ブックタイトルメカトロニクス2月号2016年
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メカトロニクス2月号2016年
10 MECHATRONICS 2016.2 御社の概要についてお聞かせ下さい山本:当社は、私自身SE・プログラマとしてソフトウエア開発会社に勤務していた経験を活かし、1995 年4月に個人事業主として独立開業したのがスタートになります。そして、2001 年7 月に有限会社トラスト・テクノロジーとして法人化し、2003 年2 月には現在の株式会社トラスト・テクノロジーに組織変更しています。 事業内容としては、組み込みシステムのソフトウエア開発を主力に行っています。ただ、組み込みシステムといっても分野が広く、当社の場合もいくつかの主要分野に分かれています。そのひとつが、組み込みOSといわれている分野で、最近では知名度も高い組み込みLinuxやAndroidをメインに行っています。 それからもうひとつは、画像処理に関する分野になります。こちらは、会社を設立する前から私が独自に行っていた研究開発のノウハウが活かされています。私自身、幼少期の頃からラジオなどの電子工作を趣味にしており、その延長線上でマイコンボードをつくってアセンブラでプログラミングを組んだりしていました。画像処理はその頃よりはじめています。当時、画像処理という分野は産業的にまだ確立されていませんでしたが、自分なりに色々と考えてノウハウを蓄積していました。当社を法人化した2001 年頃も、まだそれほど需要はありませんでしたが、徐々にCPUやカメラを使用してコンピュータに高度な判断を行わせようという動きが出始め、ここ10 年位では、マシンビジョンといっ 画像認識および知能処理ソフトウエアを中心に研究開発を行っている株式会社トラスト・テクノロジー。市場性にとらわれず研究開発の成果を様々な分野に応用していく同社の概要や事業展開、技術について、代表取締役 山本 隆一郎 氏にお話を伺った。株式会社 トラスト・テクノロジー代表取締役山本 隆一郎 氏先行した技術開発で様々な分野に事業展開~ロボット研究を軸に幅広い分野に応用~た工場における画像検査の分野も確立されています。最近では、そういったFA分野以外にも、人物検知を応用したセキュリティや見守りシステム、顔認証や手のジェスチャーで機器をコントロールするなどの、様々な画像認識技術に関するニーズが増えている状況です。 そして、今紹介した2つの事業に加え、私のライフワークでもあるロボットに関する事業を行っています。しかしロボット産業は、大きな市場になるとよくいわれていますが、残念ながらなかなか花開かないのが現状です。産業用ロボットの市場は伸びをみせていますが、サービス用ロボットと呼ばれる家庭内に普及していくようなロボットに関しては、まだまだの段階です。ただ当社としては、今後を見据えてお客様と一緒に研究開発を進めています。組み込みOSや画像処理の技術も、元々私が独自に行っていたロボットの研究開発で培った技術がベースになっています。 その他にも、音声認識やディープ・ラーニング(深層学習)に代表される機械学習や人工知能の分野でもロボット研究の技術を活かした研究開発を進めています。 御社の事業展開について もう少し詳しくお聞かせ下さい山本:当社の事業は、すべてロボットに関連する分野に派生しています。それは、ロボット市場がまだ成熟していないということもありますが、ロボットに近いものとして例えば自動車が自動運転技術で徐々にロボット化していくとか、携帯電話がロボット化していくように色々なデバイスが知能化してきているので、その中で当社が培ってきた技術の適用分野が広がっている状況です。 当社の技術はどれも、「人間的なものをつくりたい」、「インテリジェンスな機械をつくりたい」という想いが根源にあり、それらの技術は当社にとってすべて道具というか手段になっています。昔は、そういう手段を必要とされている企業がほとんどいなかったのですが、現在では多くの企業がそういう手段を求められており、当社が先行して進めている技術がいくつかあるので、そこで引き合いを頂いて当社技術を提供する形で共に製品開発を行っています。 元々、ロボットや人工知能の研究がやりたくて、ソフトウエア開発会社を退職し、大学院に通いながらフリーランスでSE・プログラマを始めた経緯もあり、起業する意志はそれほどありませんでした。しかし、フリーランスで色々と仕事を頂いているうちにお客様も増えていき、法人化した方がいいということで当社を設立しました。そのため、研究開発に力を入れた事業展開を行っており、その方面で成果を求められる企業も多くなっているので、現状は研究と経営の両軸が上手く機能している状況です。 お客様からは、「こういうことができないか」、「ああいうことはできないか」など、自社で長年研究したけれどできなかったことや協力会社に依頼したけど結局できなかった難題を相談されることがほとんどですが、当社としてはそういう案件にやりがいを感じています。そういった案件に対し、解決をしてお客様に喜んで頂くとともに収益も挙げられ、またその技術を活かして新たな案件に取り組んでいます。 アウトプットに関しては、様々なものがありますが大抵はNDA(秘密保持契約)の案件になります。その中でお話しできるものといえば、すでに民生品として発売されている玩具メーカーと共同開発したホビーロボット(写真1)や、コンピュータ周辺機器メーカーと共同開発したBluetooth通信方式を用いたスマートフォン向けキーボード(写真2)などがあります。画像処理の分野では、当社画像処理技術を民生品に入れているケースもありますが、先程お話したマシンビジョンといわれる工場の画像検査装置に関しては、当社は多くのシステムを開発し、全国の工場に納入しています。(写真3)。写真1 ホビーロボット写真2 Bluetooth通信方式スマートフォン向けキーボード写真3 マシンビジョンシステム