ブックタイトルメカトロニクス9月号2014年

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概要

メカトロニクス9月号2014年

MECHATRONICS 2014.9 43東京オリンピックとグリーン経済我が国における火力発電の環境負荷低減に向けた動き環境負荷の少ない新素材通商分野における環境の動き横浜市水道局の水インフラシステム輸出の取組石炭火力発電における水銀除去技術金融機関におけるバリューチェーン全体の 温室効果ガス排出量算定の動き地域金融機関と連携した環境格付融資の取組クラウドファンディングを用いた投資地域低炭素投資促進ファンドにおける出資事例海外における省エネルギー・ファイナンスの取組自然資本評価型環境格付融資PUMA 環境損益計算書ウォーター・ニュートラル(Water Neutral)■むすび:我が国が歩むグリーン経済の道 第1部の最後は“むすび”として、“我が国が歩むグリーン経済の道”の副題で、グリーン経済を中心のテーマとした3分野の白書における総合的施策等に関する報告を総括して以下のように結んでいる。 “環境問題はかつては「外部不経済」注2)という言葉とともに市場がうまく機能しない例として語られ、そのために規制が必要と考えられてきました。近年ではそのような側面だけではなく、産業界から技術的可能性を聞き取った上で将来の環境技術開発の実現性を見据えて適切かつ明確な目標を設定することにより、技術の進歩を促すことが可能になるという面にも着目されています。注2)外部不経済:ある企業や消費者の経済活動が、市場取引によらずに第三者に不利益・損害を与えること1)。 また、自然環境を経済活動も含めた人間生活への便益の供給源のストックとして捉え、自然資本という概念を用いて企業会計や国家勘定に組み入れていこうという動きもあります。先の公害のような悲惨な事態を二度と起こさないよう、我が国では環境負荷を低減させたり環境を再生させる新たな技術が開発されてきましたが、それによって関連する産業が発展してきたという面もあります。 さらには、自然環境を保全し、それを観光や生産活動の場として持続的に利用することで、地域経済の基盤となっている地域もあります。そのような技術や産業が社会に普及していけば、環境負荷も低減し、自然と共生する地域経済を支えることにより、経済成長も実現できることになります。 このような状態を本年の白書では「グリーン経済」としました。経済活動なくして我が国の社会は成り立ちませんが、環境があってこその経済であり、社会であるはずです。それは、これまでは「過去に経験したことのないこと」かもしれません。しかしそれは、人類が目指すべき状態として今まさに我が国が歩み始めなければならないのではないでしょうか。”(2014.7.21記)<参考資料>1)環境省編:「平成26年版 環境白書・循環型社会 白書・生物多様性白書」日経印刷㈱(2014.6)http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/2)環境省:「(報道発表)平成26年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書について(お知らせ)~平成26年度環境白書のテーマとメッセージ」(2014年6月6日)3)境省自然環境局:「 地球規模生物多様性概況第3版 = 生物多様性条約2010年目標達成の評価 =」(2010年5月)いくことが必要であり、そのための環境教育を引き続き推進していく必要があります。我が国はそれぞれの分野について、主導的な役割を担っていく必要があります。(中略) 現在、我が国では最近の景気回復に向けた動きを持続的な経済成長につなげていくことが最大の政策課題の一つですが、同時に、先に述べてきたような様々な環境問題への対応も喫緊の課題となっています。これらの課題を解決するためには、環境問題への対応と経済成長を両立する必要があり、持続可能な環境と経済を目指す「グリーン経済」を実現していくことが重要です。 我が国では、過去の悲惨な公害や自然環境破壊をはじめとして多くの環境問題に対応してきた経験から、各種の環境規制を実施してきましたが、同時に先進的な環境技術を開発し、事業化して環境負荷の低減に資するような製品・サービスの提供を行ってきました。特に、地球温暖化防止をはじめとする分野では、持続可能な社会を構築するために多くの投資が必要とされていますが、これらの分野は経済波及効果の面で優れたものもあり、成長が期待されるものでもあります。 今後とも技術開発とその事業化による普及を加速していくためには、環境負荷の低減に資するような事業や、自然環境の持続的利用に資するような事業に対して、民間の資金をうまく活用することが必要です。