ブックタイトルメカトロニクス2月号2015年
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メカトロニクス2月号2015年
44 MECHATRONICS 2015.2図2-242 領域調光方式でのバックライト分割領域の輝度分布図2-241 部分領域調光方式《第70回》2 設計から始めよう(その68)6.直下型 ( ダイレクト) 照明装置(4)画面輝度制御(その2) 液晶表示装置の画質は視認性から判断して、視野角、応答速度、色域や階調性、さらに輝度やコントラストに依存する。ここで輝度に関して、TCO’03(環境・人間工学・安全性の国際規格)は150cd/m2を要求している。ISO13406(人間工学規格)では35cd/m2以上を規定していて、日本工業規格JIS Z8528-1はこれに対応している。またsRGB(色空間の国際標準)規格でもCRTの輝度は80cd/m2としている。使い勝手として一般には250~300cd/m2あればよいとされる。この要求に対して、ブラウン管CRT画面の輝度は100~120cd/m2であり、現在で汎用されている液晶LCD画面は250~500cd/m2位である。 一方、ブラウン管表示装置CRTは自発光画像表示方式で、電子銃からの陰極線が偏向コイルで縦横に偏角されて無機蛍光板を直接照射しており、瞬時に照射された画面のコントラストは10,000~20,000:1と高い。対して、液晶表示装置TFT-LCDは非発光型画像表示であり、バックライトの光線が液晶板や偏光シートを透過してカラーフィルタを常時に照射しているので、輝度は低く300~500:1程度といわれている。 このコントラストの低さを改善する手段には、液晶板の材料構造をIPS 構造からTN 構造へ、そしてVA 構造へと変更する方法や、カラーフィルタの顔料の粒度を小さくする手段もある。さらに局所調光方法:ディミング法がある。ここで部分減光diminish とは、画像信号の強弱に応じて画面を区画分割した画面の輝度や液晶板の開口率を即時に調整する手段であり(図2‐241)、“減少する”、“薄暗い”、“ぼんやり”の意を表す用語でもある。液晶バックライトの照射強度はパルス幅変調(PWM)信号(Pulse Width Modulated Signal)により操作されるので、画面の明暗の制御はデューティサイクル( パルス波の比) を変化させてゆけばよい。 画面を局所分割する形式には、0D(零次元:全面)制御、1D(一次元:線状) 制御、2D(二次元:面状) 制御がある。これに色度の制御を加味したものが3D(三次元)制御である(図2-241)。画面の明るさはバックライトの照度と液晶板の透過率との相乗積であるから、バックライトの発光素子の照度を制御しても画面の明暗を操作できる。ここでバックライトの発光素子が常時に発光していて液晶板の透過率だけを操作して画面の明暗を制御しているならば、画面の輝度比は液晶板による光線の開閉機能だけに依存するので、十分に納得するコントラストが得られない。画面の明部を演出する個所ではバックライトを完全に発光し液晶板の透過率を開放し、そして暗部を表現するときにはバックライトの照度を完全に落とせば、極めて鮮明な階調を演出できる。これが調光制御技術で、コントラストは500,000:1ないし1,000,000:1に達するという。 画面が表現すべき輝度の明暗に対応してバックライト発光素子の照度を落とすので、派生的効果として消費電力の削減に効果がある。液晶表示装置ではバックライトの消費電力が装置全体の30~70%を占めるので、節電率は30~50%で少なくない。 個々の発光素子を順次に調光制御するのは制御回路が非常に複雑になるし、またそれほど細分割する必要性がないので、画面を分割した領域を制御単位として複数の発光素子を纏めて一括で制御する。 明部と暗部との分割領域が隣接している個所では、明部から黒表示暗部のほうへ“光漏れ”があり、暗部の黒色を明瞭に表現できないで“黒浮き”が発生する。明部から暗部への移行を穏やかに緩和させるために制御回路に補正信号を与えている(図2‐242)。 液晶表示装置に関して色むら、輝度むらなど回避すべき課題は未だに残っている。次回に論及してゆきたい。取り敢えずデミングに関する種々の技術を参照されたし(図2‐243)。2‐139)特許電子図書館(IPDL)2 設計からはじめよう(その69)