ブックタイトルメカトロニクス11月号2015年
- ページ
- 8/60
このページは メカトロニクス11月号2015年 の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは メカトロニクス11月号2015年 の電子ブックに掲載されている8ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
メカトロニクス11月号2015年
8 MECHATRONICS 2015.11 御社の概要についてお聞かせ下さい柴野:当社は、2010年4月に設立しました。以前私は、紆余曲折を経て超音波をコア技術にした会社を経営し、株式上場を果たすために中国を中心に事業を展開していましたが、訳あって一度会社を整理しています。当社は、再び日本で私のもつ超音波技術を発展させる目的で設立した会社で、私が体調を崩して代表を務められなかったため、代わりに私の妻が代表になっています。 私自身、長年培ってきた超音波洗浄技術を活かし、洗浄を中心にバリ取りやエッチングなどの分野へ事業を展開するとともに、以前私が代表を務めていた会社のユーザーである日本の自動車メーカーなどに納品した機器/装置のメンテナンスも含めた事業を柱にスタートしています。しかし、ちょうどリーマンショックの直後ということもあり、思うように業績は上がらず、また中国に比べて日本の超音波洗浄の市場規模は非常に小さくなっており、新たに参入する当社にとっては厳しい現状でした。ただ、バリ取りの市場に関しては他社もあまり手掛けておらず、ほぼ人海戦術で行われているような状況だったので、十分参入する余地がありました。そのため、バリ取りの分野を中心に事業を行い、余裕が出てきたらその他の分野にも展開を考えるといった経営方針に変更していきました。 そして、当社だけで進めるには少し厳しい状況だったので、協力して頂ける会社とともにバリ取りに関する技術開発を進め、超音波によるバリ取り専用の素子を開発しています。これにより、超音波バリ取り装置を開発し、昨年開催された「第31回神奈川工業技術・開発大賞」にて奨励賞を受賞しました。また、今年の4月に開催された「第27回中小企業優秀新技術・新製品賞」においても優秀賞を受賞しています。 現在、当社には、最新鋭となる超音波バリ取り装置の実験機を設置しており、お客様が抱えている様々な 独自の理論で新たな超音波洗浄技術を開発し、その技術を応用してバリ取り洗浄の分野を中心に事業展開する株式会社ブルー・スター R&D。従来の超音波洗浄技術とは異なる新たな超音波洗浄技術を市場に普及させるため、事業を推進する同社の概要と技術、製品などについて、会長 柴野 佳英 氏にお話を伺った。株式会社ブルー・スター R&D会長柴野 佳英 氏独自の超音波洗浄技術を活かしたバリ取り洗浄機~従来の超音波洗浄技術とは異なる技術を開発~バリ取りに関する問題の相談を有料で受け付けています。そして、ここにある実験機を使用して、私どもがサポートしながらお客様と一緒に試験を進め、最後はお客様が最終の試験を行って問題がなければ装置の受注を頂くようなシステムになっています。当社には営業部門がなく、ホームページだけの営業スタイルをとっていますが、それでもバリ取りに関する相談は数多く寄せられ、1日平均で1~2件の新規問い合わせがあり、好評を頂いています。 将来的には、超音波バリ取り装置だけでなく、当社の取り扱うすべての標準機を設置して、世界中のお客様にご利用頂きたいと考えています。 御社のコアとなる超音波洗浄技術につ いてお聞かせ下さい柴野:一般的な超音波洗浄技術は、水中などに超音波を出すと溶解している気体の量により、丸い泡もしくはガス星雲型のキャビティーという微小の真空核群が発生し、多くはこの泡が潰れるとマイクロジェットが生じて汚れを取るというようにいわれています(写真1)。しかし、実際にはこの泡が潰れてマイクロジェットが生じるという現象は存在せず、ガス星雲型のキャビティーも、消滅する時のマイクロジェットの衝撃力も大変小さいのです。私自身このことを1993 年アメリカの学会で発表しましたが、なかなか世界中に浸透していないのが現状です。そのため、この一般的な超音波洗浄技術とは区別し、私自身が今まで蓄積した理論とデータの集積を基に当社独自の超音波洗浄技術を国内外に広く普及させています。 当社は、水中などから溶解している空気(窒素/酸素)を除去し、単なる空気の泡でもガス星雲型キャビティーでもない、球状星雲型のキャビティーを発生させます(写真2)。これが当社独自のコア技術となるキャビティーション強化システムであり、この時、1 秒間に20,000 回以上発生する正と負の強力な衝撃波により、強力洗浄や超音波バリ取り洗浄を行います。キャビティーション強化システムを使うためには、正しい超音波洗浄の理解が前提になります。 当社の超音波洗浄は、キャビティーの生成と消滅時に発生する正と負の衝撃波の応用技術になります(写真3)。超音波洗浄の原理を極め、誤解されている今までの一般的な超音波洗浄ではなく、当社が普及を進めている超音波洗浄技術の応用で、お客様の様々な問題に対応しています(写真4)。また最近では、精密加工には避けて通れない微小バリの除去などにも利用できることが分かっており、新しい精密バリ取り技術にも活かされています。 御社の注力される製品についてお聞か せ下さい柴野:まずは、超音波発振器『SIRIUS Super-MultiⅡ』を紹介します(写真5)。この製品は、1 台で1,200Wの超音波出力を発生し、複数台を同一周波数における信号のリンク接続で構成することにより、その台数分の加算総合出力を可能にします。複数台構成時の超音波信号源になるものをマスタ機と称し、構成グループ内に1 台とします。また、その信号を受けて従属出力するものをスレーブ機と称し、通常はグループ内に1~3台(4,800W)、分配アダプタを介在して最大7 台(トータルで9,600W)まで可能にします。 主な特徴としては、①25kHzを基本として高次の高調波の周波数成分が多く含まれていることで、その成分によりバリ取り/洗浄に効果的な作用をする、②10ドットのLEDバーグラフ出力メータにより、リアルタイムで出力を監視できる、③基本周波数の調整がフロントパネル上より容易に調整ができる、④パネル上の設定により、基本周波数を中心より±5kHz の幅までのスイープ可能、⑤スイープ幅のモニタは、パネル面の5ドットLEDの点滅点灯で確認できる、などが挙げられます。 主な仕様は、電源:AC196V~220V 50/60Hz、消費電力:1,300W、出力形式:PWM、超音波出力:1,200W(600W×2ch.)、出力周波数:25kHz、周波数調整範囲:19 ~29kHz、スイープ周波数調整幅:±0 ~ 5%(マスタ機)、動作温度範囲:0 ~ 35℃、になります。 次に、キャビティーション強化システム付き超音波バリ取り洗浄装置『PERION-DB-2400』を紹介します(写真6)。主な特徴は、①当社独自技術であるキャビティーション強化システム付きで手動タイプの超音波写真1 ガス星雲型キャビティー写真2 球状星雲型キャビティー写真4 球状星雲型キャビティーで汚れが除去される瞬間(1/1000秒)写真3 球状星雲型キャビティー発生の瞬間(1/1000秒)