ブックタイトルメカトロニクス10月号2015年

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概要

メカトロニクス10月号2015年

MECHATRONICS 2015.10 37 今回紹介される画像処理ソリューションの 概要についてお聞かせ下さい川田:当社は、画像処理に関する様々な製品を取り扱っており、その中で主流となる1つが『In-Sight(インサイト)』と呼ばれる画像処理システムになります。この製品は、カメラの中にプロセッサが内蔵されており、非常に取り扱いが容易で簡単に使えるという特徴をもっています。また、同じく主流の1つで『VisionPro(ビジョンプロ)』と呼ばれる画像処理ライブラリがあります。この製品は、当社の画像処理ツールのフルライブラリを組み合わせることができるPC開発プラットフォームで、非常に性能が高くハイエンドな製品になります。 この2つの製品の位置付けは、『VisionPro』がハイエンドとなりますが、画像処理ライブラリのためプログラミングが必要になり、さらにハードウエアも別で用意しなくてはいけないなど、『In-Sight』と比べて使い難いというイメージがあります。装置に組み込んだり、お客さんの方で慣れ親しんで使いこなせるようになれば、非常に高性能な製品ですが、やはり使われるお客様は限られてしまいます。 そこで今回、『In-Sight』と『VisionPro』の間を埋めるため、新たにビジョンコントローラ『VC5』を開発しました(写真1)。この製品は、当社の工業用カメラと3次元レーザ変位センサに直接接続することができ、最大4台のエリアスキャン、ラインスキャン、3次元変位センサの組み合わせが可能です。これにより、性能はハイエンドを目指し、なおかつ使いやすさにも配慮した新しい画像処理ソリューションを提供することができます。 新しい画像処理ソリューションを構成する 製品の特徴などについてお聞かせ下さい川田:今回開発したビジョンコントローラ『VC5』は、本体内に画像処理を行うためのCPUが内蔵されており、画像を入力するためのカメラは、当社の工業用カメラである『CICモデル』を採用しています(写真2)。また、今回の1つの特色となる3次元レーザ変位センサ『DS1000シリーズ』と直接接続することができるので、高さデータが取得可能です(写真3)。そのため、画像処理を行って高さ/体積/傾きなどを計測する用所 在 地:U R L:事業内容:東京都文京区http://www.cognex.co.jpコンピュータによる画像計測処理装置およびそれを組み込んだ各種外観検査機器、表面検査装置の輸入、販売、サービス、など。コグネックス株式会社コグネックス株式会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・途に活用することができます。従来、『VisionPro』を利用してこのような作業を行う場合は、お客様サイドでPCなどを調達し、組み立てからソフトウエアのインストール、プログラミングまでをすべて行う状況でした。 今回の新しい画像処理ソリューションでは、ハードウエアからすべて当社で用意し、統合されたハードウエアとソフトウエアも当社の方で動作確認を行っているので、ドライバの非互換性などの問題を回避して、開発時間とソースの複雑性を軽減することができます。 また今回の取り組みは、「開発の敷居を下げる」というコンセプトの基に行われており、『VC5』の中にプログラミング言語を使わずにアプリケーションが開発できる『Cognex Designer』という環境を用意しています。このソフトウエアは、『VC5』上で動作し、使いやすさを追求した統合開発環境です。『DS1000シリーズ』、『CICシリーズ』など高性能な画像製品と組み合わせることで、要求水準の高い3次元プロファイリングおよび高性能マルチカメラアプリケーションの開発を強力にサポートします。ドラッグ&ドロップ方式のグラフィカルインタフェースを採用しており、お客様は画像処理タスク、工業用プロトコル、実行時操作画面のデザインをより簡単に、より短時間で、効率よく作成することができます。高さ、体積、平面傾斜角度、断面を検査する3次元画像処理ツールや、『PatMax』、『IDMax』、『OCRMax』を含む豊富な『VisionPro』の2 次元ツールをグラフィカル操作およびプログラミングできるほか、当社の30年以上にわたる画像処理の経験をもとに、ユーザーアクセスレベル設定、リアルタイムアラーム、ローカライズ可能なインタフェース、SQLデータベースなど、使い勝手のよい豊富なシステム機能が装備されています(写真4)。 さらに、「開発の敷居を下げる」というコンセプトで進められていますが、あまり下げ過ぎてしまうのも逆にやりたいことができなくなるということになりかねないので、その辺のメリハリも取れるような仕組みになっています。『VC5』は、元々プログラミング言語の世界から流れてきた製品なので、この製品の中でプログラミング言語を使うこともできるようになっています。そのため、アプリケーションを組み立てる内の約8割は『Cognex Designer』を使用して開発期間を短縮し、残りの2 割は短縮した期間を利用して手の込んだことや特殊なことなどをプログラミング言語を使って行うことができるシステムになっています。 今回の『VC5』をベースとした画像処理ソリューションは、「開発期間を短縮したい」、「開発スピードを速めたい」といったニーズをもったユーザーに対して、提案していく製品になります。 今後の市場展開についてお聞かせ下さい川田:国内市場で現在進めているのは、自動車産業向けへの展開です。自動車市場が活況ということもありますが、国内に工場もありますし、それに付随するメーカーや協力会社も数多くあるので、この市場は大きなターゲットの1つになっています。 それから、エレクトロニクス産業向けへの展開も進めています。現在では、国内におけるFAラインは少なくなっていますが、装置メーカーはまだかなり国内に存在しており、装置自体は中国、韓国、台湾など海外に納入されていますが、この市場も大きなターゲットになっています。本日はお忙しい中ありがとうございました。高性能でハイエンドを目指すとともに使いやすさにも配慮した画像処理ソリューション写真2 工業用カメラ『CICモデル』写真1 ビジョンコントローラ『VC5』 写真3 3次元レーザ変位センサ『DS1000シリーズ』写真4 『Cognex Designer』の編集画面~高信頼性とハイパフォーマンスを実現するビジョンコントローラを開発~プロダクトマーケティング部 部長川田 正之 氏