ブックタイトルメカトロニクス6月号2015年

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概要

メカトロニクス6月号2015年

12 MECHATRONICS 2015.6 御社の概要についてお聞かせ下さい須原:当社は工作機械メーカーとして、1959 年4月に名古屋市中川区において設立しました。設立当初は、工作機械の中でも単能機と呼ばれる油圧でスライドを動かす自動旋盤からスタートしています。そしてこの製品が、自動車向けのベアリングやトランスミッションのギアを削る機械として非常に好評を頂き、業績を伸ばすきっかけとなっていきました。1961 年3月には、現在の所在地である愛知県知立市に工場を新設し、同年6月に本社機構も移転しました。 その後、オイルショックの影響で国内の経済状況が悪化し、当社も1つの事業だけでは今後厳しい状況になると考え、工作機械で培ったノウハウや製品開発の豊かなアイデアを活かし、自動組立機という新たな分野にチャレンジしていきました。しかし、一品一様の自動組立機を100機種ほどつくりましたが、なかなか採算の合うような状況ではありませんでした。ただ、100 機種の中の1 機種が新たなきっかけとなっていきました。それは、大手電機メーカーから受注した自動装入機で、小型民生品の基板に電子部品を高密度に360 度どの角度からも装入できることなど、非常に難しい受注条件ではありましたが、何とかやり遂げることができ、大手電機メーカーからも好評を頂きました。当初は4 台の受注でしたが、最初に2 台を納入した所、予想以上の生産性の良さに残りの2台がキャンセルになるという事態になりました。そのため、残りの2 台を大手電機メーカーの了解を得て他社に納入した所、そちらでも好評だったので、この自動装入機を標準機として電子の市場に参入していくことになりました。 また、取り引きのあった電子部品メーカーからは、「これからの電子部品はチップに変っていく」といった助言を頂いたこともあり、自動装入機だけでなく、チップマウンタの開発にも力を入れていきました。当時は、チップ自体も出始めの頃で、使われる機械も世にそれほど出てきておらず、他のマウンタメーカーもスタートはほぼ同時期だったと思います。そのため、販売競争は非常に厳しい状況でしたが、当社はもともと独自のスタイルで製造していく考えだったので、例えばチップ部品の装着スピードが0.25秒という当時では圧倒的な高速を実現するなど、他社との差別化を図っていきました。 その後、チップ部品だけでなく、表面部品には異形部品といわれる色々な部品が世に出始め、今までのようなメカニカルに部品を掴むだけでは、なかなか対応することが困難になってきました。そこで、当社はいち早 工作機械メーカーとしてスタートし、今やマウンタメーカーとしても業界をリードする富士機械製造株式会社。工作機械で培われたサーボ技術や画像処理技術を活かし、モジュール化や自動化に向けた要素技術/製品開発を行う同社の概要や事業展開、製品などについて、取締役 常務執行役員 ハイテック事業本部本部長 須原 信介 氏にお話を伺った。富士機械製造株式会社取締役 常務執行役員ハイテック事業本部本部長須原 信介 氏汎用性、生産性を向上させるモジュール化や自動化への取り組み~工作機械で培われたノウハウによる技術/製品開発~く、画像処理で部品の位置決めを行うタイプのマウンタを開発しました。この製品は、高速性と汎用性を兼ね備えたタイプのマウンタで、国内だけでなく海外でも受け入れられていき、現在におけるマウンタ事業の礎を築く結果に繋がっています。さらに、マウンタのシェアも多い時には40%近くまで占めた時もありました。ただ、やはり他社との競合の中で、その後もスピード競争が激しくなっていきました。当社も、それまで以上の1 点当たり0.1 秒を初めて切る0.09 秒を実現した製品を開発し、競争から1 歩抜け出すことに成功しました。 これが1993 年頃のことで、それ以降ITバブルが崩壊するまでこの製品を軸に事業展開を進めていきました。そして2000 年頃には、欧米を中心とした生産拠点から中国へとシフトし、生産もEMSで行われるようになりました。EMSは、非常に色々な製品を実装するため、機械もそれに対応するために、今まで以上の柔軟性が求められました。そういう状況下で、競合他社はモジュールタイプのマウンタを世に出してきました。当社は、それまでのタレット型高速タイプのマウンタが好調だったこともあり、モジュールタイプのマウンタには少し出遅れた所がありました。市場の流れが一気に変わったこともあり、そこで当社もモジュールタイプの開発に力を入れていくことになりました。 しかし、後発で世に出ているものと同じような製品をつくってもあまり意味がないので、他社にないようなモジュールというコンセプトを突き詰めた製品の開発を行いました。それが、2003 年に発売したモジュラマウンタ『NXTシリーズ』です。このシリーズは、製品自体が非常に小さく、各ユニットがそれぞれモジュール構成になっており、簡単に脱着ができてしかも交換が行えるという、モジュール本来の特性を活かした製品になっています。発売した当時は、今までの装置とあまりにも異なる製品だったので、普及させるのに少し時間は掛かりましたが、2、3 年後にはシェアも回復していき、当社のベストセラー機になっていきました。そして、5年位毎にマイナーチェンジを重ねており、現在の最新機種ではより機能もアップし、装着精度も向上させて、なおかつスピードも上がっています。 このように当社は、設立当初からの工作機械と、その後新たに始めた電子部品組立機の2つの分野を柱に、現在事業展開しています。 御社の技術開発について お聞かせ下さい須原:当社の技術は、工作機械で培ったノウハウがコア技術になっており、そのコア技術をどのように活用していけるかということを常に考えながら、新たなコア技術の開発に取り組んでいます。例えば、マウンタに使用されているリニアモータやカメラなども、当社のコアとなるサーボ技術や画像処理技術により開発したものを使用しており、ソフトウエアについても自社で開発しています。 当社には、このようなコア技術を開発する開発センターを本社内に設置しており、将来的な技術を含めた要素技術の開発を行っています。この開発センターには、エンジニアを含めた50 名ほどのスタップがおり、自社製品向けの開発は勿論ですが、その開発したリニアモータやカメラなどを一部外販する場合もありま写真1 モジュラマウンタ『NXTⅢ』写真2 『NXTⅢ』に採用されている新型高速ヘッド