こうした事業に円滑に資金が投融資されることで、環境負荷の低減や自然環境の保全にもつながり、またそのような事業の発展で、我が国の経済成長にも資することになります。 このような観点から、この白書ではグリーン経済を実現しようとする取組、中でも環境技術と環境金融に着目し、取り上げています。また、環境の価値を可視化し、経済活動に内部化したり、投資活動に反映させていこうという動きについても取り上げました。 これらを踏まえ、本白書では、「我が国が歩むグリーン経済の道」のテーマの下、第1 部の第1章では地球環境の現状と持続可能な社会の構築に向けた取組を、第2章では東日本大震災からの復旧・復興に向けた取組を、第3章ではグリーン経済の構築に向けた取組の現状を記述しています。”■“第1 部:総合的な施策等に関する報告” “第1部:総合的な施策等に関する報告”では、この“はじめに”に続いて、グリーン経済をテーマとした、各種の問題点を指摘し、我が国が歩むグリーン経済の道についての、具体的な提言を行っている。その内容を第1部の目次から概観すると以下のごとくである。 本文を補足する図表及び写真は、第1部において、表20件、図83件、写真61件が挿入されている。以下にその目次を紹介する。(1)第1部の目次はじめに第1章:地球環境の現状と持続可能な社会の構築に向けて第1節 気候変動問題の解決に向けて1 地球が直面する課題2 低炭素社会の構築に向けた国際的取組と我が国の貢献3 我が国の現状と低炭素社会に向けた取組第2節 自然の仕組みを基礎とする真に豊かな    社会を目指して1 自然環境の現状と愛知目標の進捗状況2 地球規模の取組3 国内における取組第3節 資源がもっと活きる未来へ1 循環型社会形成に向けた現状と課題2 国際的な取組3 循環型社会の形成に向けた国内の取組第4節 持続可能な社会の基盤となる環境教育の取組1「 国連ESD の10 年」と環境教育2 ESDを担う主体のつながり~+ESDプロジェクト~3 地域づくりを担う人達への環境教育4 次世代を担う子供達への環境教育5 環境教育を担う人達への環境教育6 東日本大震災により被災した東北地域でのESDの取組第2章:被災地の回復と未来への取組第1節 被災地の回復の前提となる災害廃棄物の処理1 東日本大震災により生じた災害廃棄物及び 津波堆積物の処理2 巨大災害発生時における災害廃棄物対策検討について第2節 被災地の環境回復に向けた取組1 原子力被災者の健康管理等2 放射線モニタリング3 放射性物質に汚染された土壌などの除染4 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理5 中間貯蔵施設の整備に向けた取組6 野生鳥獣への影響と鳥獣被害対策第3節 環境保全を織り込んだ被災地の復興~グリーン復興~1 被災地におけるグリーン復興の取組2 グリーン経済を先取りした復興の動き第3章:グリーン経済の取組の重要性    ~金融と技術の活用~第1節 持続可能な社会の実現に向けた    グリーン経済の広がり1 グリーン経済の潮流2 環境産業の現状第2節 環境技術の普及によるグリーン経済の実現1 グリーン経済実現のための環境技術等の開発とその普及の方策2 グリーン経済の構築に向けた環境技術に関する取組第3節 グリーン経済の実現に向けた環境金融の拡大1 環境金融の役割と方向性2 金融を通じた企業の環境配慮の促進3 グリーン投資の拡大に向けて4 環境金融の更なる発展に向けて第4節 グリーン経済を支える自然資本1「 2020 年型企業」の責任と役割2 自然資本~自然はタダじゃない~3 自然資本・生態系サービスの定量評価むすび(2)第1部に紹介されているコラム また各章、各節における代表的なトピックスについては、“コラム”として解説が付されており、白書全体で52件のコラムが紹介されているが、その中の42件が第1部に含まれ、それらのコラムには、本文とは別に、表20件、図107件、写真84件が付されている。 その42件のコラムの内容は“グリーン経済”に関連したものが多く、以下にその表題の一部を紹介する。①IPCC第3作業部会報告書について②途上国における地球温暖化対策の動き③地球温暖化防止とサンゴ礁保全に関する国際会議④グリーンインフラストラクチャーの活用に係る  世界の動向について⑥二次的自然の管理によって生じたバイオマス資源 の再生可能エネルギーとしての活用 ~神奈川県秦野市の事例~⑦世界農業遺産 =未来へ引き継ぐ、ふるさとの宝=⑧自然資源を利用した自立する地域づくり⑩循環型社会とは⑫我が国の家電リサイクル制度と温室効果ガスの 削減効果⑮WWFジャパンのパンダ・ブラック リウエア⑯株式会社伊藤園による茶殻のリサイクルシステム⑲松本市における食品ロス削減に向けた環境教育の取組⑳気候変動キャンペーンFun to Share福島県飯館村の「までい」な復興環境問題と外部不経済ドイツにおける固定価格買取制度とグリーン経済