ブックタイトルメカトロニクス10月号2015年

ページ
43/52

このページは メカトロニクス10月号2015年 の電子ブックに掲載されている43ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

メカトロニクス10月号2015年

MECHATRONICS 2015.10 43利用”を初めて設けた。 その内容は、さらに2009年版より、向こう1年間に新年度に行う施策の方針の説明に場所を変更した。すなわち、「(次年度の)生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する施策」の項目において、“第2章生物多様性の保全及び持続可能な利用~豊かな自然共生社会の実現に向けて ”の中の6節の一つに“第3節 森・里・川・海のつながりを確保する取組”を設け、以下の項目の説明を行っている。 1,生態系ネットワーク 2.重要地域の保全 3.自然再生の推進 4.農林水産業 5.里地里山・田園地域 6.森林 7.都市注8)注8)または“都市緑地等” 8.河川・湿原 9.沿岸・海洋 このスタイルは、その後の版では手を加えられ、最新の版(2015年版)では、関係する場所を選んで多くの解説が加えられるようになっている。本シリーズの次回では、「2015年版白書」における、里地里山関連プロジェクトの項目とその該当項目と説明の内容を紹介する。■「2015年版白書」で取り上げられた 里地里山プロジェクト ここで、「2015年版白書」では随所で取り上げられている里地里山プロジェクト、および地球環境問題として拡大して議論されてきた“森・里・川・海のつながり”について、その視点と問題の核の要点を次号に紹介する(以下次号)。(2015.8.16記)<参考資料>1)「里地里山について(1)~(7)」は、「ものづくりと地球環境」の第131回~第135回、第144回~145回に連載2)「環境省・つなげよう支えよう森里川海プロジェクト」のURLhttp://www.env.go.jp/nature/morisatokawaumi/index.html3)「国連生物多様性の10年日本委員会」のURLhttps://undb.jp/about/4)環境省編:「平成27年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷(株)(2015.6)http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/政府が始めたことを喜ばしく思います。(中略) 私たちは、私たちが享受していた生態系からの恵みと同じものを未来の世代が確実に得られるようにしなければいけません。それこそ、まさに我々が望む未来であり、自然と共生した未来なのです。”■里地里山問題に関連する語句 里地里山問題については、その話題を説明するために、最近は多くの行事、多くの組織が関与するテーマとなっている。 以下に関連の語句についての説明を、過去の繰り返しになるものもあるが、「2015年度白書」より抜粋してまとめて紹介する4)。①里地里山 奥山自然地域と都市地域の中間に位置し、様々な人間の働き掛けを通じて環境が形成されてきた地域であり、集落を取り巻く二次林と人工林、農地、ため池、草原などで構成される地域概念。②里海 豊かな海の恵みを利用しながら生活してきている人の暮らしと強いつながりのある地域で、自然生態系と調和しつつ人手を加えることにより、高い生物生産性と生物多様性の保全が図られている地域概念。③SATOYAMAイニシアティブ (Satoyama Initiative) 人と自然との共生を目指し、世界的な規模で生物多様性の保全と持続可能な利用・管理を促進するための取組。日本の里地里山のような人間の営みにより形成・維持されてきた農地や人工林、二次林などの二次的な自然を対象とし、保全と持続可能な利用を進めるもの。環境省が国連大学等の国際機関と共に提唱している。④SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(International Partnership for the SatoyamaInitiative、IPSI) 里山イニシアティブを世界的に推進するための多様な主体が参画する国際パートナーシップ。2010年10月の生物多様性条約第10回締約国会議における決定に基づいて発足。事務局は国連大学高等研究所。⑤国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J、Japan Committee for UNDB) 人間の暮らしを支える根幹である生物多様性を保全するには、単にその場の自然環境を守るだけでなく、生物多様性の恩恵を受ける社会全体で生物多様性の価値を理解し、守る行動をしていかなければならない。2011年から2020年までの10年間は、国連の定めた「国連生物多様性の10年」(UNDB: UnitedNations Decade on Biodiversity)と呼ばれている。2010年10月に名古屋で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された、生物多様性保全のための新たな世界目標である「愛知目標」の達成に貢献するため、国際社会のあらゆるセクターが連携して生物多様性の問題に取り組むこととされている。(図表1) これを受け、「愛知目標」の達成を目指し、国、地方公共団体、事業者、国民および民間の団体など、国内のあらゆるセクターの参画と連携を促進し、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取り組みを推進するため、「国連生物多様性の10年日本委員会」(JapanCommittee for UNDB, UNDB-J)が2011年9月に設立された。UNDB-Jは、国内各地で生物多様性保全活動を行う団体・企業・行政・機関などへの情報・交流の機会などを提供し、各活動の連携を促進する役割を担っている(図表2)。⑥愛知目標(The Strategic Plan of the Conventionon Biological Diversity、Aichi Target) 正式名称は「生物多様性新戦略計画」。2010年10月に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択されたのにちなんで「愛知目標」(ポスト2010年目標(2011-2020年))と呼ばれる。 「愛知目標」は、2050年までに「自然と共生する」世界を実現するというビジョン(中長期目標)を持って、2020年までにミッション(短期目標)及び20の個別目標の達成を目指すもの。中長期目標については、「2050年までに、生態系サービスを維持し、健全な地球を維持し全ての人に必要な利益を提供しつつ、生物多様性が評価され、保全され、回復され、賢明に利用される」ことが合意されている。 個別目標は、数値目標を含むより具体的なものとすることを目指している。そのうち、生物多様性保全のため地球上のどの程度の面積を保護地域とすべきかという目標11に関しては、最終的には「少なくとも陸域17%、海域10%」が保護地域などにより保全されるとの目標が決められた。その他「森林を含む自然生息地の損失速度が少なくとも半減、可能な場所ではゼロに近づける」といった目標(目標5)が採択されている。⑦持続可能な開発のための教育(Education forSustainable Development、ESD)環境の保全、経済の開発、社会の発展を調和の下に進めていくことを実現するために、私達一人ひとりが日常生活や経済活動の場で世界の人間や将来世代、環境との関係性の中で生きていることを認識し、行動を変革するための教育。⑧“森・里・川・海のつながりを確保する取組”「環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」では、“里地里山問題”について、2005年度版より、過去1年間に行った施策の報告に関して、“第2部 環境問題の現状と政府が環境の保全に関して講じた施策”の中の“第6章 自然環境の保全と自然とのふれあいの推進”において、“第4節 里地里山の保全と持続可能な<図表2><図表1>「国際生物多様性10年委員会」のロゴマーク3) 国連生物多様性の10年日本委員会の役割3)