ブックタイトルメカトロニクス1月号2016年

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概要

メカトロニクス1月号2016年

42 MECHATRONICS 2016.1日本産業洗浄協議会専務理事 相模環境リサーチセンター 所長 小田切 力国際連合の特別行事(2)~地球環境問題に関係する「国際の10年」と「国際デー」~【第166回】■地球環境問題に関係する「国際の10 年」 地球環境関連の問題が取り上げられた「国際の10年」には、2015年10月までに登録された総数40件のうち以下の4件があり、それらの概要を紹介する。(1)2005年-2014年:国連持続可能な開発のための教育の10 年(United Nations Decade of Educationfor Sustainable Development)<図表8> 「持続可能な開発のための教育」とは、Educationfor Sustainable Development(ESD)の日本語訳である。 現在、世界には環境、貧困、人権、平和、開発といった様々な問題がある。ESD とは、これらの現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組むことにより、それらの課題の解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、そしてそれによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動であるとされている。 「持続可能な開発」のために教育が極めて重要な役割を担うことについては、1992 年に開催されたリオ・サミットの際にも認識されており、同サミット後、国連持続可能な開発委員会(CSD)においてユネスコが中心となって「持続可能な開発」のための教育のあり方について検討が進められた。 ヨハネスブルグ・サミット実施計画の交渉過程において、日本が国内NGOの提言を受けて提案し、各国政府や国際機関の賛同を得て実施計画文書に「2005年から始まる『持続可能な開発のための教育の10 年』の採択の検討を国連総会に勧告する」旨の記述が盛り込まれることとなった。 これを受け、我が国より、第57 回国連総会に「持続可能な開発のための教育の10 年」に関する決議案を提出。我が国の働きかけにより、先進国と途上国の双方を含む47 ヶ国が共同提案国となり、満場一致で採択された。同総会において採択された決議をより強化するために、日本は更に決議案を提出し、第58 回国連総会においては45 か国が、第59 回国連総会においては34 か国が共同提案国となり、全会一致で採択された。これらの国連総会決議に基づき、ESD の10 年の推進機関として指定されたユネスコにより国際実施計画が策定され、2005 年9 月に承認された。 2009 年3 月31 日から4 月2 日、ボン(ドイツ)において、「持続可能な開発のための教育(ESD)世界会議」が、ユネスコおよびドイツ教育省の共催、ドイツ・ユネスコ国内委員会の協賛により、開催された。同会議においては、2005年から開始された「国連・持続可能な開発のための教育の10年(UNDESD)」の中間年に当たる2009年において、UNDESD 等の取組、後半5 年間の国際社会としての行動のあり方に関する意見交換が行われた。 「国連持続可能な開発のための教育の10 年」の最終年である2014 年11 月には、ユネスコ及び日本の共催により、名古屋市おび岡山市において「持続可能な開発のための教育(ESD)に関するユネスコ世界会議」が開催された。(2)2005 年-2014 年:「命のための水」国際の10年(International Decade for Action,”Waterfor Life”) <図表9 > 国際連合は、2003 年12 月の第58回総会で2005-2015 年を「『命のための水』国際の10 年」とすることを決定した。環境の健全性や貧困と飢餓の根絶を含む持続可能な開発のためには水がきわめて重要であり、人間の健康と安寧に不可欠であることを、「国際の10 年」を通じて再認識することを目的としている。以下は、同「国際の10年」の決定にあたって採択された国連総会の決議の概要である。・2003 年を「国際淡水年」と宣言した2000 年12月20 日の総会決議を想起し、・水は環境の健全性、貧困と飢餓の根絶を含む持続可能な開発にとってきわめて重要であり、人間の健康と安寧に不可欠であることを強調し、・「アジェンダ21」、第19回特別総会で採択された「アジェンダ21 のさらなる実施のためのプログラム」、「持続可能な開発に関する世界サミット」実施計画(「ヨハネスブルク実施計画」)、ならびに、淡水に関する経済社会理事会および持続可能な開発委員会第6 会期の決定を想起し、・「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」に掲げられたものを含め、国際的に合意された水と衛生に関する開発目標を再確認するとともに、安全な飲み水を物理的あるいは金銭的に利用できない人々の割合を2015年までに半減させるという目標、および、「ヨハネスブルク実施計画」に定められた、基礎的な衛生設備を利用できない人々を半減させるという同様の目標を達成することを決意し、・23 の専門機関とその他国連機関による共同プロジェクト「国連世界水資源開発報告:人間のための水、命のための水」の内容、および、その他の水に関連する協力メカニズムとイニシアチブに留意し、・また、京都で開催された「第3回世界水フォーラム」の際の閣僚級会議で2003 年3 月23 日に採択された閣僚宣言「琵琶湖・淀川流域からのメッセージ」および2003 年8 月29日から9 月1日にかけてドゥシャンベ(タジキスタン共和国)で開催された「国際淡水フォーラム」で2003 年9 月1日に採択された「ドゥシャンベ水アピール」にも留意し、① 2005 年から2015年までを「命のための水」国際の10 年とし、これを2005 年3 月22 日の「世界水の日」から開始することを宣言する。②10年の目標は、あらゆるレベルで水関連問題をより重視すること、ならびに、「アジェンダ21」、「アジェンダ21のさらなる実施のためのプログラム」、「国連ミレニアム宣言」および「ヨハネスブルク実施計画」に掲げられている国際的に合意された水関連目標、さらに適宜、持続可能な開発委員会第12、13会期中に明らかにされた目標の達成に資するため、水資源開発努力への女性の参加確保を図りながら、水関連のプログラムおよびプロジェクトを実施し、あらゆるレベルでの協力を進めることとすべきである。③その多年度作業計画に反映されているとおり、水、前回は、国際連合の特別行事に関して、その種類に「国際年」、「国際の10年」、「国際週間」および「国際デー」があることを紹介し、「国際年」の中の地球環境問題を取り上げた内容を解説した<図表7>。 今回は、残りの「国際の10年」と「国際デー」について、地球環境問題に関係する行事を取り上げる1、2)。 この原稿を準備している10月下旬に、国際連合自体に関わる「国際デー」を迎えることとなった。すなわち、10月24日が国際連合の定める「国際デー」の一つであり、その名称もそのまま「国連デー」(United NationsDay)なのである。この「国連デー」については“■国際デー”の項目の最後でご紹介したい。<図表8>「国連持続可能な開発のための教育の10年(2005~2014)」のロゴマーク<図表9>「“命のための水”国際の10年(2005~2015)」のロゴマーク<図表10>「国連生物多様性の10年(2011~2020)」のロゴマーク<図表7>前回の目次■国際連合が定めた特別行事(1)国際年(国連年)(2)国際の10年(国連の10年)(3)国際週間(4)国際デー■地球環境問題に関係する「国際年」(1)1985年:国際森林年(2)2003年:国際淡水年(3)2006年:砂漠と砂漠化に関する国際年(4)2010年:国際生物多様性年(5)2011年:国際森林年(6)2012年:すべての人のための持続可能エネル  ギーの国際年(7)2013年:国際水協力年(8)2015年:国際土壌年