ブックタイトルメカトロニクス4月号2016年

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概要

メカトロニクス4月号2016年

42 MECHATRONICS 2016.4日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力地球温暖化とオゾン層破壊のリンク~「JICOP情報」が取り上げる二つの地球環境問題~【第169回】■「JICOP 情報」 「JICOP情報」は、JRECO の活動に係わる“地球温暖化”および“成層圏のオゾン層破壊”という二つの地球環境問題に焦点を当てた月刊の情報誌(A4版22ページ)である。その内容は、毎号同じ体裁の項目で編集されており、その具体的な内容の件数は、一例として最新号では以下の通りである(図表2)。①国内の動き:地球温暖化問題とオゾン層破壊問題に関する国内のトピックス(9件)②海外の動き:地球温暖化問題とオゾン層破壊問題に関する海外のトピックス(13件)③ JRECO の活動:JRECO の主催行事「フロン排出説明会(実施済み30件、予定13件)、講習会(予定20件)」④ニュース・インフォメーション:・会議/展示会等(予定7件)・新聞情報:過去1ヵ月間の関連トピックスのタイトル紹介(67件)■「JICOP情報」の“国内の動き”と“世界の動き” 成層圏オゾン層破壊の対策は、オゾン層破壊物質の規制(最終的には生産と消費の全廃)を国際条約に基づいて行うことが主要な活動である。そのための代替品には地球温暖化係数が高いものがあり、オゾン層保護対策と地球温暖化対策を両立させるために密接な関係を保って行われてきた。また、地球温暖化の問題は複雑な因子がからみあっており、二つの地球環境問題を議論する場合には、各種の要因の解明と解決策とが求められている。 「JICOP情報」におけるトピックスの紹介は、これらの多方面にわたる最新情報を簡潔に把握するためには、まことに通読するに値する貴重な情報源として、高く評価されている。そのトピックスを具体的に紹介するには、内容に応じてある程度の分類を行うことが理解しやすいと考えて、以下には、大きく10件のグループに分けたトピックスを4ヵ月間の同誌のデータに基づいて紹介する(順不同)3~6()トピックスの表題は、内容の理解度を高めるために若干表現を変えている)。(1)気候変動の観測と科学的解明・2014年の温室効果ガス濃度の観測:NOAA(アメリカ海洋大気局)等の報告書・過去の温暖期(鮮新期、約533万年前~約258万年前)との氷床の比較分析:日本の合同チームが発表・ミニ氷河期が2030年に到来するという予測についての国際的論争・氷床の融解による海面上昇:ハンセン博士(コロンビア大学)の論文による論争・嵐の増加:ローレンス・バークレー国立研究所の解析・北極圏温暖化の解明:日本・アメリカ・ロシア等5ヵ国による14の研究テーマの実施・沖縄の気温が世紀末には24℃上昇と予測:沖縄気象台がまとめた「沖縄の気象変動監視レポート2015」・温暖化で風速60mの“スーパー台風”が増加:坪木名大教授、森京大准教授等の研究・海洋生物の保護のためには地球温暖化対策が必要:国際研究チーム「オーシャンズ2015イニシアティブ」(Oceans 2015 Initiative)が報告書を発表・今世紀末の気温は、18世紀の産業革命前よりも3.5℃上昇する:マサチューセッツ工科大学等の研究所チームの発表(2)日本の施策・G7サミット:主要7ヵ国首脳会議での討議・COP21に向けたCO2排出枠の検討:国連へ提出・国際協力機構(JICA)の途上国支援:COP21に向けて、途上国への気候変動対策支援を拡大・国連へ温室効果ガス削減目標(2030年)を提出・地域共同体の連携による面的なCO2対策・2国間クレジット(JCM)のアジアにおける案件拡大・JCMに関するフィージビリティ・スタディ(FS、実現可能調査):経産省が9件を採択・小規模火力発電での規制(経済産業省)・国際協力機構(JICA)等の支援による途上国への環境技術の展開・地球温暖化の被害の最小化を目指す“国家戦略適応計画”:日本政府がまとめた初めての計画で、COP21で発表の予定(3)各国の施策・各国が国連に提出した2020年以降の温室効果ガス削減目標では、産業革命後の気温上昇を2℃未満に抑える国際目標の達成は困難:科学者の国際NGO