ブックタイトルメカトロニクス7月号2015年

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概要

メカトロニクス7月号2015年

 自動車業界の第一線で活躍する技術/研究者のための自動車技術専門展『人とくるまのテクノロジー展2015』(主催:(公社)自動車技術会)が、2015年5月20日(水)~22日(金)の3日間、パシフィコ横浜において開催された。 今開催では、主催者特別企画展示として、「多様化するエネルギーとくるま ~低炭素社会を拓くキーテクノロジー~」と題し、二酸化炭素の削減についての『産・官・学』の取り組みを紹介。また、最新技術搭載車の公道試乗体験や燃料電池を搭載したFCバスの試乗会なども催された。3日間の総来場者数は86,939名を集めた。■同時統合計測で走行性能を見る (株)エー・エンド・デイの展示ブースでは、『VMS-8 車載統合計測システム』を紹介していた。 同システムは、ECUデータ/曲がる/滑る/乗り心地/振動/位置/向きなど自動車走行試験のECU情報と車両挙動情報を同時統合計測するもので、計測ニーズに合わせられる自由度の高さも特徴となっている。ブース内では、実際の車両に、同システムを構成する装置群を装着。実走行時のホイールアライメント変化/操舵によるホイール姿勢/位置の変化などをリアルタイムに計測するとともに、後述の『WFS』と組み合わせることでサスペンションなどのダイナミック評価も可能な『AD7852A-01 WPS乗用車用ホイール姿勢センサ』、タイヤや車両のスリップ角(SA)、キャンバ角(CA)、ピッチ角(PA)、高さ方向の変化を測定する『AD7862A-01 LGSレーザー対置センサ』、路面にもっとも近いタイヤホイールに生じる力やトルクを発進(高負荷)から通常(低負荷)まで高精度に測定する『AD7811A-24K WFS乗用車用ホイール6分力計』を展示し、注目を集めていた。 ■高い耐摩耗性と長寿命を実現 住鉱潤滑剤(株)では、成形機金型のエジェクタピン、スライドコアなどの潤滑に適した、金型用グリース『MFG-15』を紹介していた。 同製品は、耐摩耗性にすぐれる長寿命のフッ素系グリースで、RoHS、ELV非該当、食品衛生法/食品、添加物などの規格基準に適合。温度変化の影響も受けにくく、低温から高温まで使用可能で、一般のグリースに比べ性状変化も少なく、低蒸発性のため、長期潤滑を可能にする。また、薬剤や溶剤などがかかる特殊環境下においても劣化せずに潤滑性を発揮する。プラスチックやゴムにへの影響も僅少なので、成形品不良の原因とならない他、熱に強く、250℃の高温まで使用可能な耐熱性を有している点も大きな特徴となっている。■無線帯域に2.4GHz帯を使用した 摩擦型トルクセンサ (株)東京測器研究所では、新製品である摩擦型トルクセンサ『FGDH-3A』を展示していた。 自動車のドライブシャフトに発生するトルクを測定し、ワイヤレスでデジタルデータを転送する同製品は、無線帯域として、世界各国で規格統一された2.4GHz帯を使用しているため、通信距離が長く、受信機を車内に設置することができる。また、摩擦型ゲージを使用しているため、接着作業が不要であり、センサの取り付けについては、ドライブシャフトを挟み込み、ねじで締結するだけと簡便。この他、スリープ機能の搭載、充電式の採用、応答周波数1kHz、キャリブレーション不要、など、いくつかの特徴を有している。ブース内では、併せて、適用シャフト径のバリエーションもいくつか参考出品しており、注目を集めていた。■50周年記念プロジェクトに関する展示 イグス(株)のブースでは、同社が、創業50周年、イグリデュール開発30周年の年である昨年2014年に、自社開発樹脂であるイグリデュールの滑り軸受の耐久性を証明する実地試験として、それを搭載した自動車を用いて実施した「世界一周」のツアーに関する、報告を兼ねた展示を行っていた。 このツアーは、同年2月のインドにおけるツアーを皮切りに、3 月に中国、5 月に台湾、6 月に日本、8~9月にアメリカ、2月にスロバキアなどを走り、本年4月にドイツでゴールを果たしたもので、435日、32か国、100,240kmを走破した。ブース内では、完走を果たした実車両を分解して、各パーツを展示。試験済み:無潤滑ポリマ製イグリデュールについても多くの来場者が手に取り、説明に耳を傾けていた。■研究開発向けの 実験プラットフォーム車両 (株)ZMPでは、市販ハイブリッドミニバンをベースにした『RoboCar MiniVan』を展示していた。 同車両は、車載ネットワークCAN(Control AreaNetwork)を介して、車載情報を取得でき、かつ、同社独自のコントローラとPCによって、走る、曲がる、止まるといった走行制御が可能な研究開発向けの実験プラットフォーム車両。ミニバンをベース車両とすることで、高齢者の移動手段や、自動運転車による次世代交通システムなど、より実践的な実験で活用することができる。ブース内にはカメラ4台を車両の前後左右に搭載した実車が置かれ、Deep Learning(深層学習)による歩行者認識のデモを実施。また、ソニー製の高感度CMOSイメージセンサを採用したADAS/自動運転技術開発向けステレオビジョンシステムなどの機能についても個別に紹介していた。 同展示会の次回開催は、2016年5月25日(水)~27日(金)の3日間、パシフィコ横浜で行われる予定となっている。2015年5月20日(水)~22日(金)パシフィコ横浜(公社)自動車技術会 ■ 会 期■ 会 場■ 主 催人とくるまのテクノロジー展 2015MECHATRONICS 2015.7 49実車に装着された、『VMS-8 車載統合計測システム』摩擦型トルクセンサ『FGDH-3A』『RoboCar MiniVan』に関する展示金型用グリース『MFG-15』ツアーを終えた実車両の各パーツを展示