ブックタイトルメカトロニクス11月号2014年

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概要

メカトロニクス11月号2014年

MECHATRONICS 2014.11 13所 在 地:U R L:事業内容:東京都八王子市http://www.keysight.co.jp電子機器の設計/開発/製造/設置/敷設、運用向けの電子計測器、電子計測システム、関連ソフトウエア、設計支援ソフトウエア、サービス。キーサイト・テクノロジー合同会社・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・に関しても、エレクトロニクスや産業機器など幅広い分野で使って頂けるように、低価格で優れた性能をもつ製品をどんどん発売している状況です。 そういった流れの中で、今回まったく新しい切り口となる“TrueIRシリーズ” 赤外線サーモグラフィ『U5855A』という製品を発売しました(写真1)。製品の特徴としては、①ファインレゾリューション機能により、160×120ピクセルのディテクタ素子クラスの機種と同じ価格で、4倍の320×240ピクセル相当を実現、②近傍10cmからフォーカスし詳細スポットを確認可能、③長時間の使用にやさしい軽量746g、最適重心設計で疲れにくい、④本体にて温度イメージを一定間隔でロギング可能など、よりパワフルな解析を実現、といった内容が挙げられます。 この製品の位置づけとしては、2006 年に参入したハンドヘルドタイプの製品になっています。有機ELを使った見やすいディスプレイのマルチメータや、Bluetooth のアダプタを使ってリモートでモニタを表示させるものなど、少し変ったユニークな製品群を取り揃えて他社との差別化を図っています。 ハンドヘルドシリーズは、メンテナンスなど現場での測定に使われるため、非常に頑丈につくられています(写真2)。今回、メンテナンス作業者など現場で作業される方々のために、シリーズの幅を広げる目的でこの赤外線サーモグラフィを発売しました。当社従来製品とのコンビネーションで提供することで価値を高めていき、メンテナンス市場以外のお客様に対しても、価値を高められるような取り組みを考えています。徳田:私の方からは、今後強化を図っていくモジュール型計測器に関して説明させて頂きます。モジュール型計測器は、メインのシャーシがあってその中に差し込んで計測器を構成していくといった、普通の計測器とはちょっと毛色が違った製品になります。 当社は、この分野に参入して4年程経っており、ラインアップも色々と取り揃えていますが、今回は、タワー型PC の中に差し込むタイプのデジタイザという製品の中から2 機種について紹介させて頂きます。デジタイザは、アナログのデータをデジタルに変換して後処理を行うためのA /Dコンバータのようなボードになります。競合他社からも、色々なスペックの製品が発売されていますが、当社では比較的高速な製品を得意としています。 その中でまず紹介させて頂くのは、8ビットPCI 高速デジタイザ『U1071A』になります(写真3)。この製品は、レーザスキャニングなど、回転体装置の精度評価に適しており、従来抱えている回転精度評価システムの問題点を解消します。例えば、従来はレーザプリンタなどに搭載されているポリゴンミラーの回転むら、短周期ジッタ、長周期ジッタをカウンタなどで別々に測定し、出力信号波形はオシロスコープで観測していましたが、『U1071A』を使うことにより、簡単で時間も掛からず高精度な評価が行うことができます。展開できるアプリケーションや市場としては、回転体装置のタイミング検査、半導体の入出力信号の波形とタイミングの同時測定などが挙げられます。 そして、次に紹介させて頂くのは、12ビットPCIe 高速デジタイザ『U5303A』になります(写真4)。この製品の応用例としては、OCT(Optical CoherenceTomography:光干渉断層法)断層解析装置があります。OCTは、3次元の画像を見るための手法で、イメージとしては医療分野で使われる超音波エコーのもっと解像度が高いものになります。高い空間分解能での形状解析のため、特に医療診断で多く使われていますが、MEMSと組み合わせた微小物質の形状解析へ応用範囲を拡大しています。また3次元解析の必要性から、高速イメージ取得の可能な波長掃引型OCTが断層解析装置の主流となり、データ量も多く、高速化/高分解能/高浸達度へのニーズがあるため、12ビットの『U5303A』を提案しています。 この製品の大きな特徴としては、ユーザ定義可能なFPGAを搭載していることです。通常、デジタイジングの処理を行ってその後PC 内のCPUで平均化の処理などを行いますが、この場合、データをPC 内に一旦入れて処理を行うため時間が少し掛かっていました。そのため、デジタイザ内にFPGAを搭載することで、デジタイザ内ですべての処理を行ってからPC 内に取り込むことにより、処理時間の削減が図れることができます。 現在、モジュール型計測器の市場はボックス型計測器と比べても伸びており、またお客様に関しても用途に応じてモジュール型とボックス型を選択できるといった色々なニーズに対応するため、当社としては後発となるモジュール型計測器の強化を図っています。 今後の展開についてお聞かせ下さい梅島:電子計測の市場は、ワールドワイドで120 億ドルの市場があるといわれており、その中で当社は29 億ドルの売上高ということで、まだまだ市場シェアを伸ばしていかなくてはなりません。それには、先程ご紹介したサーモグラフィといった新しい市場への事業展開は必要不可欠であり、これからも継続して行っていきます。 また、これまで投資できなかった所に投資を行うことで、事業の強化を図っていきます。その流れの1 つが、今年5 月に発表させて頂いた10ビットADC(A/Dコンバータ)を搭載した高性能ポータブルオシロスコープ『Infi niium(インフィニウム)Sシリーズ』です(写真5)。 この製品は、新しいA/DコンバータのLSIを社内で開発しており、こういった新しいデバイス開発を行っていかないと、今後新しい計測器を強化していくことは難しいと思います。いわゆるディスクリート部品を色々買ってきて寄せ集めでつくると、物凄く巨大なものになってしまったり、あるいはエコロジーの面でも非常に消費電力が大きくなってしまったりするという弊害が発生する恐れがあります。やはり、新しい時代に即した新しいコアとなるLSIをどんどん自社で開発し、それを心臓部として計測器に搭載して今まで以上の性能を実現する計測器を提供することが、まず我々のコア事業になると思います。 それから日本においては、いわゆる産業構造というものが最近少しずつ変化しているように見受けられるので、グローバルとは少し違う舵取りをしていかなくてはいけないと感じています。グローバルでは、通信関連の市場が産業の中心になっていますが、日本ではライフサイエンス、バイオ、新エネルギー関連などが中心となり、旧来はグローバルと同様に注目されていた通信関連の市場は、主だって前面に出てこなくなってきています。グローバルでは、通信/航空・宇宙・防衛/産業・コンピュータ・半導体関連の市場が柱となりますが、日本では自動車/医療/ヘルスケア/ロボット関連など日本が強みをもっている市場に対して、当社が電子計測でどういう価値を届けられるかということを、日本市場の戦略として付加していかなくてはならないと考えています。 そのため、日本国内においては、グローバル路線に日本独自の路線を加えた事業戦略を進めていくつもりでいます。本日はお忙しい中ありがとうございました。写真5 高性能ポータブルオシロスコープ『Infi niium(インフィニウム)Sシリーズ』写真3 8ビットPCI高速デジタイザ『U1071A』写真2 赤外線サーモグラフィの使用例配膳版の緩みや劣化によるホットスポットプラント内のモータの状態チェック写真4 12ビットPCIe高速デジタイザ『U5303A』