ブックタイトルメカトロニクス6月号2015年

ページ
44/52

このページは メカトロニクス6月号2015年 の電子ブックに掲載されている44ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

メカトロニクス6月号2015年

44 MECHATRONICS 2015.6図2-254 分割板を用いた照明方式(その1) 2-144)図2-252 照明方式の性能比較 2-143) 図2-253 画面分割調光の省電力効果 2-143)《第74回》2 設計から始めよう(その72)6.直下型 ( ダイレクト) 照明装置(5)分割導光板による直下照明方式 小型画面の表示装置には導光板を用いた側方照明方式(エッジライト方式)が妥当であるが、40型以上の大画面になると画面全体に光度が行渡りにくく輝度むらが避けられないとされ、発光素子に拡散レンズを被覆した直下照明方式(ダイレクトライト方式)が適用されるようになった。しかし、側方照明方式のバックライトが厚さ10mmに収まる薄さに比較して、直下照明方式を用いたバックライトは30mm以上、中には50mmの厚さのものまである。ブラウン管(CRT)装置から液晶表示装置(LCD)へと折角に軽量化された技術革新に呼応するには、直下照明方式であってもバックライトをさらに薄型化したい。このような要望から液晶表示画面を縦横に細分割して、それぞれの区域に小寸法の導光板をタイル張りのように敷設したバックライト構造が、2000年頃から現れ始めた。バックライトの厚さは10mm以下となった。この分割板形式を“スリムブロック”とか “タンデム型”あるいは“モジュラ型”などと開発者側では称している。 画面を細分割したモジュラには、単数ないし複数の発光素子が配備され、小型化した導光板で構成されている。こうして小型化された導光板は個数が増え、その各モジュールに映像信号をそれぞれ独立に供給するため回路が複雑になる理由で、レンズを用いた直下照明方式よりも構成部品原価は増加してしまう。それならばいっそのこと、複数に分割したブロックに映像信号に適応した駆動電力を発光素子ごとに与えてやれば、格好のエリア調光制御が可能になろう。やがて大画面で高品質を目的にした表示装置には、分割導光板方式が商品化されてきた。 分割導光板方式は、導光板を用いた側方照明方式とレンズを用いた直下照明方式との折衷手段であるように感じられる。しかし、薄型化の特徴のほかに発光ダイオードを用いていれば、蛍光管を用いたときよりも公害抑制(水銀非使用)効果があり、LED照明の特徴を発揮して色度再現性が良く、応答時間が機敏となる。この性質からローカルディミング(領域別調光制御)には最適な手段となった。画面のコントラストは、部分調光制御で向上すると同時に、派生的効果として消費電力が節約できる(図2-252)。分割導光板方式は、側方照明方式と直下照明方式とを単純に折衷したものではなく、両者の特徴を融合した方式に成長した。 画面を細小に分割してゆくと、画像のコントラストが次第に向上する。消費電力も節約される。これらの効用は、分割数の対数関数の関係にあるらしい(図2-253)。しかし、その効果は画面の分割数に応じて鈍ってくるし、なによりも増加する構成部品の費用に限りがある。画面を数十区域ほどに分割すれば、一応の効果は得られるようだ。画像品質を考慮してさらに細分化している高付加価値の商品もある。 分割導光板方式が商品要望される最近の機運になり新規な技術と認識されて、2000年頃から特許出願が為されるようになったが、意外にもその15年前に先行特許文献が存在し、出願の意図が果たされ難くなっている(図2‐254)。部材を実装するに当たり、開発技術者は想定外の苦労にあうのであろう。製造作業の体験に基づく特許出願が続いている。導光板の重塁方法や画面分割の境界での輝度むら解消など、いろいろ知恵の絞りには限りがない。【参考文献】2-143)馬場雅浩・他「液晶ディスプレイの高コントラスト化を実現するLEDバックライト制御技術」東芝レビューVol.64,No.6(2009)久保田秀直・他「省エネルギー・高画質をリードするLEDバックライト液晶テレビ」日立評論2010.10増田岳志・他「大画面液晶テレビ用超薄型タンデムLEDバックライト」映像メディア学会誌Vol.64,No.10(2010)鵜飼育弘「フラットパネルディスプレイ概論(7)」THE CHEMICAL TIMES(2012 N0.1)2-144) 特許電子図書館(IPDL)3 製造を見てみよう(その1)