ブックタイトルメカトロニクス11月号2015年

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概要

メカトロニクス11月号2015年

54 MECHATRONICS 2015.11表3-4 ランジュバンの経歴 3-3)表3-3 除去加工による工作機械の種類(例)3‐2)《第79回》3 製造をみてみよう(その5)1.導光板の放出素子の敷設(4)導光板の加工 液晶表示装置に必要なバックライト機構が開発されつつあった1990 年代、厚さ3mm でA4 版ほどのプラスチック板に多数の微細なV 字溝筋を研削するのを工作業者に依頼して、幾度も試作を繰り返した。誘導光学の理論が解らないまま、種々の模様を描いてみたが、費用ばかりが重なり、今となっては無駄な作業でしかなかったようだ。 依頼先はバックライトの製造を夢見ている樹脂成形業者。本格生産をするには金型が必要であるが、事前の試作にしろ、本番生産に必要な金型を作製するにしても、先ずは樹脂や母型を切削加工しなければならない。業者が保有している汎用の工作機械で、微細な彫刻を見事に仕上げてくれた。当時の工作機械といえば除去加工を目的としたもので、加工職人の腕の見せ所でもある(表3-3)。しかし本格生産になると、彫刻した金型を装備した大型成形機にペレット(樹脂粒)を補充しながら太いピストンで押圧する作業が連綿と続く。能率の悪さに、いつしか樹脂成形業者達の夢は消えてゆくのであった。 これら除去加工を目的とする工作機械は、工作物に工具を直接接触させるために、切り屑の形成が裂断型や流れ型などといった工作物切削理論を学習する必要があった。やがて工具の切削機能を向上させるために超音波加工法や放電加工が注目されてくる。改めてこの工作機械を見ると、種々なる知識が得られる(図3-13)。 工具を微細振動させる超音波加工方法で、磁歪駆動コイルを用いた構造では、コイルに間歇電流を与える構造と、永久磁石を挟持したコイルに交流電源を接続する構造とがある(図3-13(a))。また圧電型は電界で歪が発生する形式である。ランジュバン(表3-4)が発明した超音波振動子は、単独では周波数が高すぎる圧電素子の両端に、金属棒を貫通ボルトで固く締結することにより、相当振動数を20K ~ 50KHz あるいは~ 200KH zにまで低下させることに成功した。振動波形は振動子の両端が固定端となり、振幅は供給電圧に比例して共振する。縦波密度が小さい媒質の空気では音速が330m /sであるが、アルミニウムでは約3Km/sec。周波数50KHz の場合で長さを半波長の1.5 倍と長くすれば、振動子長さは40mm となる。振動子の端部に接続したホーンの先端が振動の自由端となり、装備した工具は効果的な切削機能を発揮する(図3-13(b))。 気体や液体の振動では縦波しか発現しないが、固体は縦波のほかに横波やねじり波も発生できる。縦振動と同時にねじり振動を与えた横置き振動子に工具を装着すると、工作面を2 次元の加工ができる(図3-13(c))。振動加工方法は、振動している工具で加工するため、微細な凹凸が加工面に残る。 凸レンズで太陽光を紙片に集中させると、紙片はやがて燃え上がる。太陽光には多くの波長が混合しているが、単一波長の光であると、この焦点が極小になり機能が向上する。レーザ切断装置はこの機能を利用した加工機である(図3-14(a))。媒体とする気体柱や固体に励起源を添加すると、レーザ光が二つの鏡の間で共振して発生する。一方の鏡を完全反射性とし他方の鏡が部分反射性の性質とすると、レーザ光線がこの部分反射鏡から漏洩し、工作物の加工面に照射できる。一般に、切断加工には酸化を予防するために不活性ガスを、溶接加工には活性ガスを光線と共に照射する。 プラスチックや木材の加工には炭酸ガスレーザ(赤外光10.6 μm)が用いられる。波長が長いので反射鏡を装備した直線光路が必要であり、レーザ発生装置から加工ノズルまでを直接に連結する構成となる。鉄鋼やその他の金属など表面では光線が反射するので、金属面への吸収率が比較的小さいYAG レーザ(近赤外光1.06 μm ) が適応される。波長が短いので、レーザ発生装置と加工ノズルとの連結には可撓性の光ファイバが使用でき、取り扱いに便利である。 電子線加工機とは、陰極から発射される電子線をドーナツ状の陽極を貫通して加工物に照射する装置で、ブラウン管テレビ装置と同等の構造である(図3-15)。構成部材をすべて真空室に装備する必要があり、加工物を走査テーブルに配置するごとに真空室蓋を開閉しなければならない。【参考文献】3-2)有浦・鬼鞍・仙波・鈴木「機械製作法」3-3)電子版Wikipedia3-4)日本フューチュア(株)「やさしい超音波回路」(株)長津製作所「微細構造・高硬度金型の超精密微細加工技術と成形技術の開発」鳥飼安生「超音波の作用とその工業的応用」生産研究13‐9鈴木浩文・協伸産業「超音波2 軸振動援用マイクロ非球面研磨に関する研究」高崎正也「食品用超音波カッターの開発」3-5)オムロンレーザフロント(株)「金属加工用YAG レーザ装置」3-6)「電子ビーム加工とは」三菱電機(株)3 製造を見てみよう(その6)