ブックタイトルメカトロニクス6月号2016年
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メカトロニクス6月号2016年
MECHATRONICS 2016.6 43(2)「人材バンク」の例●地域中小企業人材バンク: 地域内外の若者・女性・シニア等の多様な人材から地域の中小企業が必要とする人材を発掘し、紹介・定着までを一貫支援。【中小企業庁】(3)「起業の支援」の例●起業支援ファンド: ベンチャー企業が新事業に取り組む際の資金調達や経営支援。【中小企業庁】(4)「学ぶ」の例 ●社会通信教育振興: 時間的・地理的な制約を受けずにユーザーが自発的意志で利用できる学習システムを振興することにより、生涯学習を促進。【文部科学省】■本報告書の結論 本報告書の内容を要約した文章として、本文の“1.ビンテージ・ソサエティに関する基本的な考え方”の“(2)「ビンテージ・ソサエティ」の創出を目指して”の一部を以下に紹介する。 “本報告書で提案する「ビンテージ・ソサエティ」とは、高齢者が、多世代に緩やかに交わりながら、「社会の負担」になるのではなく、むしろ「社会の力」となっている社会である。ビンテージ・ソサエティでは、高齢者は、いきいきとしている。「働く」「学ぶ」「遊ぶ」「休む」をバランスさせ、自分のライフスタイルを自由にデザインして、大いに生きがいを感じている。そして、高齢者を含むすべての人が「自立」して「多様」な生き方を実現することができ、その中で高齢者が多世代の人々や社会と「つながり」を保持し、新たに創り出している。すなわち、高齢者のもつ経験や知見が引き出され、社会に貢献している。 この社会が実現すれば、高齢化は「機会」に変貌する。世界で最も高齢化が進んだ日本は、潜在的に多くの機会が存在する国であるといえる。多くの機会のある日本には、また、世界の先陣を切って「ビンテージ・ソサエティ」という成熟社会へのパラダイムシフトを成し遂げられるだけの、十分な潜在力があると考えられる。 実際に、この変革の萌芽はすでに随所に現れてきている。次章では、その事例を紹介する。”■「ビンテージ・ソサエティ」の実現に向けた萌芽 前の章を受けて、次の章となる“2.「ビンテージ・ソサエティ」の実現に向けた萌芽”では、具体的な事例を取り上げ、目次にあるように、以下の3つの分類をさらに7つに細分化して、24件の具体的な事例を紹介している。①社会通念・意識について②働き方について③産業の創出・振興について(2016.4.12記)<参考資料>1)環境省編:「27 年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷(株)(2015.6)2)活力あふれるビンテージ・ソサエティの実現に向けた取組に係る研究会編:「活力あふれる『ビンテージ・ソサエティ』の実現に向けて」(2016.3)A4,36p3)「活力あふれる『ビンテージ・ソサエティ』の実現に向けた取組に係る研究会」(第1 回)議事要旨(2016 年10 月28 日)http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/shoujo/vintage_society/001_giji.html■研究会で議論された高齢化と環境問題に関するトピックス 同研究会の会合では、以下のような意見が提出され、最終報告書の作成に反映された。①高齢化社会というとネガティブなイメージに捉えられることが多いが、人が健康な状態で長生きすれば高齢化社会になるのは当然で、超高齢化社会は、ある意味で医療技術と経済的豊かさが実現した人類の成果だといえる。 ②人生90年、100年といわれる時代だからこそ、高齢者たちは自分の人生を自由に設計できる。このようなことは子育て等で多忙な30代では考えられない。③我が国史上初の超高齢化社会であるが故に、高齢者は健康・知識・スキル・財産・時間等を有しながら、セカンドライフをどう生きるか戸惑いを持っている。自由に人生設計できる歓びを上手く伝えられれば、多様な人生設計が生まれ、産業も創出される。④ NPO の現場で、地域のシニアが集まるプラットフォームを形成し、企業や個人のニーズに対するマッチング事業、シニアが地域の子ども達の安全を見守る事業などを展開している。退職前の肩書を早く捨てられる人の方が、地域に溶け込みやすい。⑤高齢者が若い人たちをオーバーライドするようなヒーローをつくる仕組みができないか。オーバーライドのカギは、ビンテージ感ではないかと考えている。