ブックタイトルメカトロニクス12月号2015年
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メカトロニクス12月号2015年
44 MECHATRONICS 2015.12表3-5 熱可塑性樹脂(複数の文献から数値を集録) 3-7)図3-16 熱可塑性樹脂の温度・弾性特性 3-8) 図3-17 射出成形工程の要点《第80回》3 製造をみてみよう(その6)1.導光板の放出素子の敷設(6)成形加工 液晶表示装置が商品化され1990年代に入ると画面は次第に大型化して、バックライトに用いられる導光板のサイズは10インチ以上を製造しなければならなくなった。試行錯誤の末に作成した設計図をもって、製作技術者をいろいろと訪ね回った。作業現場はきれいに清掃されてはいるが、横長い製造機械が暑い部屋の中で鈍い大きな音を立てて動いている。企業自慢の樹脂射出成形機が数台も並んでいた。導光板のサイズが大きくなれば、成形機ピストンが樹脂を金型へ押し込む圧力はすざましく、型締め付け力は500tonから果ては2000tonも必要になってくる。ピストン運動が奮闘した後に、金型から一枚の板が漸く排出された。日常は設計室に勤務している技術者にとって、たまに訪れる作業現場は多くの教科書を開いてくれる。関係する仕事でもあり、技術者としても一応は知っておくべきであったろうが、しかし異なる職種であったので、その成形機の構造や機能は未知のままだった。今ここに当時を偲んで、射出成形加工なるものを概観してみよう。 成形機が取り扱う樹脂には、過熱されると硬化する熱硬化性樹脂と軟化する熱可塑性樹脂とがある。熱硬化性樹脂は加熱されるにしたがって弾性を失い硬化する。その組成は結晶しない。熱硬化性樹脂には非晶性樹脂および結晶性樹脂とに大別される(表3-5)。この区別は、成形条件によって異なるが、樹脂成分中に形成される結晶率が20%~90%である樹脂が含まれる。樹脂(プラスチック)は糸状の高分子が絡み合って生成されており、低温で規則的に配列して硬い剛性を示しているが、形成している高分子構造が糸玉状の塊を含んでいる樹脂では完全に結晶できないので、低温になっても柔軟性を呈している。これが非晶性樹脂と呼ばれ、材料として耐衝撃性がある(図3-16)。 射出成形機は、ねじが形成されたプランジャを軸挿したシリンダが中央個所に配置されていて、シリンダはヒータ(加熱部材)で囲まれており、後方上部にペレット(樹脂粒子)を蓄積するロート状のホッパが備えられる。後方部にはプランジャを回転させるモータと軸方向に移動させる押圧機構とが装備されている。シリンダ先端部にはノズルが装備され、さらに前方部に金型および型締め機構が配置されている。 ホッパへ投入されたペレットは重力で自然落下して、加熱されたプランジャの螺旋谷溝に絡み込む。このプランジャが逆回転すると、谷溝に喰い込まれたペレットはシリンダ内を先端に向かって送られ、次第に加熱されて粘性液状に変態してゆく。プランジャの谷溝径は先端付近で太くなり、所定回転するとシリンダの前面空間に所定量の液状樹脂が押圧される。つまりこの付近で樹脂は射出に必要な一定量に計量されて、プランジャ前面の空間に押し込まれる(計量工程)。プランジャ先端には逆止環が装備されているので、プランジャの逆回転により前面空間に背圧が生じ、反動でプランジャは後退する。と同時にプランジャ後方部でホッパからのペレットを迎え入れる。次に雌雄分割できる金型が締められ(型締め工程)、押圧機構により軸移動するプランジャにより前面部に貯留されている粘性液状の樹脂がノズルから金型内部へと注入されてゆく(射出工程)。金型内に注入された樹脂の塊が収縮するのを抑制するために、ノズルからの押圧力をしばらく強めて