ブックタイトルメカトロニクス10月号2014年

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概要

メカトロニクス10月号2014年

10 MECHATRONICS 2014.10 御社の概要についてお聞かせ下さい増本:当社は1970年1月に、当時は珍しい技術とされていた300MHz~30GHzまでのマイクロ波と呼ばれる周波数帯の技術を基に、無線通信機器分野におけるデバイス製品の開発/製造/販売を目的として設立した会社です。主な取引先としては、NTT(当時の社名は日本電信電話公社)が中心で、同社向け高周波部品の開発に着手し、製品化を進めました。 1971 年に、同軸/導波管の減衰器(アッテネータ)、終端器(ダミー)の製品開発を行い、量産販売を開始しました。次いで、高電力(500W 級)の減衰器と終端器を開発し、2~500Wまでの減衰器/終端器をラインアップしていきました。この2~500Wまでの減衰器/終端器は、現在も当社の主力製品として国内の無線通信分野で使用されています。 1974 年には、NTT の研究機関であるNTT 通信研究所と光コネクタ(幹線用超高性能型)の共同開発を開始しました。そして1982年には、コネクタメーカーと共同で、安価で高性能な量産用高周波同軸コネクタを開発し、これを当社の減衰器/終端器に使用して、安価で高性能な減衰器/終端器の量産販売を開始し、現在も同じスタイルで販売を行っています。その後、高周波用マイクロ波デバイスとして、アイソレータ/サーキュレータ、分配器、検波器、インピーダンス変換器、方向性結合器、フィルタ、セミリジッド/ケーブル、各種導波管製品を製品化し、ほとんどのマイクロ波用デバイスをお客様に提供できるようになり、当社の製品カタログも初めて作成するなど、マイクロ波用デバイスの専業メーカーとして今日に至っています。 近年の動きとしては、LTE(Long Term Evolution) 創業当初から蓄積してきたマイクロ波技術を基に、各種無線通信機器用デバイス分野で事業展開している株式会社サンケン。NTT向け高周波部品の開発をきっかけに、携帯電話用基地局で使用されるアイソレータ/サーキュレータ、同軸固定減衰器/終端器、分配器など、主力製品を標準化していく同社の概要と製品の特徴などについて、取締役 製造部長 呉 玉心氏、取締役 営業/企画部長 増本 雄志 氏のお二人にお話を伺った。株式会社 サンケン取締役 製造部長呉 玉心 氏取締役 営業/企画部長増本 雄志 氏マイクロ波技術をコアにした無線通信機器用デバイス~企画/開発/製造/販売まで一貫したトータルサポートを推進~やWiMAX(Worldwide Interoperability forMicrowave Access)などの無線通信の伝搬路試験で使用される『プログラマブル減衰装置』(写真1)を製品化し、業界新聞でも製品記事が掲載されるなど注目されました。同製品は、USBインタフェースによる遠隔操作で、一度に8 系統の試験ができるといった特徴をもっています。主な仕様としては、周波数帯域:800MHz / 2GHz / 2.5GHz など、可変ステップ:1dB、定在波比:1.5 以下、などが挙げられます。 また、NTTからの製品化依頼を受け、75Ω系機器用の『スプリアス測定セット』(写真2)を開発し、量産販売を開始しました。同製品は、測定機器が75Ω系である場合の疑似負荷として使用できる測定セットです。同軸固定減衰器(100W、40dB、75Ω)、同軸固定減衰器(2W、10 / 20 / 30dB、50Ω)、インピーダンス変換器、接続コード、キャリングケースで構成されています。 さらに全国の空港では、スプリアスの測定用として200W用と300W用の大電力減衰器(50Ω系)が多数採用されるようになりました。一昨年からは、LTE基地局や地下鉄の携帯電話用基地局、トンネル内基地局で使用される800MHz 帯用アイソレータが大手携帯電話会社の基地局で採用され、量産を行っています。今後は、700MHz 帯と2GHz 帯での使用も予定されている状況です。 そして、2008 年には新しくホームページを開設し、当社の全製品を紹介するようにいたしました。ホームページには、新製品を出した際、また新規市場で製品が使用され始めた際などにはトピックス記事を掲載し、広く製品の紹介/PR活動を行っています。製品を見て頂いた沢山の新規のお客様から引き合いを頂くなど、新たなユーザー開拓を進めながら事業展開を行っています。 御社の技術と注力される製品について お聞かせ下さい呉:当社ではマイクロ波の技術を基に、無線通信機器向け各種デバイス製品を企画/開発から手掛け、製造、販売まで一貫して行っています。近年において注力している製品としては、LTEや次世代方式のLTE-写真1 プログラマブル減衰装置写真3 アイソレータ『I216』図1 アイソレータ/サーキュレータのラインアップ写真2 スプリアス測定セット