⑥特に文化系の趣味は長い歴史をもっている高齢者の方がよく知っているので、ヒーローになりやすい。もう少し近代化した趣味産業が必要ではないか。⑦地域に密着した生活が中心になる高齢者が活躍することは、個店や商店街など街の活性化にもつながる。⑧シニアは年齢・学歴・世代などで分類することが難しく、ニーズも非常に細分化している。特に後10年で後期高齢者になる団塊世代は、現在の後期高齢者の世代よりはるかに多様化する。一方、ビジネス化を図る場合ある程度集約しなくてはならない。地域毎の規模は小さくても、全国規模でみれば大きな市場になるという視点もある。⑨環境学や経済学の多くのテキストでは、「環境」「社会」「経済」の3点が分断されて描かれることが多い。しかしこれでは必ずカニバリズムが起きる。これから伸びる超高齢化社会においては、3 点が入れ子構造である捉え方をする必要があり、その界面部分で高齢者を含めた新しいビジネスが生まれてくると考えられる。⑩「ビンテージ・ソサエティ」は「超高齢化社会」と同義ではなく、大量生産大量消費・効率優先の先にある新たな価値観に基づく社会、すなわち高齢者も含めた 世代を超えた成熟社会を意味する言葉として用いられる。一方「ビンテージ層」という用語は、「高齢者層」とほぼ同義であるので、併用すると混乱を招く恐れがある。■報告書の概要 本報告書では、今後目指すべき社会を「ビンテージソサエティ」(高齢者が多世代に緩やかに交わりながら、「社会の負担」になるのではなく、むしろ「社会の力」となっている社会)とし、その実現に向けた取組に関する提言を行っている。 本報告書では、急速に高齢化が進展する中、望ましい社会のあり方として、「多様性」「自立」「つながり」を鍵とした「ビンテージ・ソサエティ」を定義している。また、さまざまな場面で見られ始めた萌芽事例を抽出するとともに、その定着・拡充に向けて求められる3つの変革①社会通念・意識②働き方③産業創出・振興を提示している。 その上で、これらの変革を促すための今後の取組(「能力やスキルの因数分解・意味転換」や「人生90年・100 年」を前提としたライフデザインの考え方等)について提言を行っている。報告書の構成と内容を明らかにするために、同報告書の目次を<表1 >に紹介する。■ビンテージ・ソサエティ実現に関係する他省庁の施策 ビンテージ・ソサエティ実現に関係する他省庁の施策については、同報告書中に12の事例がリストアップされている。その一部を以下に紹介する。(1)「働く場づくり」の例●企業における高齢者の雇用の促進:高齢者の職域の拡大、作業環境の改善、健康管理制度の導入等を行う事業者への支援や、高齢者を継続雇用する事業者への支援を通じて高齢者雇用を促進。【厚生労働省】 1 . ビンテージ・ソサエティに関する考え方 (1)現状と課題 ①高齢者人口の増加と生産年齢人口の減少 ②身体的に若返りつつある高齢者 ③高齢者の就労意欲の高さ (2)「ビンテージ・ソサエティ」の創出を目指して2 .「ビンテージ・ソサエティ」の実現に向けた萌芽 (1)社会通念・意識について ①「年齢」に対する社会通念・意識 ②世代間交流について (2)働き方について ①一人ひとりの能力の「因数分解・意味転換」について ②「モザイク就労」モデルについて ③「ビンテージ・ベンチャー」、「身の丈起業」について (3)産業の創出・振興について ①高齢者の力を活かす産業 ②高齢者の力を引き出す産業3 . ビンテージ・ソサエティを実現するために: 3つの変革 (1)社会通念・意識の変革 ① 「年齢」に対する社会通念・意識の見直し (「歳忘れ」 の価値観の浸透) ②「 人生90年、100年」を想定したライフデザイン ③ 多様性あふれる交流による活力とアイデアの創出 (2)働き方の変革 ① 能力の「因数分解・意味転換」と、それを活かしたプ ロフェッショナルな働き方 ② モザイク型チームワークによる就労 ③「 ビンテージ・ベンチャー「」身の丈起業」の可能性 (3)ビンテージ・ソサエティを豊かにする産業創出・ 振興の変革 ① 高齢者の力を活かす産業の創出・振興 ② 高齢者の力を引き出す産業の創出・振興4 . 今後に向けて (1)社会通念・意識の変革を進める取組 (2)働き方の変革を進める取組 (3)ビンテージ・ソサエティを豊かにする産業創出・ 振興の変革を進める取組 附1(参考) ビジョン: ビンテージ・ソサエティのまち 附2(事例) 23の事例が本文中に紹介されている 附3(ビンテージ・ソサエティ実現に関係する他省庁の 施策)<表1>報告書『 活力あふれる「ビンテージ・ソサエティ」の実現に向けて』の目次2)