「クライメート・アクション・トラッカー」の発表・途上国が温暖化対策を進めるために先進国が支援した資金に関する調査:経済協力開発機構(OECD)が報告書を発表・国際エネルギー機関(IEA)による各国の削減目標の分析・各国の再生可能エネルギー導入の状況:アメリカ、イタリア、スペイン、日本、インド、デンマーク、ポルトガル・日本・アメリカ:COP21に向けて気候変動問題で協力することの共同声明・アメリカ:新クリーンエネルギー計画、メタン排出削減、原油掘削漏洩、原子力と再生可能エネルギー・アメリカ:国民の健康を地表オゾン汚染から守るために、地表オゾン基準に対する国家環境大気基準(NAAQS)を強化・アメリカ・ブラジル:気候変動対策における連携強化・アメリカ・中国:両首脳会談で、CO2規制に関する合意点を発表・イギリス:使い捨てレジ袋対策、温室効果ガス削減のペースを加速・イギリス:大気のCO2汚染対策計画案へ自治体意見を募集・イギリス:自動車税の新課税方式について、イギリス自動車協会(AA)が逆効果であると反論・イギリス:風力発電に対するウィンドシアの悪影響軽減のため、産業との連携が必要・フランス:パリで気候科学者の会議「気候変動の下での我ら共通の未来」を開催・フランス:再生可能エネルギーの割合上昇の重要性の分析・フランス・ペルー:気候変動と雇用に関する共同生命。(ディーセント・ワーク:働きがいのある人間らしい仕事の考えを組み込む。)・ドイツ:自治体気候行動国際会議の提唱・ドイツ:再生可能エネルギーの市場価値の変化に関する研究報告書を公表・スウェーデン:気候変動への適応とエネルギーに対する大規模な投資を盛り込んだ2016年度予算案を発表・EU:京都議定書第二約束期間の批准採択・EU:干ばつや洪水を防ぐ森林の保水力を調査、公表<図表1>JRECO のパンフレット1) 地球環境問題を取り上げる定期刊行物の中で、特に地球温暖化と成層圏のオゾン層破壊の二つのテーマに焦点をあてて、進行中の話題を紹介するユニークな月刊情報誌が発行されている。それは一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構の「JICOP情報」である。同誌は、1990年の創刊であるが、発行元は、その年に設立されたオゾン層保護対策産業協議会で、その前年(1989年)に設立された特定フロン使用合理化推進協議会注1)が、改称・拡大強化された組織であった。「JICOP情報」という名称は、同協議会の英語名である“ Japan Industrial Conference for Ozone Layer Protection”の略称“JICOP”に基づいている。 その後、JICOPは地球温暖化にも深く関係することとなり、2003年4月には名称を「有限責任中間法人 オゾン層・気候保護産業協議会」(JapanIndustrial Conference for Ozone Layer and Climate Protection、略称はそのままの“JICOP”)と変更された。さらに、2013年には、地球温暖化と成層圏オゾン層破壊に係わるその他の二つの組織、すなわち一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構注2)、および一般社団法人フロン回収推進産業協議会注3)の3団体が統合されて、装いを新たにした一般財団法人日本冷媒・環境保全機構が発足した。注1)特定フロン使用合理化推進協議会:Promotion Conference for Rational Use of Controlled CFCs注2)一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構:Japan Refrigerants and Environment Conservation、JRECO注3)一般社団法人 フロン回収推進産業協議会:Industrial Network for Fluorocarbon Recovery Promotion、INFREP JRECO は統合後にJICOPのそれまでの業務を引き継いでおり、「JICOP情報」の発刊も同じ誌名で継続して発行され、最新号は2016年1月12日発行の第299号である(図表2)。 今回は、「JICOP情報」に掲載された地球温暖化と成層圏オゾン層破壊に関するトピックスの内容について紹介する。