ブックタイトルメカトロニクス10月号2015年
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メカトロニクス10月号2015年
44 MECHATRONICS 2015.10既出図2-126 照射方式に対応した放出素子の敷設(他に諸策もある)《第78回》3 製造をみてみよう(その4)1.導光板の放出素子の敷設(4)導光板の加工 LCDバックライトの技術情報を得ようとして文献を探しても、多くは企業製品の宣伝を兼ねた紹介文である。製品を生産するには、その企業の設備に依存する度合いが強い。液晶画像表示装置が商品化され始めた初期の1990年代のころ、成形製造業者が競ってバックライトの導光板の試作に取り掛かった。導光板は板厚が薄いが、比較的広い面積の板である。自社保有の設備である射出成形機を駆使して、何とかものにしようと努力していた。薄い板であるにもかかわらず、面積が広いので射出押圧力はかなり要る。製品の導光板を取り出すとき、重い金型をその都度に開閉するので、生産サイクルは鈍い。それに導光板に敷設した放出素子の分布計算は未熟でもあった。何が原因で成功しなかったのかも問題解決を見つけられずに、結局、殆どの成形業者は将来発展の夢半ばにして、舞台から退場していった。 このような経緯を傍観していたある業者は、加熱しながら金型を薄板に押し当てる熱押圧成形法に目覚めて、再起を図っていた。放出素子の敷設分布は、当時から社外秘密ノウハウ。何とか糸口を見出して、彼は台湾に渡っていった。21世紀に時代が変わる頃、生産拠点が海外へ移るときの挿話であった。 技術者を悩まし続けた放出素子の敷設模様を、ひとまとめに概観すると、不安悩みも消え去るであろう(既出図2-126)。そしてどのような敷設模様が当面課題の導光板に適当であるのか思案できるようになる。導光板を製作する技法は機械工作であるから、この分野も概観できるようにしておく(図3-12)。製造業者の実態は、これら製品をどのように作業しているのであろうか。キーワード“導光板”+“製造”で特許文献を検索すると、1,000件以上が見出せる。直接担当者は精査すると好い。 前掲の2つの図面を見渡しながら生産性を向上させる方策を模索してゆくと、合理的な製造手段が見出されてゆく。V溝自由曲線を掘削した金型による射出成形方法から熱塑性変形方法の熱押圧方法、そして付加加工方式のラミネート方法へと視点は移り、脚光はインクジェット印刷方法に注がれていく。開発技術者に必要な性格は、技術分野を広く見渡し、推移する時代を常に感じ取る心がけであろう。【参考文献】3-1)「工業材料」1990年11月別冊号。「射出成形技術入門」千坂浅之助/シグマ出版1992。「プラスチック用金型製作の技術、技能マニュアル」中小企業総合事業団・平成13年1月。「液晶バックライト用アクリル材料と生計技術の開発」住友化学2002-Ⅱ。「射出成形による光拡散板及びLED用薄肉導光板」ニイガタマシンテクノ 2007年6月。「マイクロブラスト加工例」タクミ技研2007年。「超精密微細加工技術」東レプレシジョン2008年5月。「3Dmachiningによるマイクロプリズムアレイ金型の加工」パナソニックテックジャーナル2009。「多孔板」メルテック・カタログ。「導光板加工」ナノテクノリサーチ・カタログ。「会社案内」ソディックハイテック2007年2月。「射出成形基礎のきそ」日刊工業新聞2007-3-30。「光学系成形金型への電鋳の応用」ヒキフネプラスチック成形技術第12巻第7号。「図解樹脂部品設計」プロとラブス合同。「プラスチック材料の微細加工技術と光デバイスへの応用に関する研究」藤澤克也2008。「超精密金型・精密加工」セーコー技研。「30~70インチ大口径ディスプレイ用なのインプリント装置」アイトリックス/月刊ディスプレイ2011年6月「薄肉導光板成形技術動向」住友重機械技法No183/2013他。3 製造を見てみよう(その5)