ブックタイトルメカトロニクス11月号2014年

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概要

メカトロニクス11月号2014年

62 MECHATRONICS 2014.11図2-230 1次元(線形)配置での照度分布《第67回》2 設計から始めよう(その65)6.直下型 ( ダイレクト) 照明装置(3)直射レンズによる直下型照明方式(つづき) 発光素子にレンズを被覆して所望の照度分布を獲得する手段は、今まで論じてきたように容易ではなかった。当初は結像光学系で用いられている凸レンズや凹レンズなど様々なレンズ形式を活用して取りあえず満足していた。またあるときには、衒学的な思考を巡らして「非球面レンズを使用すれさえすればよいのだ」と、推論に挑む事例もあった。さらに、照明光学ソフトウエアに強い期待を賭けて一時の安堵を浸ることもあった。文献に紹介されているこれらの技術に私は納得できないでいるように、未だ発展途上にあるようだ。そしてその道の先にある“どのような照度分布が望ましいのか”まで見通されていないのが、残念な現状だ。 このように「どう生きるか」の問いも大切だがその先の「なぜ生きるのか」との答えを求めてゆくのは、さらに大切であろう( 親鸞聖人の説教)。このような探求の道すがら、様々な条件における照度分布の変化を探ってみるのだった。 前回では、レンズ単体の照度分布を検証する0 次元配置の場合を取り上げた。最も簡単な配置ではあるが、発光素子の光度指向性から照射面への照度分布の求め方を論じてあるので、執拗に計算してゆくと自ずから回答が得られる。 さて、前回に続いて発光素子/レンズ組品の配置による照度の違いを説いてゆこう。発光素子とレンズとを組み合わせた発光組品の複数個を横直線並列にする状態を1 次元配置とする。そして発光組品をバックライト基板上で縦横に配置した場合が2 次元配置となる。さらにレンズ基板から上方へ拡散板まで間隔距離を考慮したとき3 次元配置となろう。また時間の要因を加味した、例えば発光素子の輝度を画像表示信号に対応して変化させるデミング方式は画像のコントラストを高める制御方式であって、4 次元配置と呼ぶことになろう。 これら種々の配置形式における照度分布は、微妙に異なってくる。これは、詳細に計算を進めているうちに初めて体験された現象だ。とくに1 次元配置での照度分布をそのまま縦横に展開すれば2 次元配置での照度分布が得られるはずだと、すっかり安心したところに落とし穴があった。一列に並んだときの照度分布は複数列になると、隣接する照度が合成されて分布の広がりが変化してくるのであった。 まず、発光素子/レンズ組品を等間隔に並列させ、照度分布を半値半幅HWHM の数式で代表させる。配置間隔に数式の半値全幅2σを合わせ、指数n を1 から5 程度まで変えてみた。それらの数値を合成すると、種々に粗密の異なった波形が得られる(図2-230)。その波形曲線の分散:σ2=Σ ( xκ-x ave)2 / N を算出してみると、面白いことに、指数n = 3.3 において最も小さな分散の数値になっている(図2-231)。指数n = 3.3 よりも小さい場合でも大きい場合でも波形曲線の波高は増加する。つまり、発光素子/レンズの組品を線形に並列配置させて、最も均等な照度分布を得るには、半値全幅2 σを間隔距離に合わせ、指数n = 3.3 付近に限定した数式を照度分布に与えればよい。レンズの平面形状を円形ではなく楕円または方形に形成すると、並列に直角方向の照度分布を任意に変化できる。 照度分布の状態を直感できるように、平面図(図2-232)や立体図(図2-233)で表現してみるのも面白い。この立体図または平面図に表現するには、半値半幅HWHM の数式(既出図2-228) における偏りμに各々の座標の数値を代入すると描画できる。 市井製品の現状に引き戻って見ると、品質改良に懸命な努力をしているのであろうが、レンズの拡散半角は40°かまたはせいぜい広くても50°位で狭い。照度の均等化を図るために施せる手段は、発光素子から拡散板までの照射距離を30 mm以上に拡張するより仕方ないらしい。レンズは小さなプラスチック部品であるが、具備すべき技術は姫たる彼方に未だ存在するのだった。2 設計からはじめよう(その66)