ブックタイトルメカトロニクス9月号2015年
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メカトロニクス9月号2015年
MECHATRONICS 2015.9 43■各分野における環境問題 各分野における環境問題に関する昨年度の状況の報告と、新年度の施策については、従来の白書の形式を踏襲してまとめられている。 以下は、その項目である。・第1章 低炭素社会の構築・(地球温暖化問題の現状)注)注)以下の括弧内の項目は、昨年度の報告に含まれて、今年度の施策には含まれていないものである。・地球温暖化対策に係る国際的枠組みの下での取組・地球温暖化に関する国内対策・第2章 生物多様性の保全及び持続可能な利用~豊かな自然共生社会の実現に向けて~・(生物多様性の現状)・生物多様性を社会に浸透させる取組・地域における人と自然の関係を見直し、再構築する取組・森・里・川・海のつながりを確保する取組・地球規模の視野を持って行動する取組・科学的基盤を強化し、政策に結びつける取組・東日本大震災からの復興・再生に向けた自然共生社会づくりの取組・第3章 循環型社会の形成・(循環型社会の形成に向けて)・(廃棄物等の発生、循環的な利用及び処分の現状)・国内における取組・国際的取組の推進・東日本大震災への対応・第4章 大気環境、水環境、土壌環境等の保全・(大気環境、水環境、土壌環境等の現状)・大気環境の保全対策・地域の生活環境に係る問題への対策・水環境の保全対策・土壌環境の保全対策・地盤環境の保全対策・海洋環境の保全・東日本大震災に係る環境モニタリングの取組・放射性物質による汚染の除去等の取組・第5章 化学物質・(化学物質の環境中の残留実態の現状)・化学物質の環境リスク評価・化学物質の環境リスクの管理・小児環境保健への取組・化学物質に関するリスクコミュニケーション・国際的動向と日本の取組・国内における毒ガス弾等に係る対策・第6章 各種施策の基盤、各主体の参加及び国際協力に係る施策・政府の総合的な取組・経済・社会のグリーン化の推進・技術開発、調査研究、監視・観測等の充実等・国際的取組に係る施策・地域づくり・人づくりの推進・環境情報の整備と提供・広報の充実等・環境影響評価等・環境保健対策、公害紛争処理等及び環境犯罪対策・原子力利用における安全の確保(2015.7.14記)<参考資料>1)環境省編:「平成27年版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」日経印刷(株)(2015.6)http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/2)環境省:「(報道発表資料)平成27年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書について(お知らせ)」(2015年6月5日)3)環境省・地球環境パートナーシッププラザ:「平成27年度 白書を読む会」配布資料(2015年6月24日)■地方創生について 地域社会を形成することを目指す「地方創生」の推進のテーマの中でも、地域経済縮小の克服は、地方創生の中心施策の一つになっている。北村環境副大臣は、2015年4月9日に記者会見をおこなって、本件について以下のように説明している。 “(副大臣)平成27年度の新規事業であります、地方創生実現プラン事業のモデル地域の選定についてご報告をさせていただきたいと思います。地方創生については、望月大臣の指示のもと、3月12日に、私を本部長とする「環境省地方創生プロジェクトチーム」を立ち上げ、順次、個別プロジェクトについて発信してまいりました。4月2日には、「まち・ひと・しごと創生本部」において、地方創生に貢献する地域経済循環分析の全国展開について、望月大臣から発表したところでございます。 本日は次の一手として、公募の結果、17の地域をモデルとして選定し、今年度新規事業であります「低炭素・循環・自然共生地域創生実現プラン策定事業」を開始しましたので、お知らせします。今後、各モデル地域において、それぞれの実情に応じた「地方創生実現プラン」を、今年度中に策定します。これにより、地域の環境への取組を地方創生につなげるモデル的な道筋を示してまいります。本事業の総額は3.5億円です。モデル地域の選定に当たっての審査のポイントとしては、地域の将来像に向けた現実味のあるリーディング施策と、それを将来像の実現につなげる道筋に合理性・実現可能性があり、さらに定住促進、雇用創出、地域活性化の観点が盛り込まれていること、等を勘案して決定したものでございます。17地域の提案内容として、例えば11地域が木質バイオマスの取組を、8地域が廃棄物や下水処理のエネルギー利用を、4つの地域が省エネを、3地域が地熱・地中熱利用を掲げるなど、大変バラエティ豊かな取組となっています。 今後、これらのモデル地域において、環境への取組が地域課題の解決や地域の希望につながるプランが策定され、それが全国の自治体のヒントとなることを目指します。このため、環境省としては、これらの地域における取組のフォローをしっかりとやっていくこと、更に全国への情報発信をしっかり行っていきたいと思っております。また、これらのモデル地域のプラン策定を通じて、国としての支援策をとりまとめていきたいと考えているところでございます。”■環境とともに創る地域社会・地域経済 同白書第1部の最後は“むすび”として、“環境とともに創る地域社会・地域経済”の副題で、環境・経済・社会の3分野の白書における総合的施策等に関する報告を総括して以下のように結んでいる。 “本年の白書の第1部では、「環境とともに創る地域社会・地域経済」をテーマとして、地域における環境問題の解決が経済・社会的課題の解決にも資すること、そして、環境問題に関する取組を行う上で、その地域に本来備わっている地域資源を有効活用することが、経済・社会的課題の解決の処方箋ともなり得ることを明らかにしてきました。 改めて見ると、私たちの周りには、様々な地域資源に溢れていることに気付かされます。太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギー資源はもちろんですが、身の回りに当たり前にある木の葉、星の見える夜空、山林、その地域で当たり前に食べられている魚や野菜などの食材、近くの神社にある鎮守の森、あるいは地域の伝統行事やイベントなど、今回の白書で取り上げたものはその一例に過ぎません。 しかしながら、普段からその地域に住んでいる方々にとって、その存在はあまりに“当たり前過ぎる”存在であるため、見落としてしまいがちなことも事実です。そこで、こうした地域資源の存在を把握して有効活用していくための手法の一例として、今回、地域経済循環分析を紹介しました。しかし、地域資源の存在を把握して有効活用するための手法は、これに限られるものではありません。例えば、地域の実情を最もよく知る地域住民の方々の幅広い参加による話し合いの中から見えてくることもあるでしょうし、Iターン・Uターンにより地域に移り住んだ住民の、言わば外部の目を通じて地域資源に気付かされることもあるでしょう。そうした多様な主体が関わることで、地域資源を把握することができます。 特に、地方には、里地里山を始め多くの自然環境と豊富な自然の恵みが、すぐ手の届くところに残っています。こうした自然環境を地域資源として保全し、向上させるとともに、持続可能な形で活用することは、環境問題の解決につながるのみならず、地域の振興にもつながると考えられます。 今回の環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書が、身の回りの地域資源の存在の気付きのきっかけとなり、地域の活性化と持続可能な社会づくりにつながる一助となれば幸いです。”<図表2>「2015年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」のテーマとメッセージ2)