ブックタイトルメカトロニクス5月号2016年
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メカトロニクス5月号2016年
10 MECHATRONICS 2016.5 御社の概要についてお聞かせ下さい池野:当社は、1986 年10月に設立しており、埼玉県所沢市にあった自宅の3 畳間を事務所代わりに私1 人でスタートしています。以前勤めていた会社で、マウンタの販売網の開拓をするためアメリカに数ヵ月滞在していた時期があり、その時に知人に紹介された、現地の日本企業に勤務されていた日本人の方の強いすすめにより、独立を決意したことが当社を立ち上げたきっかけとなっています。 設立当時の事業としては、私が以前勤めていた会社で手掛けていた、マウンタに使用するテープフィーダの販売を商社的な立場で行っていたことと、今までの経験を活かしたテーピングマシンの開発、同じく経験を活かして他社のマウンタ開発などをお手伝いするコンサルタント業を行っていました。この3つの事業を2 年半ほど1 人で行っていましたがテーピングマシンの開発については、コンセプト設計を私が行い、協力会社と一緒に開発を進めていました。基本設計に留意したのは、私1人でも設置や納品作業が手離れよく対応できるような設計をしたことでした。 私自身、開発を行う時にはビジネスモデルを考えながら、どこで利益を得るのかということをポイントに置いて、それを設計に織り込んでいます。また、以前勤めていた会社でもゼロから事業を起こし、大きな売り上げを確保できるまでに発展させた経験があったので、外 モーションコントロール製品とテーピングサービスで事業展開を行う株式会社バンガードシステムズ。M&Aにより取得した会社を統合し、2つの異なる事業を連携させて新たな市場開拓を目指す同社の概要と製品などについて、代表取締役 池野 成雄 氏にお話を伺った。株式会社バンガードシステムズ代表取締役池野 成雄 氏2つの事業の連携で新たな市場開拓を推進~モーションコントロールとテーピング技術を応用~部の力を借りてなんとか1 人でも対応することができていました。 そして、大手半導体メーカーに次々と採用され売り上げを順調に伸ばしていき、1989 年4月には埼玉県所沢市東所沢に本社を移転し、仕事も1 人では対応できなくなってきたので、徐々に従業員を採用していきました。1991 年8月には、埼玉県所沢市に当社のグループ会社として株式会社バンガードテーピングサービスを設立しています。このグループ会社では、テーピングマシンを社内に設置して受託加工をメインにした事業展開を行っていました。その後、当社がこのグループ会社を吸収合併し、テーピングサービス事業部を発足させ、テーピングマシンの販売事業と合わせて当社の柱になっていきました。 1999 年7月には、主にモータ制御を中心に事業展開していた株式会社ハイピーテックをM&Aにより取得しています。同社の先代社長とは、私のサラリーマン時代からの知り合いで、私より1 年ほど早く独立されて同社を設立されました。私が当社を設立してからは、当社のテーピングマシンに使用するモータに関する制御は同社にお願いするなど、協力関係を維持していましたが、その先代社長が体調を崩されて会社の経営を引き継いでもらいたいということで、私が社長を兼任することになりました。そして、同社のモータ制御の見直しを図っていき、10年以上掛けてようやく市場に展開できるレベルまでにもっていきました。 その頃当社としては、2000 年1 月に埼玉県飯能市にテーピングサービスの飯能事業所を開設し、2005年5月には外観検査事業進出に伴い、神奈川県横浜市に新横浜事業所を開設しています。株式会社ハイピーテックの経営が軌道に乗り始めた2004 年頃には、半導体産業の衰退により、当社のテーピングマシン販売事業が徐々に厳しい状況になっていきましたが、テーピングサービス事業に関しては堅調な需要があったため、それを柱にすることで経営を維持していきました。 2012 年9月には、本社建物を現在の所在地に新築し、飯能市と横浜市にあったテーピングサービスの事業所を本社に統合しています。この頃は、テーピングマシンの外販は縮小し、テーピングサービスの事業も半導体から半導体以外の小さな部品へ主流が変わっていきました。そして、需要の変化に応じて社内で使用する設備は、すべて自社開発を行っています。 2013 年7月には、経営の一体化を目指すため当社が株式会社ハイピーテックを吸収合併し、ME事業部として事業展開を開始しました。現在は、ME事業部とテーピングサービス事業部の2本柱で事業展開を進めています。 ME事業とテーピングサービス事業に ついてもう少しお聞かせ下さい池野:まずは、ME事業部について説明します。この事業部では、モーションコントロール関連の開発/製造/販売を行い、AC/ DCサーボドライバ、ステッピングドライバをはじめ、コントローラ、ソフトウエア、専用のLSI、それからネットワーク技術開発に力を入れています。特にAC / DCサーボについては、アナログからフルデジタル化への移行を進めています。 また、サーボモータとステッピングモータの中間となる新しいジャンルの融合制御領域に注目し、独自性のある製品開発を重視しながらビジネスの拡大を図っています。その中心になっている製品が、高分解能エンコーダを採用したクローズドループサーボ制御ステッピングシステム『ST-Servo』です(写真1)。この製品は、新開発のスマートアルゴリズムにより、モータの特写真1 クローズドループ制御ステッピングシステム『ST-Servo』写真2 知能化ドライバ『PRO-FUSE』