様/複雑化している状況です。当社では、開発から販売までの一貫した運営体制を確立し、お客様からの様々なニーズに応じて、最適な製品をつくり出し提供しています。また、環境負荷の低減など、既存の製品に新たな付加価値をつけた製品開発にも積極的に取り組んでいます。 さらに、ものづくりにおいては、購入したモノマーを結合して原料となるポリマーにし、そのポリマーを溶剤に溶かしてコーティング剤にするといった、重合合成を社内で行っています。そのため、お客様ごとにポリマーの調合をすることが可能で、ニッチな要求にも対応することができます。当社ほどの規模で、そこまで行うのは非常に珍しいと思いますし、これが当社の強みであり、「かゆいところに“F(フッ素)”がとどく」という化成品事業のキャッチフレーズにも繋がっています。 そのような中で、主力となっているのが次世代型フッ素コーティング剤『AEGIS COAT(イージスコート)』になります。この製品は、簡単に高機能なフッ素皮膜を形成して水や油を強力に弾く常温速乾タイプの『INTシリーズ』、フッ素配合により低濃度でも撥水/撥油性に優れ、皮革や織布などに塗布が可能な有機溶剤タイプの『No.シリーズ』、高密着で柔軟性が高いフッ素皮膜にて電子基板を保護する高膜厚タイプの『WOPシリーズ』、長寿命や低消費電力などの理由からますます成長が加速するLED 市場に対応するLED向け銀硫化防止コーティング剤『PCHシリーズ』、反応硬化タイプのフッ素皮膜を形成して高耐久が必要な外装、フィルム分野への利用(防汚、ハードコート、帯電防止など)が可能で、その他色々な表面処理の分野へ利用できる『OPCシリーズ』の5つをラインアップし、製品展開しています。 特に、INT / WOP / PCHシリーズは、常温速乾で不燃性といった所が大きな特徴になっており、また有機溶剤系の製品と比べて臭いもマイルドで取り扱い易いということがいえます。この特性を活かしたINTシリーズは、HDD/冷却ファン用の流体動圧軸受け(FDB)モータオイル拡散防止、マイクロモータの軸受けオイル拡散防止(オイルバリア)、実装部品(コネクタ、電子部品)へのフラックスの這い上がり防止、携帯電話などの??間への水進入防止、フィルムコンデンサへのエポキシ樹脂付着防止、ボールペンのインク漏れ防止などの用途に使用されています。 同じくWOPシリーズは、モバイル機器(携帯電話、写真1 基板防湿コーティング剤 WOPシリーズ 写真2 WOPシリーズを実装基板/電子部品に塗布した状態 写真3 同社におけるWOPシリーズの塩水噴霧試験