ブックタイトルメカトロニクス1月号2016年
- ページ
- 41/52
このページは メカトロニクス1月号2016年 の電子ブックに掲載されている41ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは メカトロニクス1月号2016年 の電子ブックに掲載されている41ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
メカトロニクス1月号2016年
MECHATRONICS 2016.1 41稼働率の見える化、目標の見える化1. 稼働率 各工場の入口には、「本日の機械稼働率」を示すモニタが設置されている(写真1)。 稼働率とは、1日22 時間の稼動であれば22 時間中にラインがどれだけの時間動いていたかを表すものである。稼働率は目標が設定されており、どれだけの時間、ラインが止まったのか、その要因(主なものは段取り替え、機械トラブル、リール交換など)を含めて、目標の数値の達成を目指す。 朝8:30の操業開始から、6台の機械で今日は何分何秒止まっているかということは、達成の場合と未達の場合でそれぞれ色が違うなど、ひと目でわかるようになっている。 なお、ラインが止まったという情報はすべて、装置のパトライトから吸い上げている。有田工場では、ロータリマウンタとモジュラマウンタについて、「ボトルネックの装置がどれだけ止まったか」を確認している。そして、このボトルネックの装置と時計を動作させたソフトを自社内で開発し、「どれだけの時間、止まったか」を、時刻として表示している(写真2)。つまりこの時計で稼働率がひと目でわかるようになっている。表示は12 時からのスタートで、何号機が業務開始(8時半)から何分止まっているか、止まった時間のうち、段取り替えに要した時間は何分かかったかが表され、それらの情報はすべてPCに取り込まれている。 こちらについても目標が設定されて、達成の場合と未達の場合が色分けされる。これも見えるようにしているため、誰がきても、今日のそれぞれの機械の状態がわかる。このようにすることで、昼夜シフト制を敷いている有田工場では、それぞれの作業者の競争意識を促しているのだという。2. 不良 不良の発生率についても表示されている。損失金額が出てて、各作業班の損失金額がそれぞれいくらあるのかがわかる。不良が出た際は修正を施す必要があるので、そのための工賃がいくらかかったか、ということもリアルタイムにアップされる。3. 工程の計画表 工場内には、工程の作業の計画表も掲示されている(写真3)。次に段取り替えをする装置は何号機で、時間は何時何分か。担当部署の作業者は段取り替えのための準備をしておいてください、ということがわかるようになっている。こちらも色分けされており、紫色が段取り替えの時間を表し、黄色は部品を現在出庫中であること、青色は実装中であること、緑色は出庫が終わっていること、などをそれぞれ示している。 この表示は、作業者各位がわかるように入口に表示されている以外に、出庫の現場、責任者のPCで確認することができ、サーバにアクセスすれば見られるようになっている。4. 作業の目標 また、工場内では、各作業目標を設定している。たとえば、面実装課がある有田工場では、SMT 不良率、SMT 流出不良、Pライン流出不良(Pラインはディップ工程であり、そこからの流出不良)、SMT 総合効率、Pライン総合効率、作業率の向上などについて目標が定められている。 SMT 流出不良とは調整検査の段階で見つかった不良である。これは次回以降に改めてご紹介することになるが、同工場では外観検査しか実施しておらず、電気的なチェッカなどはやっていない。面実装の段階で外観検査を実施し、どれだけ不良が流出したかをパーセンテージで表す。作業率の向上は、段取り替えの時間については、1、4、5号機が2 分30 秒、2、3 号機が2分45 秒、6 号機が1 分とされており、リール交換については1、2、3、4、5号機が3.5秒、6号機が0.5 秒と決められている。そして、作業者がこの時間内で作業できたら作業率が100%になり、これ以下の時間で達成できたら100%以上になる。そこで、「100 %以上」という数値が設定されている。 機械稼働率の向上の項目で設定されている、チョコ停削減は内訳を分けており、1 ヶ月でデータトラブルが8 分以下としている。チョコ停でよくあるのは、新機種を作った時にデータが間違っていて機械が動かないというものであることから、この目標はプログラム作成者に向けられた目標になっている。 機械トラブルについては、機械が壊れて、動かないといった問題の出来を、稼働時間に対して0.5%以下にするというものである。 その他トラブルは、レールに基板がひっかかって流れずに機械が止まった、などのトラブルで、それを、稼働時間に対して目標達成するというものであり、保全係の目標値となっている。 このように作業員の目標値が、分かるようになっているほか、その目標に対して、実際の達成度がどうであったかをグラフで示している。このグラフは月集計、平均値を、あえて手書きで書くようにしている。PCでやれば綺麗なものができるが、そうするとただ貼ることが目的になってしまう。そうではなく、手で書くことで、達成できた時は喜び、悪い時は考える、という自覚を作業者にもたせることが狙いとなっている。5. 個人の目標とスキルマップ表 課としての目標のほかに、個人はそれぞれ、自分にとっての目標を三つ、立てている。これに対して、半期ごとに表彰しており、各部署で優秀な人を選んでもらって、その人は表彰され、金一封が送られる。 このほか、個人個人のスキルマップ表も掲示されており、それぞれの人が何に長けているかがわかるようになっている。実技部門と学科部門があり、年に1 回、学科テストを実施。実技部門はテストはなく、作業者に任されており、自分がどこまでできるかということを申告する。 前述の改善提案についても、個人の目標についても、作業者のひとりひとりの意識の高さが伺えるとともに、それぞれのかたの顔が見えてくる。会社側が個人の考えを尊重している点も、大変好ましく思えた。 各工場の工程の詳細については、次回以降、ご紹介する。独自の生産ラインを構築し、高い生産性と高品質な製品づくりを実現する、和歌山アイコムの取り組み(その②)写真1 本日の稼働率を示すモニタ写真2 STOP 時間を表す時計写真3 工程の作業のタイムテーブル工場レポート