ブックタイトルメカトロニクス3月号2016年

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概要

メカトロニクス3月号2016年

MECHATRONICS 2016.3 13所在地:U R L:事業内容:東京都小金井市http://www.coo-space.comベアリングの開発/販売(ライセシング~製品販売)、アイデア発掘から特許化まで、製品開発のトータルコンサルティング、など。株式会社 空スペース・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・に対し計算できない寿命というのは、主に潤滑不良や取り付け不良など、使用するユーザー側の問題により生じる寿命で早期損傷と呼びます。 近年では、ベアリングに使用される金属材料の性能が上がってきているため、計算できる寿命で壊れる前に早期損傷で壊れるケースが非常に多くなっています。これは、保持器と玉との間に干渉が生じて色々と問題を起こしているからです。ベアリングは保持器との間に滑りがあるため、玉が転がる時に水などの障害となるものがあった場合、玉は転がらずに滑ってしまうという現象が起こります。これにより、摩擦などの問題が発生して早期損傷に繋がっていきます(写真3、4)。 従来のベアリングでは、滑りの摩擦を保持器と油で抑えていましたが、ADBは玉同士が非接触なので油を使用する必要がなく、玉も非常に軽く回転します。またADBを使用することで、水が付着するような環境や取り付け精度があまり良くできない環境でも、従来のベアリングと比べて破損するケースが非常に低くなります。油を使用しないで軽く回転させることと、製品が破損しにくくなるということは、ユーザー側の使用される環境に置き換えると非常に大きなメリットになると考えています(写真5、6)。 なお、「分散起点の小さな凹みのために実用的な荷重を受けられないのでは?」と心配される声をお聞きしますが、心配ありません。エンジンのクランクシャフトを支えるベアリングでは、内外輪、保持器のすべてを半割り形状で作り、玉やころはこのつなぎ目を通過するので、分散起点の凹みに比べて遥かに難易度が高いのですが実用化されています。また、試作段階ですが、高荷重用途でのADB評価をお客様と共同で進めており、成果が出つつあります。 当社のホームページで、ADB の動作確認ができるビデオがありますので、一度ご覧頂ければと思います。 ADBの種類や生産体制などについて お聞かせ下さい河島:ADBの種類としては、標準品と受注製作品があります。現在標準品は、軸径8mmのもの1機種のみ在庫しています。これは、ベアリング自体小さいものになればなるほど製作するのが難しくなってきますので、平均的なサイズよりもかなり小さく、またこれぐらいのサイズまでは対応しなくてはいけないだろうと考えて、軸径8mmというサイズにチャレンジしました。そして、この製品を実際に動かして頂くことで、ADBとはどういうものなのかということを理解して頂くようにしています。 受注製作品は主に、ユーザーが指定した仕様の既製ベアリングにADBを加工製作しています。これにより、指定メーカーや型式、材質など、様々なベアリングをADB 化することが可能です(写真7)。また、数量が多い場合、追加工が困難な場合はゼロからの製作を行います。 次に当社の生産体制ですが、ベアリングの用途には大きく分けて2つありまして、1つは設備用途として使用するケースと、もう1つは大手企業が自動車などに組み込むために大量に使用するケースがあります。当社の場合、設備用途に使用されるものは、試作から始めてファブレスで外注先の協力を頂きながら製作しています。最初は改造から始めて、受注数が多くなってくるものに関しては、ゼロから製作していくように変更するなど順次対応を行っています。 また、大手企業がOEMなどで使用するものに関しては、ファブレスで行っていっても数が大量に出る場合は生産能力の問題などにより、対応しきれないケースが出てくると思いますので、大手企業側で製造して頂くようなライセンスビジネスを進めています。現状、設備用途に製作しているのと、大手企業に対してのライセンスビジネスをしているものとの比率については、大体半々ずつで行っている状況ですが、引き合いや問い合わせも結構来ているため、対応しきれていない部分も出てきています。そのため、まずは標準品を購入して頂き、それをユーザー側で評価や試験して頂くようなケースも出ている状況です。 今後の展開についてお聞かせ下さい河島:一番の狙いとしては、ADBという新しい技術をベアリングの市場に普及させていきたいということがあります。それには、大手企業にどんどん関心をもって頂き、使用して頂くことが近道かなと考えています。生産に関しても、当社が請け負うというよりは、大手企業もしくは大手企業の依頼でベアリングメーカーに請け負ってもらうような体制が理想であり、そのような形になっていかないと、一般的なベアリングとして普及していかないと思います。当社は、製品を販売するというよりは、技術開発をメインに考えているので、これからもそのスタンスは変らないと思います。 また、設備用途に関しても、「ベアリングが壊れたからメンテナンスが大変」といった問題は常々出てきているので、ADBを使用することにより、そういう問題を解消していけるということを様々な分野において広めていきたいと考えています。 さらに、素材についても、通常は軸受鋼が用いられますが、窒化ケイ素を始めとするセラミックスやプラスチックなど、様々な素材に対応することが可能です。試作については、それぞれで難易度が異なると思いますが、色々とチャレンジしていきたいと考えています。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真4 早期損傷の概要写真5 ユーザーニーズの概要写真7 受注製作品の一例写真6 ADBを使用するメリット